91 / 205
覇権争い
暗礁
しおりを挟む
「戦争はやる前から結果が決まっている。有名な言葉だが、君たちはそんなことも知らなかったのかな?」
まるで意趣を返すかのように本校から第2校へ、空間移動系超能力者を利用した侵攻作戦が執行された。ネットワークが遮断された第2校は抵抗出来ずに各個撃破されていく。第2校は悲鳴と嗚咽に巻き込まれて行った。
「ははっ。舐めすぎなんだな、お前らよ。舐めすぎ。舐めすぎなんだよ!」
アーサーの勝ち誇ったような面持ちに勝ち誇ったような声に、本校を巻き込んだ横浜に対する復讐劇はいよいよ転換する時が来ている。
「戦線を引き直そうにもありとあらゆる連絡手段が遮断されています!!第2校を放棄することも念頭にいれて置かないと我々も包囲殲滅されてしまいます!!」
第2校会長にして、今作戦の最高指揮官である青木宗久に伝えられた報告は彼らを諦めさせるには十分すぎるものだった。頭を抱え込んで絞り出すかのように言葉を発する。
「…横浜の会長に繋いでくれ。第2校の主戦力はほぼ本校で殲滅された。横浜が援軍を出さないと第2校は陥落すると。」
学園横浜に残っていた生徒会機能は、いきなりのネットワーク遮断事態に困惑していた。リーコンを軸としたハッカーたちが復旧を急いではいるが、1つ彼らが把握していることは第2校に危機が迫っていることだ。
「…あの腐れライミー。わざわざ横浜と第2校が繋がるためのネットワークは遮断していねぇ。手のひらで踊らされているわけだ。」
学園横浜生徒会会長に繋いだ連絡は、悲痛な叫びにも似た救援要請だった。
「第2校会長だ。本校による大反撃によって第2校は壊滅的被害を受けた。朝が来る前に学園東京第2校は占領される可能性が極めて高い。盟友である横浜からの救援を求む。オーバー。」
電話機からの声を聞き取ると、美咲はいつもの態度がどこかに消え去り、狼狽えた様子で頭を抱えた。
「どうしてこうなるのよぉ!」
彼女は成功していた。6歳から学園横浜の生徒として、掴める栄光は全て掴んできた。その栄華が彼女の存在意義を証明してくれるものだったからだ。高等部の主戦力として。かつての学年第1位として。そして生徒会会長として。
だが、その栄光も崩れさろうとしていた。もはや泣きたくなるような絶望的な惨状に、彼女を包んで守っていた、「栄光」は全く通用しない。
「なんだ…。こんな、こんな、目に会うために、こんな、こんな…。」
現実は常に超能力者という異常的存在を苦しめる。僅か17歳の少女に降り掛かってきた苦難は、自業自得と言って切り捨てるにはあまりにも無残なものだ。そのまま泥の中に溺れた少女は、何ひとつとして何も出来ずに、欲望の象徴である生徒会会長室にて座して死を待つはずだった。
「こんな所で終わりか?俺が知ってるお前はもっと強かったぞ?」
学園横浜高等部3学年。元学園序列第1位。元学園横浜生徒会会長。
「友だちを泣かせる野蛮な男は許せねぇな?」
学園横浜高等部2学年。現学園序列第1位。開発指数段階4第1位。
悲劇のヒロインには格好のいい主人公が着いてくる。学園横浜が投入できる限りの戦力は整いつつあった。
まるで意趣を返すかのように本校から第2校へ、空間移動系超能力者を利用した侵攻作戦が執行された。ネットワークが遮断された第2校は抵抗出来ずに各個撃破されていく。第2校は悲鳴と嗚咽に巻き込まれて行った。
「ははっ。舐めすぎなんだな、お前らよ。舐めすぎ。舐めすぎなんだよ!」
アーサーの勝ち誇ったような面持ちに勝ち誇ったような声に、本校を巻き込んだ横浜に対する復讐劇はいよいよ転換する時が来ている。
「戦線を引き直そうにもありとあらゆる連絡手段が遮断されています!!第2校を放棄することも念頭にいれて置かないと我々も包囲殲滅されてしまいます!!」
第2校会長にして、今作戦の最高指揮官である青木宗久に伝えられた報告は彼らを諦めさせるには十分すぎるものだった。頭を抱え込んで絞り出すかのように言葉を発する。
