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超能力者開発指数(PKDI)
拉致
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「イリーナ。どこだ。」
気がついた時にはもう遅いと言わんばかりだ。自分の部屋の隣にいたはずの彼の妹ことイリーナはいなくなっていた。
「連絡もつかねぇし…。っくそ!」
イリイチの安全保障上において1番の要である少女は今どこにいるのか。意思を辿っていくと、思いのほか在り来りな所にいた。
「東京か…。やつら、横浜校が契約を結んだのを気に食わずに拉致しやがったのか。本校の意地ってやつだな…。」
どうやって取り返すを考えているうちに電話が鳴る。恐らくはイリーナについてのことであろう。重要な連絡にイリイチは出る。
「ご機嫌かなぁ、クソロスケ野郎!なぁ、あのガキは預かったぞ。シックス・センスはお前だけのものじゃあない!」
「…お前がどこの誰だかは知らねぇが、拉致したぐらいで俺が動じるとでも思ってんのか?そいつのシックス・センスの才能は俺以上だ。それに、今すぐ居場所を特定して血祭りにしてやることなんて簡単だなんてセリフを言われたくなきゃ今すぐ返せ。今なら見逃してやる。」
安い煽りだ。イリイチにとって死活問題になるイリーナの身柄を拘束された時点で、イリイチは負けている。それを相手も認識しているのだ。
「おぉぉ!かっこいいねぇ!負けたことを認めないその態度!お前がどんなにイキっても時間は巻き戻されねe…。」
電話口の先には阿鼻叫喚が聞こえる。車で移動中だった彼らは、運転手がいきなり気絶する事態を想定していない。
「だから言っただろうが。イリーナを舐めすぎだってよ。イリーナ!生きてるか!」
「生きてるよ。」
「今、どこにいるか凡そでいいから分かるか?」
「わかんない。」
「そうきたか。まぁいい、直ぐに向かう。」
イリイチは急いで準備を整える。そしてリーコンに居場所を特定させる。そう離れてはいない。2~3kmほどだ。
「車がいるな。ん、ちょうどいい。そこにあるじゃん。」
学園駐車場にある車のロックを施錠する。手馴れた手付きは彼の生活の1部を垣間見ることができる。同じような手つきでエンジンを駆けると急ぎ足で現場に向かう。
「車が事故ってるなら警察が走ってくるはずだ。今警察にイリーナを渡す訳にはいかねぇ!」
ゲームさながらに爆速で走る。この勢いならそう時間はかからないはずだ。その瞬間だった。
イリイチの乗車している車にトラックが突っ込んでくる。軽自動車は粉々に砕け散り、イリイチは辛うじて脱出する。
「気をつけろなんて次元じゃねぇぞ!」
トラックの運転手の方に向かう。だが運転手はいなかった。それと瞬間に敵性意思を後ろに感知する。
「危ねぇなぁ!」
間一髪だった。制御装置は脳内で解除可能ではあるが、それにはほんの少しだけタイムラグが発生する。高く上げられたトラックが彼に直撃する寸前で、シックス・センスが反応し、トラックは大きく軌道をずらされた。
「サイコキネシスか。それに空間系の超能力もだな。だけどな、今は遊んでいる暇はねぇんだよ。」
「そんなことはないですよ。貴方には遊んでいってもらいます。」
トラックは再び宙に舞う。今度はかなり高い所まで上がった。直撃すれば死ぬ所か骨も残らない。それを見て、イリイチは脳波の改竄作業を行う。改竄速度は昔のそれに比べればだいぶ落ちているが、今回は相手も時間のかかる作業をしているため、さして問題にならないのだ。
「チェックメイトだ。あばよ。」
イリイチが何を言っているのか理解できない様子の日本人は、頭上を覆い尽くす黒い影を見て全てを理解する。
「超能力は脳の指令があって初めて作用する。だから脳波を改竄してお前の頭上に瓦礫が落ちるようにしたのさ。ま、もう死んでるだろうから気にすんな。」
学園の外で行われた超能力に怯えた一般市民たちが長蛇の列を作っていた。その先頭の車に拳銃を持ちながら近づいていく。
ドアを開けて、腕で車から出るようにとモーションをする。
「借りてくぜ。」
