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全ての陰謀を終わらせる陰謀
永久不滅
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「誰が死ぬって言いました?」
心の奥底から繋がっている関係は、細い糸のようにちぎれることはない。仲違いしたことも、それが互いの心理に大きな影響を与えたことも、永久不滅の糸はしっかりと未来と美咲を繋いでいた。
「お前は…!」
優希の脳内に様々なワードが思い浮かぶ。元学園横浜2学年第1位の才女。現超能力者開発指数段階3にして、学園横浜生徒会会長。鋼鉄線に喩えられる糸使い。そして何よりも、彼女は自分の友だちに害を成す者を許さないという評判がある。優希が付けていたフープピアスごと耳が引きちぎられ、その評判は誠のものであったことを認めるしかない。
「学園横浜PKDI、RANK4の第8位、山下優希…。本校との闘いに顔は出さない。勝手にイリイチと模擬戦をし始める。禁忌である学園外での超能力使用。何よりも…。」
鋼鉄線は美咲の怒りを表すように荒ぶっていた。氷点下の世界にて脳の演算力が低下した優希に逃げるすべは万に一つにもなかった。
「人の親友に手ぇ出しといて生き延びられると思うなよ。淫売女。」
畏怖すら覚える低く冷たい声は、この空間の気温を吟味しても背中が凍えるようだった。最前とは真逆の、美咲による鬼畜のような暴行は中々終わらなかった。糸による身体のありとあらゆる部分に切り傷を入れられ、母親に買ってもらった大事な上着は容赦なく引きちぎられ、それでもなお止まることをしない美咲を止めたのは、やはり未来であった。
「もう許してやろうよ。別にここで死んでもらっても構わないけどさ、この子がやったことを考えれば、生かして学園横浜に送った方がいいよ。」
一見すると助命嘆願のように見えるが、未来の言ったことは死刑宣告をした上で死刑にしようという司法主義に適った提案のようなものだった。互いを傷つけた者をいつ時でも許したことの無い2人の中にて、少し落ち着きが見えた。
「…まぁそうね。気絶してるし。このまま学園横浜まで運んでしまいましょ。」
美咲が作りあげた現代アートは、オプションとして泣き叫ぶが着いていたようだ。女であって女とは程遠い美咲は、その声が目障りで余計に攻撃を加えてしまった。膨大なショックにより、白目を剥きながら気絶している優希を運び、自分たちの学園に戻るのであった。
「女って怖ェな!リーコン!お前さんあの子を酷い目に合わせたら去勢されちまうぞ!頑張れや!」
凄惨な超能力者の攻撃も、イリイチからすれば娯楽の1種に過ぎない。シックス・センスを取り戻すための計画は極めて順調に進んでおり、イリーナと若葉を送り届ける未来の反応が消えた時から未来の作った4次元空間で起きた出来事を全て見届けていたのだ。
「シックス・センスはありとあらゆる超能力者が生み出す術式に対するアクセス権がある。未来があの小物にやられたときはヒヤッとしたが、あの生徒会長がなんとかしてくれたか。」
自分の彼女をただ見殺しにする訳にも行かない。いざとなればイリイチを急かして向かわせる予定だったリーコンは胸をなでおろした。
「ま、俺たちの探究はまだまだこれからだ。次のアルファベットたちを生成してくれ。」
美咲と未来のようにイリイチとシックス・センスは繋がっていなくてはならない。誰よりも強く誰よりも優越していなければ、生きていく道も消えて失せるのだ。
「生き延びてやる。この第六感でな。」
力強く放った覚悟の言葉は、イリイチの哲学を表すものだ。所詮は卑しい娼婦の子どもに過ぎない彼が生き延びる物語の主役として、舞台から降りる気は無い。
心の奥底から繋がっている関係は、細い糸のようにちぎれることはない。仲違いしたことも、それが互いの心理に大きな影響を与えたことも、永久不滅の糸はしっかりと未来と美咲を繋いでいた。
「お前は…!」
優希の脳内に様々なワードが思い浮かぶ。元学園横浜2学年第1位の才女。現超能力者開発指数段階3にして、学園横浜生徒会会長。鋼鉄線に喩えられる糸使い。そして何よりも、彼女は自分の友だちに害を成す者を許さないという評判がある。優希が付けていたフープピアスごと耳が引きちぎられ、その評判は誠のものであったことを認めるしかない。
「学園横浜PKDI、RANK4の第8位、山下優希…。本校との闘いに顔は出さない。勝手にイリイチと模擬戦をし始める。禁忌である学園外での超能力使用。何よりも…。」
鋼鉄線は美咲の怒りを表すように荒ぶっていた。氷点下の世界にて脳の演算力が低下した優希に逃げるすべは万に一つにもなかった。
「人の親友に手ぇ出しといて生き延びられると思うなよ。淫売女。」
畏怖すら覚える低く冷たい声は、この空間の気温を吟味しても背中が凍えるようだった。最前とは真逆の、美咲による鬼畜のような暴行は中々終わらなかった。糸による身体のありとあらゆる部分に切り傷を入れられ、母親に買ってもらった大事な上着は容赦なく引きちぎられ、それでもなお止まることをしない美咲を止めたのは、やはり未来であった。
「もう許してやろうよ。別にここで死んでもらっても構わないけどさ、この子がやったことを考えれば、生かして学園横浜に送った方がいいよ。」
一見すると助命嘆願のように見えるが、未来の言ったことは死刑宣告をした上で死刑にしようという司法主義に適った提案のようなものだった。互いを傷つけた者をいつ時でも許したことの無い2人の中にて、少し落ち着きが見えた。
「…まぁそうね。気絶してるし。このまま学園横浜まで運んでしまいましょ。」
美咲が作りあげた現代アートは、オプションとして泣き叫ぶが着いていたようだ。女であって女とは程遠い美咲は、その声が目障りで余計に攻撃を加えてしまった。膨大なショックにより、白目を剥きながら気絶している優希を運び、自分たちの学園に戻るのであった。
「女って怖ェな!リーコン!お前さんあの子を酷い目に合わせたら去勢されちまうぞ!頑張れや!」
凄惨な超能力者の攻撃も、イリイチからすれば娯楽の1種に過ぎない。シックス・センスを取り戻すための計画は極めて順調に進んでおり、イリーナと若葉を送り届ける未来の反応が消えた時から未来の作った4次元空間で起きた出来事を全て見届けていたのだ。
「シックス・センスはありとあらゆる超能力者が生み出す術式に対するアクセス権がある。未来があの小物にやられたときはヒヤッとしたが、あの生徒会長がなんとかしてくれたか。」
自分の彼女をただ見殺しにする訳にも行かない。いざとなればイリイチを急かして向かわせる予定だったリーコンは胸をなでおろした。
「ま、俺たちの探究はまだまだこれからだ。次のアルファベットたちを生成してくれ。」
美咲と未来のようにイリイチとシックス・センスは繋がっていなくてはならない。誰よりも強く誰よりも優越していなければ、生きていく道も消えて失せるのだ。
「生き延びてやる。この第六感でな。」
力強く放った覚悟の言葉は、イリイチの哲学を表すものだ。所詮は卑しい娼婦の子どもに過ぎない彼が生き延びる物語の主役として、舞台から降りる気は無い。
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