「…横浜の会長に繋いでくれ。第2校の主戦力はほぼ本校で殲滅された。横浜が援軍を出さないと第2校は陥落すると。」
学園横浜に残っていた生徒会機能は、いきなりのネットワーク遮断事態に困惑していた。リーコンを軸としたハッカーたちが復旧を急いではいるが、1つ彼らが把握していることは第2校に危機が迫っていることだ。
「…あの腐れライミー。わざわざ横浜と第2校が繋がるためのネットワークは遮断していねぇ。手のひらで踊らされているわけだ。」
学園横浜生徒会会長に繋いだ連絡は、悲痛な叫びにも似た救援要請だった。
「第2校会長だ。本校による大反撃によって第2校は壊滅的被害を受けた。朝が来る前に学園東京第2校は占領される可能性が極めて高い。盟友である横浜からの救援を求む。オーバー。」
電話機からの声を聞き取ると、美咲はいつもの態度がどこかに消え去り、狼狽えた様子で頭を抱えた。
「どうしてこうなるのよぉ!」
彼女は成功していた。6歳から学園横浜の生徒として、掴める栄光は全て掴んできた。その栄華が彼女の存在意義を証明してくれるものだったからだ。高等部の主戦力として。かつての学年第1位として。そして生徒会会長として。
だが、その栄光も崩れさろうとしていた。もはや泣きたくなるような絶望的な惨状に、彼女を包んで守っていた、「栄光」は全く通用しない。
「なんだ…。こんな、こんな、目に会うために、こんな、こんな…。」
現実は常に超能力者という異常的存在を苦しめる。僅か17歳の少女に降り掛かってきた苦難は、自業自得と言って切り捨てるにはあまりにも無残なものだ。そのまま泥の中に溺れた少女は、何ひとつとして何も出来ずに、欲望の象徴である生徒会会長室にて座して死を待つはずだった。
「こんな所で終わりか?俺が知ってるお前はもっと強かったぞ?」
学園横浜高等部3学年。元学園序列第1位。元学園横浜生徒会会長。
「友だちを泣かせる野蛮な男は許せねぇな?」
学園横浜高等部2学年。現学園序列第1位。開発指数段階4第1位。
悲劇のヒロインには格好のいい主人公が着いてくる。学園横浜が投入できる限りの戦力は整いつつあった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
裕也の冒険 ~~不思議な旅~~
ひろの助
キャラ文芸
俺。名前は「愛武 裕也」です。
仕事は商社マン。そう言ってもアメリカにある会社。
彼は高校時代に、一人の女性を好きになった。
その女性には、不思議なハートの力が有った。
そして、光と闇と魔物、神々の戦いに巻き込まれる二人。
そのさなか。俺は、真菜美を助けるため、サンディアという神と合体し、時空を移動する力を得たのだ。
聖書の「肉と骨を分け与えん。そして、血の縁を結ぶ」どおり、
いろんな人と繋がりを持った。それは人間の単なる繋がりだと俺は思っていた。
だが…
あ。俺は「イエス様を信じる」。しかし、組織の規律や戒律が嫌いではぐれ者です。
それはさておき、真菜美は俺の彼女。まあ、そんな状況です。
俺の意にかかわらず、不思議な旅が待っている。
おきつねさんとちょっと晩酌
木嶋うめ香
キャラ文芸
私、三浦由衣二十五歳。
付き合っていた筈の会社の先輩が、突然結婚発表をして大ショック。
不本意ながら、そのお祝いの会に出席した帰り、家の近くの神社に立ち寄ったの。
お稲荷様の赤い鳥居を何本も通って、お参りした後に向かった先は小さな狐さんの像。
狛犬さんの様な大きな二体の狐の像の近くに、ひっそりと鎮座している小さな狐の像に愚痴を聞いてもらった私は、うっかりそこで眠ってしまったみたい。
気がついたら知らない場所で二つ折りした座蒲団を枕に眠ってた。
慌てて飛び起きたら、袴姿の男の人がアツアツのうどんの丼を差し出してきた。
え、食べていいの?
