上 下
5 / 205
外道 日本に立つ

50億円の価値2

しおりを挟む

「日本人の友人たち」は、かなり利口な奴らだった。この学校に属して1週間程経つが、特に絡まれることも無く、日々俺の持つ力「シックスセンス」の研究のために、様々な兵器を破壊しつくしている。この学校の奴らが使えるような超能力を俺は一切使えないが、それでも難なく攻略できるようなガラクタばかりだった。
「この頭に付けたVRみたいなやつ、もう外していいっすか。」
超能力を学ぶ学校にいる以上、最低限の超能力ぐらいは使えるようになりたいものだが、中々超能力を学ぶ時間を用意してくれない、残念な気持ちだ。
「よし、わかった。もう今日のところは終わりにしよう。」
時刻は6時を回っていた。朝の九時から始まった研究は休憩1時間を含む9時間にも及んだ。
疲れ知らずといえばそうかもしれないが、シックスセンスを解放している間はそこまで疲れがない。ただ長い時間使っていると、後にかなりの疲労が出てくるだけだ。
「それにしても、シックスセンスを研究して一体何をしようってんです。世界征服でもするんですか。」
「世界征服?そんな俗な野望はないさ。未知の能力がでた。だからそれを研究し尽くす。それが役に立つのかは次の世代が決めることさ。」
研究者にとってこの能力は研究し尽くすに値するものであり、それでいて今の世代のうちでは研究はできても、利用はできない。それほどまでに空前絶後の未知の力ということなのか。
結局のところ、生まれた時から持っている力である以上、この能力を授かったのは神の恩恵かなにかかもしれない。少なくとも個人の才能として片付けるには少々強力すぎる側面がある。
物事というものはどこか引き寄せられておこることである。このシックスセンスは攻撃に使った回数より防衛に使ったことのが遥かに多い。その証拠という訳ではないが、半径1km以内に敵性意志を持った人間の意思を感じ取れる。ある程度思念すればより正確な位置も測り取れる。
「ハンドガンも持ってねぇのにどうしろってんだ。あと3秒以内に第一発射があるって言うのに。」
シックスセンスは決して嘘をつかない。この力に従えば、狙撃回避は非常に容易な行為だ。
「ファイア!なんつって。」
物の見事に自分の立ち位置1mに弾が着弾する。避けるのは本当に容易だ。
「タイミングがいいな…」
日本人の友人たちがやってくる。銃弾がないならこいつらを銃弾にしてしまえばいい。
「イリイチ、お前何やってr…」
かなりギリギリのズレで眉間直撃クリティカルショットを免れる。一応学校である以上流血沙汰はご勘弁してほしいものだ。
「話はあとだ。俺が撃てと言うからその瞬間に遠距離攻撃のなにか超能力をこっちにむかってぶっぱなせ。」
「遠距離って…当たるのかよ。」
「当たらせてやるさ。発射準備しとけ。」
超能力とひとえに言ってもピンからキリまで様々だ。遠距離攻撃はないとは思えなかった。
「発射まで3、2、1、撃て」
激しい閃光とともに青と黒で構成された光線が放たれる。命中を確認するまでに時間は必要なかった。
「2枚ターゲットダウン。敵性無力化。やるな。大智」
「遠距離攻撃を命中させたのは初めてだ。実感がわかねぇな。ある方がおかしいか。」
危機的な状況とはいえ、即座に対応して遠距離攻撃を放てる。やはり超能力者は伊達じゃないな。
「ところで、日本って国は銃規制が進んでいてスナイパーライフルなんてとてもじゃないが持てないと思っていたが、俺の認識が間違ってんのか?」
「間違ってないさ。全く持ってな。これは異常事態だ。だが、日常でもある。」
「この学校、創成学園は言ってしまえば学園そのものが治外法権だ。日本にて単純所持が禁じられてる銃は、この学校とその周辺に限り、所持、使用は半ば黙認されている。生徒が護衛のためにハンドガンを持ち歩くことは頻繁に見られる異常行為なのさ。」
常時戦闘状態。日本社会から隔離されているようにあるこの学校は、通常の警察の力が及ばないことが多々ある。生徒も教員も清掃員も全員武装状態。どこかのライフル協会が宣伝に使いそうだ。
「自己責任って訳だ。契約金で護衛でも雇うか。」
不労所得は不労のために貰うものなのかと認識を変えつつ、家路まで2人の少年はたどり着くのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

裕也の冒険 ~~不思議な旅~~

ひろの助
キャラ文芸
俺。名前は「愛武 裕也」です。 仕事は商社マン。そう言ってもアメリカにある会社。 彼は高校時代に、一人の女性を好きになった。 その女性には、不思議なハートの力が有った。 そして、光と闇と魔物、神々の戦いに巻き込まれる二人。 そのさなか。俺は、真菜美を助けるため、サンディアという神と合体し、時空を移動する力を得たのだ。 聖書の「肉と骨を分け与えん。そして、血の縁を結ぶ」どおり、 いろんな人と繋がりを持った。それは人間の単なる繋がりだと俺は思っていた。 だが… あ。俺は「イエス様を信じる」。しかし、組織の規律や戒律が嫌いではぐれ者です。 それはさておき、真菜美は俺の彼女。まあ、そんな状況です。 俺の意にかかわらず、不思議な旅が待っている。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

短編集

フォーゼイロ
キャラ文芸
短編集です お気に入りが見つかりますように

神様ふたりに溺愛されています!

yuki
キャラ文芸
前世の私が遺したある『お願い事』。 それを叶えるために、2人の神様が私の元へやってきた。 私のことを愛してやまない神様2人と一緒に暮らすことになって……? 私、上原千夜(うえはら ちよ)は霊感が強い高校三年生。 子どもの頃から霊としゃべったり、憑依された人に散々な目に遭わされてきた。 そのせいで彼氏もできず、男運サイアク!だと思っていたけれど。 18歳になる誕生日に、憑依された人に殺されそうになったところを、2人のイケメンな神様が助けてくれた。 その2人は、前世の私が死ぬ間際に願った事を叶えにきたのだった。 2人が聞き取れなかった願い事の一部を、現世の私が思い出すまで、同居生活をすることに! しかも、その間に2人の神様のことを、異性として好きにならなくちゃいけない!?

【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件

中島健一
ライト文芸
織原朔真16歳は人前で話せない。息が詰まり、頭が真っ白になる。そんな悩みを抱えていたある日、妹の織原萌にVチューバーになって喋る練習をしたらどうかと持ち掛けられた。 織原朔真の扮するキャラクター、エドヴァルド・ブレインは次第に人気を博していく。そんな中、チャンネル登録者数が1桁の時から応援してくれていた視聴者が、織原朔真と同じ高校に通う国民的アイドル、椎名町45に属する音咲華多莉だったことに気が付く。 彼女に自分がエドヴァルドだとバレたら落胆させてしまうかもしれない。彼女には勿論、学校の生徒達や視聴者達に自分の正体がバレないよう、Vチューバー活動をするのだが、織原朔真は自分の中に異変を感じる。 ネットの中だけの人格であるエドヴァルドが現実世界にも顔を覗かせ始めたのだ。 学校とアルバイトだけの生活から一変、視聴者や同じVチューバー達との交流、eスポーツを経て変わっていく自分の心情や価値観。 これは織原朔真や彼に関わる者達が成長していく物語である。 カクヨム、小説家になろうにも掲載しております。

異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!? 自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。 果たして雅は独りで生きていけるのか!? 実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。 ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています

【完結】神様WEB!そのネットショップには、神様が棲んでいる。

かざみはら まなか
キャラ文芸
22歳の男子大学生が主人公。 就活に疲れて、山のふもとの一軒家を買った。 その一軒家の神棚には、神様がいた。 神様が常世へ還るまでの間、男子大学生と暮らすことに。 神様をお見送りした、大学四年生の冬。 もうすぐ卒業だけど、就職先が決まらない。 就職先が決まらないなら、自分で自分を雇う! 男子大学生は、イラストを売るネットショップをオープンした。 なかなか、売れない。 やっと、一つ、売れた日。 ネットショップに、作った覚えがないアバターが出現! 「神様?」 常世が満席になっていたために、人の世に戻ってきた神様は、男子学生のネットショップの中で、住み込み店員になった。

処理中です...