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覇権争い
学園横浜:イリイチVS学園東京本校:アーサー
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「まだまだァ!!」
力業による接近戦は、互いに譲らずと言う形だ。イリイチはシックス・センスの解除を限定に抑え、必要に応じて完全に解放するという形をとっている。対するアーサーは、普段の冷静さを捨て去るように、獅子の圧倒的な力によってイリイチを踏みにじろうとしている。
「おつかれのようだな!!イリイチよォ!!」
「い…ね…よ!」
闘争というのはなんとも楽しみに充ちたものだ。血みどろの殺し合いも、千切れていく身体の1部も、声が出ない苦しみも、何もかもを纏めて楽しみとして変換されていく。暴力を日常の1つとして受け入れているイリイチは、不思議なことに、今まさに気分がいいのであった。
「本校も!横浜も!学園も!しがらみも!何も!関係ねェ!俺たちの闘争にはな!だがな、もう終わりにしてやるよ。」
「……!」
熱量が上がった喋り口が、急に収まった。アーサーは次の一撃で決めようという腹つもりだ。途切れが止まらないイリイチの声は、それに対する回答のようだった。シックス・センスは完全に解放され、イリイチの碧眼は赤色に染まっていく。
「本気ってか!!お前最高だよ!マジで!!イリイチ!」
この状態になったイリイチに攻撃を当てるのは困難を極める。言い換えてしまえば、ここで当てられれば彼は終わりだ。百獣の王による暴力によって、所詮は人間止まりの彼は倒れる。シックス・センスは人間の能力。人間が食物連鎖の頂点に君臨しているのは、ただひとつのルールによって形成されたものだ。
「獣じゃあ俺は倒せない。アーサー、そんなことはわかり切っているだろ?」
シックス・センスの影響なのか。引きちぎられた喉笛が修復され、彼は彼の言葉で語る。
「人間が食物連鎖の頂点に立っている理由はただのひとつだけ。賢いからだ。俺はお前の懇親の一撃を華麗に避けて、華麗に効果的な一撃を加えてやる。所詮は意趣返し。だろ?」
「人間は賢しいから生き延びてきた。そうかもな。意趣返しか…。そうだな。ま、私の行動には変わりはない。最後に立っていた方が偉い。それが人間をも超越した動物のルールだ。」
口喧嘩でも口論でも殴り合いでも殺し合いでもただひとつ共通点があるとすれば、最後に立っている、あるいは最後に勝った方に理があるのだ。人間が他の生物を制覇して生きていることも、アーサーのやっていることは大量の人間を巻き込んだ緩慢な自殺、基、意趣返しであることも、結局最後に決め手になることはただひとつに過ぎない。
シックス・センスは作動した。身体強化により可能になった、相手が動き初めてからの回避により、交わす構えだ。
制限時間は30秒。この攻撃は2人の命運を分ける。
「ぶっ殺してやるよ!!クソ露助がァ!!」
「殺ってみろよ!!ライミーィ!!」
結論から言ってしまえば、イリイチの勝利で終わるはずだった。限界まで解除されたシックス・センスと身体強化は、アーサーの攻撃を交わすに相応しいだけの瞬間爆発力を持っていた。勢いを付けすぎたアーサーが一瞬だけ倒れ込んだのを見逃さすに、その背中に向けて容赦のない蹴りを浴びせた。普段の生活の差が命運を分けたはずだった。息切れを起こしながら、イリイチは勝利の咆哮を叫ぶ。
「俺の勝ちだァ!!殺し屋が事務屋に負けるわきゃねェだろうが!!」
「いいやァ。お前の負けさァ。」
勝利の余韻に浸る間もなく、笑顔に充ちたイリイチの顔は、酸素が欠乏したことによる危険信号を耳に入れ、その瞬間に崩れ落ちた。
「ネタばらししてやっか。なァ、イリイチ。」
嫌味を極めたような笑顔すらも様になるアーサーは、煙草を咥えながら、単純なネタを告げる。
「シックス・センス完全解放と身体強化完全解放に身体が慣れていねェだろ?人口脳髄を付けた超能力者ってのはよ、本当の場合もう少し訓練するものなんだ。何故かって?そりゃお前…。普段の生活の違いを感じられないからだよ。」
制限時間30秒の意味を理解していなかったイリイチは、酸素を求めて蠢くものの、手に煙草を使った根性焼きを入れられ、さらに文字通りの死体蹴りにより、収まりを見せた。
「制限時間30秒ってのは、最低1ヶ月、人口脳髄に慣れた人間の制限時間だ。お前さんはそれに変えてから何日だ?制限時間30秒ってのは眉唾。実質的に10秒とないのさ。ま、それを知りもしないし知ろうともしないおともだちを怨むんだな!」
勝ち誇った顔から笑顔が消えることはいつまでもなかった。アーサーはイリイチとリーコンという2人の仇敵に勝利したのだ。しかしこれで終わりだとも思っていない。それでも不気味な笑い声は消えることがなかった。