またもや爆速で走り始めた。金髪碧眼の日本人が思い描くような綺麗な白人は日本人が思い描くような野蛮な者であった。
気がついた時にはもう遅いと言わんばかりだ。自分の部屋の隣にいたはずの彼の妹ことイリーナはいなくなっていた。
「連絡もつかねぇし…。っくそ!」
イリイチの安全保障上において1番の要である少女は今どこにいるのか。意思を辿っていくと、思いのほか在り来りな所にいた。
「東京か…。やつら、横浜校が契約を結んだのを気に食わずに拉致しやがったのか。本校の意地ってやつだな…。」
どうやって取り返すを考えているうちに電話が鳴る。恐らくはイリーナについてのことであろう。重要な連絡にイリイチは出る。
「ご機嫌かなぁ、クソロスケ野郎!なぁ、あのガキは預かったぞ。シックス・センスはお前だけのものじゃあない!」
「…お前がどこの誰だかは知らねぇが、拉致したぐらいで俺が動じるとでも思ってんのか?そいつのシックス・センスの才能は俺以上だ。それに、今すぐ居場所を特定して血祭りにしてやることなんて簡単だなんてセリフを言われたくなきゃ今すぐ返せ。今なら見逃してやる。」
安い煽りだ。イリイチにとって死活問題になるイリーナの身柄を拘束された時点で、イリイチは負けている。それを相手も認識しているのだ。
「おぉぉ!かっこいいねぇ!負けたことを認めないその態度!お前がどんなにイキっても時間は巻き戻されねe…。」
電話口の先には阿鼻叫喚が聞こえる。車で移動中だった彼らは、運転手がいきなり気絶する事態を想定していない。
「だから言っただろうが。イリーナを舐めすぎだってよ。イリーナ!生きてるか!」
「生きてるよ。」
「今、どこにいるか凡そでいいから分かるか?」
「わかんない。」
「そうきたか。まぁいい、直ぐに向かう。」
イリイチは急いで準備を整える。そしてリーコンに居場所を特定させる。そう離れてはいない。2~3kmほどだ。
「車がいるな。ん、ちょうどいい。そこにあるじゃん。」
学園駐車場にある車のロックを施錠する。手馴れた手付きは彼の生活の1部を垣間見ることができる。同じような手つきでエンジンを駆けると急ぎ足で現場に向かう。
「車が事故ってるなら警察が走ってくるはずだ。今警察にイリーナを渡す訳にはいかねぇ!」
ゲームさながらに爆速で走る。この勢いならそう時間はかからないはずだ。その瞬間だった。
イリイチの乗車している車にトラックが突っ込んでくる。軽自動車は粉々に砕け散り、イリイチは辛うじて脱出する。
「気をつけろなんて次元じゃねぇぞ!」
トラックの運転手の方に向かう。だが運転手はいなかった。それと瞬間に敵性意思を後ろに感知する。
「危ねぇなぁ!」
間一髪だった。制御装置は脳内で解除可能ではあるが、それにはほんの少しだけタイムラグが発生する。高く上げられたトラックが彼に直撃する寸前で、シックス・センスが反応し、トラックは大きく軌道をずらされた。
「サイコキネシスか。それに空間系の超能力もだな。だけどな、今は遊んでいる暇はねぇんだよ。」
「そんなことはないですよ。貴方には遊んでいってもらいます。」
トラックは再び宙に舞う。今度はかなり高い所まで上がった。直撃すれば死ぬ所か骨も残らない。それを見て、イリイチは脳波の改竄作業を行う。改竄速度は昔のそれに比べればだいぶ落ちているが、今回は相手も時間のかかる作業をしているため、さして問題にならないのだ。
「チェックメイトだ。あばよ。」
イリイチが何を言っているのか理解できない様子の日本人は、頭上を覆い尽くす黒い影を見て全てを理解する。
「超能力は脳の指令があって初めて作用する。だから脳波を改竄してお前の頭上に瓦礫が落ちるようにしたのさ。ま、もう死んでるだろうから気にすんな。」
学園の外で行われた超能力に怯えた一般市民たちが長蛇の列を作っていた。その先頭の車に拳銃を持ちながら近づいていく。
ドアを開けて、腕で車から出るようにとモーションをする。
「借りてくぜ。」
またもや爆速で走り始めた。金髪碧眼の日本人が思い描くような綺麗な白人は日本人が思い描くような野蛮な者であった。
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