14 / 32
怒鳴り合い
しおりを挟む
5歳の寒い冬の夜だった。
形だけはあった家族が
崩れ壊れたのは。
その時まで私は何も分かっていなかった。父が何を考えていたのかを。
そしてあの日は私を変えた。
いつものように私の寝室で
母は色々な歴史の話を
聞かせてくれた。
それは歴史書の綺麗事の文章
よりもとても現実的で闇が
見える内容だった。
しばらくすると何やら怒鳴りが聞こえた。
母は渋面の顔つきで
「ルファーナはもう寝なさい。」
と言い放ち
部屋を出ていった。
母が部屋を出ていくと
怒鳴り声はより一層大きくなった。
…何があったんだろう
私は母が心配だったので
様子を見に行った。
怒鳴り声が聞こえたのは玄関の方からだった。
玄関に向かっているとエナが
「ルファーナお嬢様どこに行くんです?玄関へ行ってはダメです。」
と私を咎めてきた。
「…怒鳴り声がするの。お母様が危ないかも知れないの。」
エナは哀しそうな顔をし
「お嬢様…。」と呟いた。
エナは何かを覚悟したように言った。
「…お嬢様。お嬢様が居ること絶対にバレてはいけませんよ。」
「わかった!ありがとう。エナ!」
私はそう言い残し玄関へ向かった。
音を立てない歩き方、盗み聞きの練習は沢山した。
後に役立つと言われ母に教わったが
本当に役立つとは。
静かに耳を澄まし話し声を聞く。
「何が悪いんだ!別に良いだろう!お前も俺も関係が破綻してるのだから!」
「良くないに決まってるでしょ!
何考えてるのよ!?頭が悪いとは思ってたけどここまでとは思わなかったわ。」
2人の怒鳴り声は耳が痛かった。
しかし何に揉めてるのだろう。
考えていると理由はすぐに分かった。
「お前とあの子どもと居ると息が詰まるんだ!
だから俺の愛する新しい妻と娘を連れてきたんだ!」
………え?5歳の私でも分かった。
本当に私の父、頭が悪い。
形だけはあった家族が
崩れ壊れたのは。
その時まで私は何も分かっていなかった。父が何を考えていたのかを。
そしてあの日は私を変えた。
いつものように私の寝室で
母は色々な歴史の話を
聞かせてくれた。
それは歴史書の綺麗事の文章
よりもとても現実的で闇が
見える内容だった。
しばらくすると何やら怒鳴りが聞こえた。
母は渋面の顔つきで
「ルファーナはもう寝なさい。」
と言い放ち
部屋を出ていった。
母が部屋を出ていくと
怒鳴り声はより一層大きくなった。
…何があったんだろう
私は母が心配だったので
様子を見に行った。
怒鳴り声が聞こえたのは玄関の方からだった。
玄関に向かっているとエナが
「ルファーナお嬢様どこに行くんです?玄関へ行ってはダメです。」
と私を咎めてきた。
「…怒鳴り声がするの。お母様が危ないかも知れないの。」
エナは哀しそうな顔をし
「お嬢様…。」と呟いた。
エナは何かを覚悟したように言った。
「…お嬢様。お嬢様が居ること絶対にバレてはいけませんよ。」
「わかった!ありがとう。エナ!」
私はそう言い残し玄関へ向かった。
音を立てない歩き方、盗み聞きの練習は沢山した。
後に役立つと言われ母に教わったが
本当に役立つとは。
静かに耳を澄まし話し声を聞く。
「何が悪いんだ!別に良いだろう!お前も俺も関係が破綻してるのだから!」
「良くないに決まってるでしょ!
何考えてるのよ!?頭が悪いとは思ってたけどここまでとは思わなかったわ。」
2人の怒鳴り声は耳が痛かった。
しかし何に揉めてるのだろう。
考えていると理由はすぐに分かった。
「お前とあの子どもと居ると息が詰まるんだ!
だから俺の愛する新しい妻と娘を連れてきたんだ!」
………え?5歳の私でも分かった。
本当に私の父、頭が悪い。
1
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説
王妃さまは断罪劇に異議を唱える
土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。
そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。
彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。
王族の結婚とは。
王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。
王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。
ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
亡くなった王太子妃
沙耶
恋愛
王妃の茶会で毒を盛られてしまった王太子妃。
侍女の証言、王太子妃の親友、溺愛していた妹。
王太子妃を愛していた王太子が、全てを気付いた時にはもう遅かった。
なぜなら彼女は死んでしまったのだから。
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
浮気をした王太子が、真実を見つけた後の十日間
田尾風香
恋愛
婚姻式の当日に出会った侍女を、俺は側に置いていた。浮気と言われても仕方がない。ズレてしまった何かを、どう戻していいかが分からない。声には出せず「助けてくれ」と願う日々。
そんな中、風邪を引いたことがきっかけで、俺は自分が掴むべき手を見つけた。その掴むべき手……王太子妃であり妻であるマルティエナに、謝罪をした俺に許す条件として突きつけられたのは「十日間、マルティエナの好きなものを贈ること」だった。
公爵様は幼馴染に夢中のようですので別れましょう
カミツドリ
恋愛
伯爵令嬢のレミーラは公爵閣下と婚約をしていた。
しかし、公爵閣下は幼馴染に夢中になっている……。
レミーラが注意をしても、公爵は幼馴染との関係性を見直す気はないようだ。
それならば婚約解消をしましょうと、レミーラは公爵閣下と別れることにする。
しかし、女々しい公爵はレミーラに縋りよって来る。
レミーラは王子殿下との新たな恋に忙しいので、邪魔しないでもらえますか? と元婚約者を冷たく突き放すのだった。覆水盆に返らず、ここに極まれり……。
婚約者とその幼なじみの距離感の近さに慣れてしまっていましたが、婚約解消することになって本当に良かったです
珠宮さくら
恋愛
アナスターシャは婚約者とその幼なじみの距離感に何か言う気も失せてしまっていた。そんな二人によってアナスターシャの婚約が解消されることになったのだが……。
※全4話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる