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8話
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パルメは蛇に締め上げられている少女を助ける。
全身にすさまじい圧をかけられたためか、穴という穴から血や汚物を垂れ流しているが、数か所を骨折しているだけで、死んではいない。
「ナノマシンで汚物を分解して、後は蛇の血肉と本人のナノマシンを使わせてもらいましょう」
パルメは、自身の所持する洗浄用のナノマシンで、少女の汚れを落としていく。
その後に、少女に手を当てて、少女の中のナノマシンを活性化させて、そこに蛇の血肉を少女の口に突っ込んで栄養とする。
しばらく少女が抵抗していたが、それを押さえつけて、パルメは少女に血肉を摂取させ少女の容体が安定したところで、ナノマシンの活性化を停止する。
「さて、後はケモミミの確保ですね」
パルメは少女を抱えて、樹上を移動する。
パルメが少年少女たちで構成されたハンターの集団に追いついたときには、少年少女たちは仲間の1人がいなくなったことに気づき周囲を警戒していた。
「あれではどうしようもないでしょう」
少年少女たちでは経験が足りない。
蛇を倒すためには、鳥獣が蠢く音の溢れる森の中で、その移動を的確に感知する必要がある。
しかし、緊張から息の乱れている彼らでは、音の中に紛れる蛇の移動音を拾いきれないだろう。
このまま全滅は目に見えているため、ただケモミミが生き残るようにパルメは少年少女たちにわからないように蛇をけん制する。
しばらくすると、パルメによって牽制される猫の様なケモミミ少女以外は襲えると判断した蛇たちが、少年少女たちを襲う。
まずは地を這って、姿の見えない蛇が、ケモミミを持った少年を襲う。
次は、その少年が襲われたことに気を取られ振り返った人間の少女が、後ろから襲われる。
2人が襲われ、唖然としているケモミミの少女。
最後の1人である少年は、咄嗟の判断でその場から逃げ出そうとしたが、すぐさま蛇につかまり藪の中に引っ張り込まれた。
いつの間にかケモミミ少女の周りには誰もいなくなっていた。
「あ、あ、ひぃ!」
風が吹き、木が揺れ葉がこすれる音、落ち葉の落ちる音、遠くから聞こえてくる鳥の羽ばたく音。
全てが少女を怯えさせる。
「た、助けて、助けて」
頭を抱えうずくまり、ガタガタと少女は震えながらか細く声を出す。
「……?」
そうして、少女は震え続けていたが、何も起こらず。
おもむろに頭をあげて、周囲を見渡す。
「助かったの……? たすか──え、ぁぁぁあああ、いやぁぁぁぁっぁああああああ!! やだ、やだ、死にたくない! 死にたくない!!」
頭をあげて、助かったのかと思って気を抜いた瞬間に、少女の足に何かが絡む。
それに気づいた瞬間に、少女は声をあげた。
しかし、ものすごい力で引っ張られ、地面に爪を立てて抵抗しようとしても、そんな抵抗無駄とばかりに少女の爪をはがしながら、少女は引きずられる。
「あぁぁぁあああ! あぁ!? あ?」
もう少しで木の上に引き上げられるというところで、それは止まり少女は困惑の声を出す。
「もう大丈夫ですよ」
「だ、れ?」
ケモミミ少女が涙や鼻水などでぐしゃぐしゃの顔を向けた先には、フードを被った女性がいた。
そこに、仲間の少女が抱えられていることに、涙で視界がぼやけているケモミミ少女は気づかない。
フードを被った女性。
パルメは、ケモミミ少女に近づき抱きしめる。
「安心してください。もう何も怖いものは居ませんから」
「う、うゎぁぁああああんんん!!」
パルメの言葉に安心したのか、少女はパルメに縋りついて、泣き叫ぶ。
本来、森の中で、これだけ大声を出して泣けば、すぐさま生物兵器に囲まれて死ぬことになる。