力業による接近戦は、互いに譲らずと言う形だ。イリイチはシックス・センスの解除を限定に抑え、必要に応じて完全に解放するという形をとっている。対するアーサーは、普段の冷静さを捨て去るように、獅子の圧倒的な力によってイリイチを踏みにじろうとしている。
「おつかれのようだな!!イリイチよォ!!」
「い…ね…よ!」
闘争というのはなんとも楽しみに充ちたものだ。血みどろの殺し合いも、千切れていく身体の1部も、声が出ない苦しみも、何もかもを纏めて楽しみとして変換されていく。暴力を日常の1つとして受け入れているイリイチは、不思議なことに、今まさに気分がいいのであった。
「本校も!横浜も!学園も!しがらみも!何も!関係ねェ!俺たちの闘争にはな!だがな、もう終わりにしてやるよ。」
「……!」
熱量が上がった喋り口が、急に収まった。アーサーは次の一撃で決めようという腹つもりだ。途切れが止まらないイリイチの声は、それに対する回答のようだった。シックス・センスは完全に解放され、イリイチの碧眼は赤色に染まっていく。
「本気ってか!!お前最高だよ!マジで!!イリイチ!」
この状態になったイリイチに攻撃を当てるのは困難を極める。言い換えてしまえば、ここで当てられれば彼は終わりだ。百獣の王による暴力によって、所詮は人間止まりの彼は倒れる。シックス・センスは人間の能力。人間が食物連鎖の頂点に君臨しているのは、ただひとつのルールによって形成されたものだ。
「獣じゃあ俺は倒せない。アーサー、そんなことはわかり切っているだろ?」
シックス・センスの影響なのか。引きちぎられた喉笛が修復され、彼は彼の言葉で語る。
「人間が食物連鎖の頂点に立っている理由はただのひとつだけ。賢いからだ。俺はお前の懇親の一撃を華麗に避けて、華麗に効果的な一撃を加えてやる。所詮は意趣返し。だろ?」
「人間は賢しいから生き延びてきた。そうかもな。意趣返しか…。そうだな。ま、私の行動には変わりはない。最後に立っていた方が偉い。それが人間をも超越した動物のルールだ。」
口喧嘩でも口論でも殴り合いでも殺し合いでもただひとつ共通点があるとすれば、最後に立っている、あるいは最後に勝った方に理があるのだ。人間が他の生物を制覇して生きていることも、アーサーのやっていることは大量の人間を巻き込んだ緩慢な自殺、基、意趣返しであることも、結局最後に決め手になることはただひとつに過ぎない。
シックス・センスは作動した。身体強化により可能になった、相手が動き初めてからの回避により、交わす構えだ。
制限時間は30秒。この攻撃は2人の命運を分ける。
「ぶっ殺してやるよ!!クソ露助がァ!!」
「殺ってみろよ!!ライミーィ!!」
結論から言ってしまえば、イリイチの勝利で終わるはずだった。限界まで解除されたシックス・センスと身体強化は、アーサーの攻撃を交わすに相応しいだけの瞬間爆発力を持っていた。勢いを付けすぎたアーサーが一瞬だけ倒れ込んだのを見逃さすに、その背中に向けて容赦のない蹴りを浴びせた。普段の生活の差が命運を分けたはずだった。息切れを起こしながら、イリイチは勝利の咆哮を叫ぶ。
「俺の勝ちだァ!!殺し屋が事務屋に負けるわきゃねェだろうが!!」
「いいやァ。お前の負けさァ。」
勝利の余韻に浸る間もなく、笑顔に充ちたイリイチの顔は、酸素が欠乏したことによる危険信号を耳に入れ、その瞬間に崩れ落ちた。
「ネタばらししてやっか。なァ、イリイチ。」
嫌味を極めたような笑顔すらも様になるアーサーは、煙草を咥えながら、単純なネタを告げる。
「シックス・センス完全解放と身体強化完全解放に身体が慣れていねェだろ?人口脳髄を付けた超能力者ってのはよ、本当の場合もう少し訓練するものなんだ。何故かって?そりゃお前…。普段の生活の違いを感じられないからだよ。」
制限時間30秒の意味を理解していなかったイリイチは、酸素を求めて蠢くものの、手に煙草を使った根性焼きを入れられ、さらに文字通りの死体蹴りにより、収まりを見せた。
「制限時間30秒ってのは、最低1ヶ月、人口脳髄に慣れた人間の制限時間だ。お前さんはそれに変えてから何日だ?制限時間30秒ってのは眉唾。実質的に10秒とないのさ。ま、それを知りもしないし知ろうともしないおともだちを怨むんだな!」
勝ち誇った顔から笑顔が消えることはいつまでもなかった。アーサーはイリイチとリーコンという2人の仇敵に勝利したのだ。しかしこれで終わりだとも思っていない。それでも不気味な笑い声は消えることがなかった。
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