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シーズン1 いざMIH(メイド・イン・ヘブン)学園へ
009 初めてのチューの感想文を2日後に渡します!!
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そんな中、どこからともなくフロンティアが現れた。モアもその魔力に気が付き、明らかに敵対的な態度で、「なんの用?」と訊く。
「きょうはふたつにひとつを選ぶ時間だぜ。オレの傘下になるかオレと闘うか選びな」
「はあ? 悪いけどMIH学園での覇権争いには興味ないから」
「オマエが興味なくともオレに興味があンだよ!! オマエ、あの蒼龍のメビウスの孫娘だろ?」
「……。どこからそれを」
「雑魚そうなヤツ片端からぶん殴ってたら、口揃えてこんなこと言うんだ」
フロンティアは邪悪な笑顔を浮かべ、宣告するかのように言う。
「おれらじゃなくて蒼龍の孫娘狙えよ、写真送ってやるから……と。それでオレは確信したのさ。オレに頭叩かれてたポンコツ様はMIH学園プロスペクト第1位だと」
MIH学園に詳しくないメビウスでも分かる。おそらく学内でしか使えないネットワークがあるのだろう。それでモアの写真があるページへ行ったら事実だけが記されていたというわけか。『MIH学園プロスペクト第1位』と。
「おもしれーじゃん。間抜けな振りしてあの場切り抜けて。でもまあ、もう逃げるところはないなぁ?」
一触即発の事態。メビウスはカツカツとヒールの音を鳴らしながらそのフロンティアという小娘に詰め寄る。
だが、先にフロンティアの前へ立ったのは他でもないモアだった。
「……。さっきから聞いてりゃ舐めた口ばかり叩きやがって。あ? 身長160センチにも満たないしぐるぐるメガネかけてるからコイツ絶対弱いだろ的な? ならその出来損ないの頭に刻んであげる」
モアはメガネをしまった。
いかにも漫画のキャラがかけていそうなメガネ。そういえば散々ねだられて買ってあげたのだな。モアは両目視力2.0だからそれはいわゆる伊達メガネ。なんでもメガネキャラがメガネを外したらガチギレの合図だとかなんとか言っていたが……いままさにモアの怒りはピークに到達している。
「へえ。やる気になったみてーじゃん。オレに勝てる算段はもうついてるとでも?」
瞬間、フロンティアが原理不明の力で吹き飛ばされた。
「チィ!! いきなり魔力を投げやがって……。てめえ、『レジーナ・マギア』でも使ったのか?」
「それあたしの新魔術で~す。小物相手に『レジーナ・マギア』なんて使うと思う? ほらがら空きだよ~どこからでも新魔術を放てるよ~」
こうやって相手を煽るからモアはなかなか友だちができない。それはフロンティアも同様ではあるが。
弓矢が大量に現れ始めた。それぞれの矢に巨大なMIH学園をも破壊することができる強力な魔力をまとわせている。
「……。足んない」
「ンだとゴラ!!」
「ジョンさんみたいに四方八方から矢が飛んでくるなら交わせないけど、アンタの魔術はファザーコンプレックスをこじらせた末の少量の弓矢を出すことしかできない模倣。だっせえ~イキるんだったら人並みの実力つけてこいっての」
テレビで見た話なのだが、FPSというゲームジャンルは尽くプレイしている人間の口を悪くするという。そしてモアはFPSが大好きだ。ある日、モアが発狂するから心配になって部屋に駆けつけたら彼女の部屋の壁は消滅していた。
もうそのゲームはやめなさい、と忠告したはずだがもう染み付いてしまっているのかもしれない。
「かっこ悪い~。勝てる見込みを考えないで猪突猛進。言っておくね、あたしはおじいちゃんがいなくても充分に強いから。そうでしょ、おじいちゃん」
完全に呼び方を間違えている。いまのメビウスの姿的に、『お姉ちゃん』にしておかなければならなかったのに。
だから返事して良いか迷うが、モアの魔力がどす黒んだところでメビウスもモアの実力を教える。
「フロンティアくん、モアの新魔術は『理解不能』というすべての世界を探したとしても答えが出ないであろう魔術を操る。車が突っ込んできたらむしろ車をぺしゃんこの廃車にしたり、なにかが気に食わない男子の生徒を一週間限定でTS化させたり、といったところだ」
「なあ、アンタ。名前は?」
「バンデージだ」
「退屈な嘘をつくね~。バンデージ夫人はとうの昔に亡くなっているはずだ」
メビウスの説明をろくに聞いていないのは間違いない。この見た目は女性なのに一人称や喋り方は男性のそれとそっくりな少女は、いったいなぜメビウスの妻が亡くなっていることを知れた?