しかし、不思議と生物兵器たちは、近づいてくることなく、少女が泣き止むまで何事もなく時間が過ぎ去るのであった。
全身にすさまじい圧をかけられたためか、穴という穴から血や汚物を垂れ流しているが、数か所を骨折しているだけで、死んではいない。
「ナノマシンで汚物を分解して、後は蛇の血肉と本人のナノマシンを使わせてもらいましょう」
パルメは、自身の所持する洗浄用のナノマシンで、少女の汚れを落としていく。
その後に、少女に手を当てて、少女の中のナノマシンを活性化させて、そこに蛇の血肉を少女の口に突っ込んで栄養とする。
しばらく少女が抵抗していたが、それを押さえつけて、パルメは少女に血肉を摂取させ少女の容体が安定したところで、ナノマシンの活性化を停止する。
「さて、後はケモミミの確保ですね」
パルメは少女を抱えて、樹上を移動する。
パルメが少年少女たちで構成されたハンターの集団に追いついたときには、少年少女たちは仲間の1人がいなくなったことに気づき周囲を警戒していた。
「あれではどうしようもないでしょう」
少年少女たちでは経験が足りない。
蛇を倒すためには、鳥獣が蠢く音の溢れる森の中で、その移動を的確に感知する必要がある。
しかし、緊張から息の乱れている彼らでは、音の中に紛れる蛇の移動音を拾いきれないだろう。
このまま全滅は目に見えているため、ただケモミミが生き残るようにパルメは少年少女たちにわからないように蛇をけん制する。
しばらくすると、パルメによって牽制される猫の様なケモミミ少女以外は襲えると判断した蛇たちが、少年少女たちを襲う。
まずは地を這って、姿の見えない蛇が、ケモミミを持った少年を襲う。
次は、その少年が襲われたことに気を取られ振り返った人間の少女が、後ろから襲われる。
2人が襲われ、唖然としているケモミミの少女。
最後の1人である少年は、咄嗟の判断でその場から逃げ出そうとしたが、すぐさま蛇につかまり藪の中に引っ張り込まれた。
いつの間にかケモミミ少女の周りには誰もいなくなっていた。
「あ、あ、ひぃ!」
風が吹き、木が揺れ葉がこすれる音、落ち葉の落ちる音、遠くから聞こえてくる鳥の羽ばたく音。
全てが少女を怯えさせる。
「た、助けて、助けて」
頭を抱えうずくまり、ガタガタと少女は震えながらか細く声を出す。
「……?」
そうして、少女は震え続けていたが、何も起こらず。
おもむろに頭をあげて、周囲を見渡す。
「助かったの……? たすか──え、ぁぁぁあああ、いやぁぁぁぁっぁああああああ!! やだ、やだ、死にたくない! 死にたくない!!」
頭をあげて、助かったのかと思って気を抜いた瞬間に、少女の足に何かが絡む。
それに気づいた瞬間に、少女は声をあげた。
しかし、ものすごい力で引っ張られ、地面に爪を立てて抵抗しようとしても、そんな抵抗無駄とばかりに少女の爪をはがしながら、少女は引きずられる。
「あぁぁぁあああ! あぁ!? あ?」
もう少しで木の上に引き上げられるというところで、それは止まり少女は困惑の声を出す。
「もう大丈夫ですよ」
「だ、れ?」
ケモミミ少女が涙や鼻水などでぐしゃぐしゃの顔を向けた先には、フードを被った女性がいた。
そこに、仲間の少女が抱えられていることに、涙で視界がぼやけているケモミミ少女は気づかない。
フードを被った女性。
パルメは、ケモミミ少女に近づき抱きしめる。
「安心してください。もう何も怖いものは居ませんから」
「う、うゎぁぁああああんんん!!」
パルメの言葉に安心したのか、少女はパルメに縋りついて、泣き叫ぶ。
本来、森の中で、これだけ大声を出して泣けば、すぐさま生物兵器に囲まれて死ぬことになる。
しかし、不思議と生物兵器たちは、近づいてくることなく、少女が泣き止むまで何事もなく時間が過ぎ去るのであった。
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