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シーズン1 チャプター2 それでもおれは正義のヒーローなんかじゃないっ!!
030 性根の腐ったブタ野郎
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そんな儚い夢を覚えている頃、ホテルのドアがスローペースで4回ノックされた。おれはできる限り威厳があるように装った声色で、「入って良いぞ」と言う。
「閣下。ついにこのホテルが割り出されてしまったようです」
どこか楽しげな声色で返されるものだから、てっきり連邦政府との取引がうまく行ったものだと思っていたおれ。最前寒さ対策に飲んでいたガソリンを吐き出して部屋が火事になるところだった。
「エコー、そういうのは嬉しそうな声で言うものじゃないよ?」
人面鳥で翼と同じ白い髪をした美人のエコーは、羽をパタパタ動かし言う。
「嬉しくもなりますよ。我々の指導者がホテルに迫ったLASPDどもをなぎ倒してくれるんですから」
喜悦の表情でそんな素敵なことを言ってくれるものだから、おれも手元にある携帯電話で『指導者 やめ方』と検索したくなる。
「というわけで閣下、思い知らせてやってください!」
満面の笑みだ。コイツら、おれを戦闘狂かなにかだと勘違いしているだろ? 警察と交戦するのを喜ぶスライム娘だと? そりゃ素晴らしい妄想だ。一次試験で落としたくなるね。
「……。やるしかねえか」
ロスト・エンジェルスに転生してから分かったことがひとつある。それは、集団でなく個の強さが戦闘に極めて重要な結果をもたらすということだ。つまりおれを拘束しに来た連中にも必ず戦局を左右するおっそろしいヤツがいるってわけよ。
じゃあどうするって? ソイツを見つけ出してほどほどに闘ってお引取り願う。この道しかない。
「エコー、君はふたりを守ってくれ。おれは一番強いヤツを倒す」
「はい! 一番強いヤツは国防軍で50個以上の勲章をもらったチェロキーという性根の腐ったブタ野郎です!! 現在警察官たちの指揮を取っているかと!」
「……。海外で任務にあたっていたわけか」
「そのとおりです! ロスト・エンジェルス初の植民地獲得はあの野郎ひとりの力で行われましたが、閣下の敵ではないでしょう!!」
「……ほう」
はあ!? ひとりで植民地獲得!? 原住民だってたくさんいただろうに、たったひとりで領土拡大したのぉ!? 勝てるわけなくね!? コイツ、おれがおれだったものになること望んでいるんですかぁ!?
「ふん……。武者震いがしてきたよ。だが必ず勝たなければな。たがう者は皆粛清しなくてはならない」
「ロリコン、股からスライム垂れてる」
「しっ! タイラーめっちゃビビってるけど、部下の前じゃカッコつけたいんだから!」
はははっ。やっぱり君たちの前じゃお見通しか。けど、おれがやられたら君たちもやられちゃうんだぞ?
「よし、行こうか──」
ホテルの最上位スイートルームに、ドガガガッ!! と隕石らしきものが乱暴に撃ち込まれた。
おれは奇跡的にも無事だった。無事じゃないように見えたのは、ミリットとタイーシャ、そしてエコーだった。
おれは無言で腕に“悪魔の片鱗”をまとわせ、スライム特有の伸縮性を活かして地上へ巨大化した拳を放った。
聴こえる音は一緒だ。戦闘が始まる。
「閣下。ついにこのホテルが割り出されてしまったようです」
どこか楽しげな声色で返されるものだから、てっきり連邦政府との取引がうまく行ったものだと思っていたおれ。最前寒さ対策に飲んでいたガソリンを吐き出して部屋が火事になるところだった。
「エコー、そういうのは嬉しそうな声で言うものじゃないよ?」
人面鳥で翼と同じ白い髪をした美人のエコーは、羽をパタパタ動かし言う。
「嬉しくもなりますよ。我々の指導者がホテルに迫ったLASPDどもをなぎ倒してくれるんですから」
喜悦の表情でそんな素敵なことを言ってくれるものだから、おれも手元にある携帯電話で『指導者 やめ方』と検索したくなる。
「というわけで閣下、思い知らせてやってください!」
満面の笑みだ。コイツら、おれを戦闘狂かなにかだと勘違いしているだろ? 警察と交戦するのを喜ぶスライム娘だと? そりゃ素晴らしい妄想だ。一次試験で落としたくなるね。
「……。やるしかねえか」
ロスト・エンジェルスに転生してから分かったことがひとつある。それは、集団でなく個の強さが戦闘に極めて重要な結果をもたらすということだ。つまりおれを拘束しに来た連中にも必ず戦局を左右するおっそろしいヤツがいるってわけよ。
じゃあどうするって? ソイツを見つけ出してほどほどに闘ってお引取り願う。この道しかない。
「エコー、君はふたりを守ってくれ。おれは一番強いヤツを倒す」
「はい! 一番強いヤツは国防軍で50個以上の勲章をもらったチェロキーという性根の腐ったブタ野郎です!! 現在警察官たちの指揮を取っているかと!」
「……。海外で任務にあたっていたわけか」
「そのとおりです! ロスト・エンジェルス初の植民地獲得はあの野郎ひとりの力で行われましたが、閣下の敵ではないでしょう!!」
「……ほう」
はあ!? ひとりで植民地獲得!? 原住民だってたくさんいただろうに、たったひとりで領土拡大したのぉ!? 勝てるわけなくね!? コイツ、おれがおれだったものになること望んでいるんですかぁ!?
「ふん……。武者震いがしてきたよ。だが必ず勝たなければな。たがう者は皆粛清しなくてはならない」
「ロリコン、股からスライム垂れてる」
「しっ! タイラーめっちゃビビってるけど、部下の前じゃカッコつけたいんだから!」
はははっ。やっぱり君たちの前じゃお見通しか。けど、おれがやられたら君たちもやられちゃうんだぞ?
「よし、行こうか──」
ホテルの最上位スイートルームに、ドガガガッ!! と隕石らしきものが乱暴に撃ち込まれた。
おれは奇跡的にも無事だった。無事じゃないように見えたのは、ミリットとタイーシャ、そしてエコーだった。
おれは無言で腕に“悪魔の片鱗”をまとわせ、スライム特有の伸縮性を活かして地上へ巨大化した拳を放った。
聴こえる音は一緒だ。戦闘が始まる。
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