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もう一人の第六感
シックス・センスの果て
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2017年8月25日 日本国首都東京何処かのホテルにて
「第六感の研究か。ロシアを初め、アメリカや中国も行っているな。だがロシアが1番進んでいるか。」
イリイチは研究結果を眺めながら、自らの正体の答えになるものを探していた。
第六感、通称シックス・センス。この能力の非凡な所は相手の意思や思考を自分の脳に受信できることである。相手の脳波を再現することなくそのまま受信できる。これは相手の行動を読めることということであり、それをつなぎ止めていけば未来予知すらも可能になる。受信する人数は大まかにしか決められないがある程度覚えた脳波を持つ人間の意思は個別に受信が可能になる。
なぜこの能力は食物連鎖の頂点にたつ超能力と呼ばれるかと言うと、超能力者というものは脳内で攻撃や防御のための能力を作り上げる。シックス・センスは受信と更には送信ができる。端的に言うと、超能力者が超能力を使って攻撃をすると決めた脳波を受信して、その脳波をほんの少しだけずらすことによって、超能力の無効化に近い行為が起こる。超能力者というものは脳内で複雑な計算を行っている。その計算式をほんの少し、例えば1を2にするだけで不発に終わる。それを無自覚の上で行えるシックス・センスの持ち主は攻撃を喰らうことは滅多にない。
また、シックス・センス上にて行われる大量の脳波受信はそのまま送信することも可能である。才覚のあるものでないと意識して使用は難しいが、訓練しだいでいくらでも強化できる。これを行うと何が起こるか。人間というものはひとつの思考を持って生きている。そのひとつの思考が無限に等しいほどに増殖するとどうなるか。脳の演算能力は限界を超え、意識を失う。
「第二号式か。」
イリイチの使える技の1つ、第六感開放式第二号。大人数の敵を行動不能にするだけではなく、自分と同格、または格上の相手にも通じるひとつのチート能力だ。ただし、見境なく送信をしてしまう為、無闇に使えば自分の首を占めることになる。また、何回も大量の意思を受信したことのある人間にはむしろ擬似的にシックス・センスを与えることになってしまう。
我々は第六感という神にも等しい力を対処するためにどうすればいいのか実験した。結果的にシックス・センスが反応する時間、0,001秒未満ほどの僅かな時間に攻撃を加えれば、対処可能であると言う結論を得た。当然、そのようなことを可能な兵器や人間はいない。だが超能力者という人間のための都合の良い力を持つ者であれば可能性があるという仮定を建てた。
「義経先輩がそうだな。超能力者として市場価値を150億円を超えるような猛者なら、全力でやれば可能ってわけだ。」
シックス・センスの果ては何も無い。第六感という力を悪用し、世界を変えてしまうような悪夢が生まれないことを願う。
「お前らの悪夢はこの俺だ。残念無念、南無三。」
イリイチはなんとも嫌味たらしく口にすると、シックス・センスに対する研究に付け加えることにした。
「雁首揃えて解明しきれない哀れな科学者の中の負け犬どもへ、シックス・センスそのものである私が付け加える。シックス・センスは生命の危機、ようは死にかけているときに暴走を始める。理屈で解決しようとする間抜けな貴公にもわかりやすくいえば、姿は少し変化するというだろう。目の色は赤色に切り替わり、少し髪は逆立つ。言動はより傲慢に不遜になり、脳内計算能力はより進化する。超能力を無効化するどころか、放った相手に対して全て喰らわせる、反射の進化版だ。超能力者に対しては完全に無敵になるが、その代わりにこの状態を保つには他人の魂を吸い取る。ようは他人の魂を自らの魂に変換して奪い取る。仮にこの状態を開放式第一号と言う。停止は自らの意思では困難であり、非常に信用している人物に制御装置を渡しておかないと、肉挽き機は延々と肉を挽き続ける。貴方方の忠実なる僕イリイチより。」
彼が知っていることは全て書き、シックス・センスの研究は1つの完成系にたどり着いた。
