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覇権争い

帰還

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「学園横浜もお祭り騒ぎじゃねぇか。どこもかしこも戦争だ。おい、ほんとにイリイチがなんとかしてくれるんだろうな?」
「それはあいつを信じるしかないでしょう。横浜の動乱鎮圧は公正がなんとかしてくれますし。あいつだって、あの狂ったイギリス人を打倒しないと自分に火の粉が飛んでくることなんて理解していますよ。」
弁慶と大智は、安全が今のところは確保されている生徒会本部にて閉じこもっていた。彼らが出来ることは何も無い。本校の電気系統が破損している今となれば、変に向かうよりも巨人に任せたほうが利口なのだ。
「本校は兎にも角にも、第2校との接続が停止したってのはどういうことなんでしょうかね?」
1時33分を最後に、第2校からの通信は一斉に遮断された。本校所有の電磁パルスによる第2校ネットワーク報復破壊だと予想していた彼らは、それを遥かに上回る事態に驚愕することになる。
「噂をすればなんとやら。翔と義経くんが戻ってきた。」
2人とも無残な格好だった。五体満足で済んでいるのが奇跡に感じる程度には。ここから予測が着くのは、第2校での戦局が大幅に不利に傾き、命からがら生き延びて戻ってきた。ということだろう。しかし、実際はそれをも上回る展開であった。
「端的に。第2校は文字通り瓦礫の山と化した。今あそこは、学園の法律を無視して、消防車による消火作業と、救急車による怪我人保護が行われている。勝ちか負けと言えば、戦術的には勝利。だが、被害が大きすぎる。以上。」
荒唐無稽な意味の無い嘘をつく人間ではない義経が、荒唐無稽の極みのような事実を羅列している。第2校における解放作戦は、思いもよらない終わりを見たのだ。それが正しいことかどうかは置いておいて。
「ま、まぁ、勝利のための致し方ない犠牲みたいなものだろ?そうですよね?」
「そうは思えないとお前は今の第2校を知れば言うだろうな…。」
それを起こした張本人は、なにが起きてこうなったのかなんてことはまるで理解していない。義経の心持ち次第で、彼の命運は決まる。
「それは誰がやったんで?」
武蔵の当然な疑問は、義経にとって、最も答えづらい事実である。
「さぁな…。本校のNo.2と殺りやって、そこで気絶おちまったからそこから先は覚えていねェ。ただ言えるのは、俺が目覚めた時には、惨劇が目の前に広がっていた。それだけだ。」
怪訝な顔つきの武蔵は、義経の言いたいことを理解したのか、それ以上の追求はしなかった。学園横浜序列第1位の真の力は、イリイチのそれを凌駕しゆる可能性が高い。イリイチという手に負えない豪傑が、もし暴れ始めれば、翔以外に止めることの出来る存在はいない。
「悩みはいつも尽きない。とにかく、会長に報告しに行こう。」
生徒会本部の中でも最も頑強な警備があるはずの生徒会会長室にて起きた緊急を要する出来事に気がついていない彼らは、義務として行う通過儀礼のようなことによって、学園横浜に起きている事態を認識することになる。


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