いや、もしかしたらモアがメビウスのことを「おじいちゃん」と呼ぶから、それで勘付かれたのであろう。だから情報収集を開始して、この白髮碧眼の正体を探ったのか?
「なあ、メビウスさん。はっきり言いましょうよ。あの孫娘は当然貴方の正体を知っていますよね? だったら99パーセントまで突き止めたオレにもなにか褒美をくれないと」
至近距離まで顔を近づけて、メビウスとフロンティアはにらみ合う。
メビウスの背後にはモアがいて、彼女がその気になればフロンティアを戦闘不能にすることもできる。
だが、メビウスは手で静止した。
そして答えを渡す。
「!!?」
「!!?」
それから十秒ほど。唇と唇が離れたときだった。
「そうだ。わしは蒼龍のメビウス。孫娘の研究でこんな姿になってしまったが、魂は紛れもなくメビウスのままだ」
わなわな震えながらメビウスを睨もうとするが、フロンティアはその度赤面して目線をずらしてしまう。
「ファーストキスだったのか? それはひどいことをしてしまった」
「と、と、とんでもないですぅ!! 初めてのチューの感想文を2日後に渡します!! じゃ、お先に!!」
モアがこちらに駆け寄ってくる。
「おじいちゃんなんであの子がトランスジェンダーで女の子が好きだって分かったの?」
「そうだな……。生きていれば無限に学べることもあるのさ」
たとえば男性と女性では魔力の質が違うとか、魔力量の多さからだいたい判別がつく。
「きょうはふたつにひとつを選ぶ時間だぜ。オレの傘下になるかオレと闘うか選びな」
「はあ? 悪いけどMIH学園での覇権争いには興味ないから」
「オマエが興味なくともオレに興味があンだよ!! オマエ、あの蒼龍のメビウスの孫娘だろ?」
「……。どこからそれを」
「雑魚そうなヤツ片端からぶん殴ってたら、口揃えてこんなこと言うんだ」
フロンティアは邪悪な笑顔を浮かべ、宣告するかのように言う。
「おれらじゃなくて蒼龍の孫娘狙えよ、写真送ってやるから……と。それでオレは確信したのさ。オレに頭叩かれてたポンコツ様はMIH学園プロスペクト第1位だと」
MIH学園に詳しくないメビウスでも分かる。おそらく学内でしか使えないネットワークがあるのだろう。それでモアの写真があるページへ行ったら事実だけが記されていたというわけか。『MIH学園プロスペクト第1位』と。
「おもしれーじゃん。間抜けな振りしてあの場切り抜けて。でもまあ、もう逃げるところはないなぁ?」
一触即発の事態。メビウスはカツカツとヒールの音を鳴らしながらそのフロンティアという小娘に詰め寄る。
だが、先にフロンティアの前へ立ったのは他でもないモアだった。
「……。さっきから聞いてりゃ舐めた口ばかり叩きやがって。あ? 身長160センチにも満たないしぐるぐるメガネかけてるからコイツ絶対弱いだろ的な? ならその出来損ないの頭に刻んであげる」
モアはメガネをしまった。
いかにも漫画のキャラがかけていそうなメガネ。そういえば散々ねだられて買ってあげたのだな。モアは両目視力2.0だからそれはいわゆる伊達メガネ。なんでもメガネキャラがメガネを外したらガチギレの合図だとかなんとか言っていたが……いままさにモアの怒りはピークに到達している。
「へえ。やる気になったみてーじゃん。オレに勝てる算段はもうついてるとでも?」
瞬間、フロンティアが原理不明の力で吹き飛ばされた。
「チィ!! いきなり魔力を投げやがって……。てめえ、『レジーナ・マギア』でも使ったのか?」