間抜けな科学者が害虫のように駆除される姿を想像してニヤけるイリイチはその楽しい思い出をしまって寝るのであった。
「第六感の研究か。ロシアを初め、アメリカや中国も行っているな。だがロシアが1番進んでいるか。」
イリイチは研究結果を眺めながら、自らの正体の答えになるものを探していた。
第六感、通称シックス・センス。この能力の非凡な所は相手の意思や思考を自分の脳に受信できることである。相手の脳波を再現することなくそのまま受信できる。これは相手の行動を読めることということであり、それをつなぎ止めていけば未来予知すらも可能になる。受信する人数は大まかにしか決められないがある程度覚えた脳波を持つ人間の意思は個別に受信が可能になる。
なぜこの能力は食物連鎖の頂点にたつ超能力と呼ばれるかと言うと、超能力者というものは脳内で攻撃や防御のための能力を作り上げる。シックス・センスは受信と更には送信ができる。端的に言うと、超能力者が超能力を使って攻撃をすると決めた脳波を受信して、その脳波をほんの少しだけずらすことによって、超能力の無効化に近い行為が起こる。超能力者というものは脳内で複雑な計算を行っている。その計算式をほんの少し、例えば1を2にするだけで不発に終わる。それを無自覚の上で行えるシックス・センスの持ち主は攻撃を喰らうことは滅多にない。
また、シックス・センス上にて行われる大量の脳波受信はそのまま送信することも可能である。才覚のあるものでないと意識して使用は難しいが、訓練しだいでいくらでも強化できる。これを行うと何が起こるか。人間というものはひとつの思考を持って生きている。そのひとつの思考が無限に等しいほどに増殖するとどうなるか。脳の演算能力は限界を超え、意識を失う。
「第二号式か。」
イリイチの使える技の1つ、第六感開放式第二号。大人数の敵を行動不能にするだけではなく、自分と同格、または格上の相手にも通じるひとつのチート能力だ。ただし、見境なく送信をしてしまう為、無闇に使えば自分の首を占めることになる。また、何回も大量の意思を受信したことのある人間にはむしろ擬似的にシックス・センスを与えることになってしまう。
我々は第六感という神にも等しい力を対処するためにどうすればいいのか実験した。結果的にシックス・センスが反応する時間、0,001秒未満ほどの僅かな時間に攻撃を加えれば、対処可能であると言う結論を得た。当然、そのようなことを可能な兵器や人間はいない。だが超能力者という人間のための都合の良い力を持つ者であれば可能性があるという仮定を建てた。
「義経先輩がそうだな。超能力者として市場価値を150億円を超えるような猛者なら、全力でやれば可能ってわけだ。」
シックス・センスの果ては何も無い。第六感という力を悪用し、世界を変えてしまうような悪夢が生まれないことを願う。
「お前らの悪夢はこの俺だ。残念無念、南無三。」
イリイチはなんとも嫌味たらしく口にすると、シックス・センスに対する研究に付け加えることにした。
「雁首揃えて解明しきれない哀れな科学者の中の負け犬どもへ、シックス・センスそのものである私が付け加える。シックス・センスは生命の危機、ようは死にかけているときに暴走を始める。理屈で解決しようとする間抜けな貴公にもわかりやすくいえば、姿は少し変化するというだろう。目の色は赤色に切り替わり、少し髪は逆立つ。言動はより傲慢に不遜になり、脳内計算能力はより進化する。超能力を無効化するどころか、放った相手に対して全て喰らわせる、反射の進化版だ。超能力者に対しては完全に無敵になるが、その代わりにこの状態を保つには他人の魂を吸い取る。ようは他人の魂を自らの魂に変換して奪い取る。仮にこの状態を開放式第一号と言う。停止は自らの意思では困難であり、非常に信用している人物に制御装置を渡しておかないと、肉挽き機は延々と肉を挽き続ける。貴方方の忠実なる僕イリイチより。」
彼が知っていることは全て書き、シックス・センスの研究は1つの完成系にたどり着いた。
間抜けな科学者が害虫のように駆除される姿を想像してニヤけるイリイチはその楽しい思い出をしまって寝るのであった。
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