おじさん、後方黒幕面する

4話

　パルメが外に出ることが決まったわけだが、出た後の予定もあるので今ある情報で一応の予定を組むこととなる。

「ハンターね」
「はい。身分を用意するのに一番手っ取り早いかと」

　なんでも文明が滅んだのは800年も前とのことだ。
　最終戦争で生き残ったのは核シェルターも備えたアーコロジーに住んでた金持ちばかり。
　アーコロジーは最終戦争前に造られ始めたもので、その当時アーコロジー内に土地を買い住んでいた人間は1000人前後のみ。
　世界各地にあったそれの中で、壊れずに残ったものが83。
　世界全体での生き残りは10万人程度だったらしい。

　そこから、800年で、アーコロジーは57に減り、しかし人口は推定5000万人まで増えているらしい。
　人口が曖昧なのは、アーコロジー内に住める者は10万人程度であり、それ以上は外に追い出されアーコロジー内のＡＩに住民登録されていないため、アーコロジー外の人口を正確に得られなかったためだ。

　そんな、アーコロジー外の住人たちだが、一応はアーコロジー内の人間とＷＩＮＷＩＮの関係を築いている。
　最終戦争当時アーコロジーは建設されたばかりで、その中の設備的には10万人を賄うことができるものだが、住んでいる者が少なかったため1万人の人間を賄うことができる程度の資材や物資しかなかったようだ。

　そんなわけで、アーコロジーは最終戦争後に、賄いきれない住人を外に追い出した。
　もちろん当初は確執があったが、アーコロジーは安全な水と食事を餌に外に追い出した住人を使って、中に足りない資材や物資を集めさせた。
　それが時を経て、ハンターという立場となったというわけだ。

　このハンターという立場だが、アーコロジーはどこも資材物資不足であり、アーコロジー同士は連絡を取り合えていたため、その身分はどこのアーコロジー外の街に行っても変わらないようになっている。
　その分、何かやらかした場合、他の街に行ってもバレるという面もある。

　だが、このハンターになるのは簡単だ。
　ただ単純に、生体情報を登録して、カードを発行するだけ。
　アーコロジー外の人間は、戸籍なんてものはないから、過去の調査なんてないし紛れ込むにはうってつけと言えるだろう。

「それが最初の一歩だな」
「はい」
「その後は？」
「安全を確認し、今回の情報に誤りが無いようなら、後はご主人様の如何様にも」

　まぁ、それでいいか。
　パルメを囮にするようで悪いが、同期用の端末も置いているから、最悪パルメが壊されても新しく機体を創れば元通りだ。

「まずは外の情報、外の周辺に危険が無いようなら、俺はそのままこの辺りを拠点として整備する。こっちはそんな感じだな」

　まずは実際に外を見るしかない。
　パルメが外に出る前に、パルメのための装備と、パルメが出ている間の俺の護衛や拠点建築のためのパルメの姉妹機の用意。
　とりあえず、できるだけ準備をして、パルメには頑張ってもらおう。
　そして、安全だと分かったら、チーレムを作るんだ！