「それあたしの新魔術で~す。小物相手に『レジーナ・マギア』なんて使うと思う? ほらがら空きだよ~どこからでも新魔術を放てるよ~」
こうやって相手を煽るからモアはなかなか友だちができない。それはフロンティアも同様ではあるが。
弓矢が大量に現れ始めた。それぞれの矢に巨大なMIH学園をも破壊することができる強力な魔力をまとわせている。
「……。足んない」
「ンだとゴラ!!」
「ジョンさんみたいに四方八方から矢が飛んでくるなら交わせないけど、アンタの魔術はファザーコンプレックスをこじらせた末の少量の弓矢を出すことしかできない模倣。だっせえ~イキるんだったら人並みの実力つけてこいっての」
テレビで見た話なのだが、FPSというゲームジャンルは尽くプレイしている人間の口を悪くするという。そしてモアはFPSが大好きだ。ある日、モアが発狂するから心配になって部屋に駆けつけたら彼女の部屋の壁は消滅していた。
もうそのゲームはやめなさい、と忠告したはずだがもう染み付いてしまっているのかもしれない。
「かっこ悪い~。勝てる見込みを考えないで猪突猛進。言っておくね、あたしはおじいちゃんがいなくても充分に強いから。そうでしょ、おじいちゃん」
完全に呼び方を間違えている。いまのメビウスの姿的に、『お姉ちゃん』にしておかなければならなかったのに。
だから返事して良いか迷うが、モアの魔力がどす黒んだところでメビウスもモアの実力を教える。
「フロンティアくん、モアの新魔術は『理解不能』というすべての世界を探したとしても答えが出ないであろう魔術を操る。車が突っ込んできたらむしろ車をぺしゃんこの廃車にしたり、なにかが気に食わない男子の生徒を一週間限定でTS化させたり、といったところだ」
「なあ、アンタ。名前は?」
「バンデージだ」
「退屈な嘘をつくね~。バンデージ夫人はとうの昔に亡くなっているはずだ」
メビウスの説明をろくに聞いていないのは間違いない。この見た目は女性なのに一人称や喋り方は男性のそれとそっくりな少女は、いったいなぜメビウスの妻が亡くなっていることを知れた?
いや、もしかしたらモアがメビウスのことを「おじいちゃん」と呼ぶから、それで勘付かれたのであろう。だから情報収集を開始して、この白髮碧眼の正体を探ったのか?
「なあ、メビウスさん。はっきり言いましょうよ。あの孫娘は当然貴方の正体を知っていますよね? だったら99パーセントまで突き止めたオレにもなにか褒美をくれないと」
至近距離まで顔を近づけて、メビウスとフロンティアはにらみ合う。
メビウスの背後にはモアがいて、彼女がその気になればフロンティアを戦闘不能にすることもできる。
だが、メビウスは手で静止した。
そして答えを渡す。
「!!?」
「!!?」
それから十秒ほど。唇と唇が離れたときだった。
「そうだ。わしは蒼龍のメビウス。孫娘の研究でこんな姿になってしまったが、魂は紛れもなくメビウスのままだ」
わなわな震えながらメビウスを睨もうとするが、フロンティアはその度赤面して目線をずらしてしまう。
「ファーストキスだったのか? それはひどいことをしてしまった」
「と、と、とんでもないですぅ!! 初めてのチューの感想文を2日後に渡します!! じゃ、お先に!!」
モアがこちらに駆け寄ってくる。
「おじいちゃんなんであの子がトランスジェンダーで女の子が好きだって分かったの?」
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