おいしい、これ、おいしいよ。
泣きながら食べて、熱燗も頂いて。
満足したらまた眠っちゃった。
神社の管理として、夜にだけここに居るという紺さんに、またいらっしゃいと見送られ帰った私は、家の前に立つ人影に首を傾げた。
ふたりはサードライフはじめました!
ジャン・幸田
キャラ文芸
老後の生活の都合がいいという理由で同居したふたり、また法律的に都合がいいという理由で籍をいれたふたり。そんなふたりにある日起きた奇跡は二十代に若返ってしまったこと!
そんな隆治(77歳)と早苗(84歳)の二人は改めて新婚生活をはじめたが、共に初めてのことばかりの夫婦生活はハプニングばかり! しかも奇跡の二人をそっとしておけない連中に付きまとわれる毎日がくりかえすことに!
アタシをボランチしてくれ!~仙台和泉高校女子サッカー部奮戦記~
阿弥陀乃トンマージ
キャラ文芸
「アタシをボランチしてくれ!」
突如として現れた謎のヤンキー系美少女、龍波竜乃から意味不明なお願いをされた、お団子頭がトレードマークのごくごく普通の少女、丸井桃。彼女の高校ライフは波乱の幕開け!
揃ってサッカー部に入部した桃と竜乃。しかし、彼女たちが通う仙台和泉高校は、学食のメニューが異様に充実していることを除けば、これまたごくごく普通の私立高校。チームの強さも至って平凡。しかし、ある人物の粗相が原因で、チームは近年稀にみる好成績を残さなければならなくなってしまった!
桃たちは難敵相手に『絶対に負けられない戦い』に挑む!
一風変わった女の子たちによる「燃え」と「百合」の融合。ハイテンションかつエキセントリックなJKサッカーライトノベル、ここにキックオフ!
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
ちゅちゅん すずめのお宿
石田空
キャラ文芸
ある日カラスに突き回されていたすずめを助けた奥菜は、仕事のスランプで旅行しようとしていたところ、助けたすずめにお礼を言われる。
「助けていただいたすずめです。よろしかったらしばらくの間、滞在しませんか?」
それは現世と幽世の間につくられたすずめのお宿、幸福湯だった。
店主のすずめのあおじに上客としてもてなされることとなったものの……この宿にやってくる客、問題児しかいなくないか?
幸福湯にやってくる問題児にトラブル、ただ泊っているだけなのに巻き込まれる奥菜は、がなりながらもそれらに対処していく。
サイトより転載になります。
プロローグで主人公が死んでしまう話【アンソロジー】
おてんば松尾
恋愛
プロローグで主人公が死んでしまう話を実は大量生産しています。ただ、ショートショートでいくつもりですので、消化不良のところがあるみたいです。どうしようか迷ったのですが、こっそりこちらでアンソロジーにしようかな。。。と。1話1万字で前後で終わらせます。物語によってはざまぁがない物もあります。
1話「プロローグで死んでしまうリゼの話」
寒さに震えながらリゼは機関車に乗り込んだ。
疲労と空腹で、早く座席に座りたいと願った。
静かな揺れを感じながら、リゼはゆっくりと目を閉じた。
2話「プロローグで死んでしまうカトレアの話」
死ぬ気で城を出たカトレア、途中馬車に轢かれて死んでしまう?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる