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本性、偽装と本装の境界
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あの子供を探し始めて数分、庭で一人楽しそうに手毬をして遊んでいる子供を発見した。
近寄ると、子供は俺に気づいたらしく、怯えた顔をして俺を見ていた。
志哉「あの巫女の妹か」
遊鳥「は、はい!あ、遊鳥です…」
俺は遊鳥に手紙を差し出す。
志哉「これをあの巫女に渡せ」
遊鳥「え…でも…」
志哉「いいから渡しなさい」
少し睨んで言う。
遊鳥「は、はいっ…」
遊鳥は手紙を受け取る。
その時、
タッタッタッ
少し重い、しなやかな足音が聞こえた。
角からでてきたのは、信幸殿だった。
信幸殿は我等を見ると、少し笑顔をみせた。
信幸「もう仲良くなられたのですか?」
遊鳥「あ、えっと…」
遊鳥は少し戸惑っていた。
志哉「ええ、お話程度ですが」
遊鳥の代わりに、俺が話す。
遊鳥「お、お邪魔…ですよね。失礼しますっ!!」
そう言うと遊鳥は走り去っていった。
信幸殿はその間に、俺に近付いて来た。
信幸「遊鳥は、少し人見知りなのですよ」
志哉「遊鳥殿は、信幸殿の娘ですか?」
信幸「ふふふ、ご冗談を」
そうだろうな、誰もあんな子供欲しがらない。
信幸「あんな綺麗な娘など、私には不釣り合いです」
志哉「そうですか」
信幸「ところで、何を話しておられたのですか?」
志哉「神奈殿について話しておりました」
信幸「神奈についてですか」
志哉「はい、才色兼備の姉だと言っておりましたね」
信幸「そうですね、幸村もあのような妻を持ち、とても喜んでおりました」
志哉「幸村殿の奥方でしたか」
信幸「ええ、あの二人が共に居る時は、とても微笑ましい雰囲気ですよ」
志哉「そうなのですか、それは幸せですね」
信幸「幸村に剣術なども教えているのです。ただ…」
ただ…?
信幸「幸村が、行き過ぎた好意を神奈に押し付けているようで、困ったものです」
志哉「それは大変ですね」
信幸「はい、最悪暴走してしまうので、そうなる直前に、神奈が幸村を失神させるんですよ」
流石は巫女というところか。
強力な力を持っている。
面白い。
信幸「あ、そろそろ失礼しますね」
志哉「何かご用事ですか?」
信幸「はい、幸村に兵法の勉強をさせねばいけないので」
志哉「そうですか、頑張って下さい」
信幸「ありがとうございます、では」
そう言い信幸殿は去っていった。
妖怪「かなりの長話だったね」
横から見る男の声が聞こえた。
志哉「あの方の話を遮ったら失礼だからな」
妖怪「ま、いいけど」
男は歩き始めた。
志哉「どこに行くっ!?」
妖怪「勿論、指定した場所」
成程、手紙には場所が書いてあったのか。
歩く男について行く。
(もうすぐで、あいつを殺せる…!)
志哉「いつ来るんだ?」
広い庭で待ち続けてかれこれもう1時間はたった。
妖怪「さあね、もうちょっとじゃないかな?」
男は呑気に答える。
突然、ふと、思い出した様な顔をした。
妖怪「そう言えば、やり忘れたことがあった」
突然、見えない程にはやい動きで、男が俺の首に刀を当てた。
そして、男は後ろに周り、完全に動けなくなった。
志哉「な、何をっ!?」
妖怪「神奈を殺す為には、こうするんだった」
屋敷に目を向けると、真田兵がこちらに歩いているのがみえた。
真田兵と目があう。
兵「か、神奈様を呼ばなければっ」
真田兵が走り去っていく。
(はやく呼んでくれ…!)
妖怪「本当にはやく呼んじゃっていいの?」
何を言ってるんだ。
ダダダダッ
複数人の足音が聞こえる。
神奈と幸村殿、信幸殿に真田兵の何人かが、集まる。
幸村「どういうことだ…?」
神奈「何が目的だっ!悪魔!!」
悪魔…?悪魔だと…?
そんなものただの言い伝えに決まっているだろうが!
妖怪「目的…?そうだね、君を迎えに来たんだよ」
神奈「はあ!?」
妖怪「正確に言えば、君を俺のモノにするためかな、くふふ…」
神奈「成程…」
渚菜「っ…」
異国の服装をした少女が悪魔を睨みながら、先が丸い刃物を2~3本構えた。
それを神奈が手で止める。
幸村「何のことだ?神奈」
神奈「神社の賽銭箱に何通か、手紙が入ってたんだ」
妖怪「読んでくれたかい?それが俺の君に対する想いだよ」
神奈「誰が読むか、あんな気持ち悪いの」
神奈「それに、今更移り変わるとかできないし」
妖怪「…理由を聞かせてもらおうか」
神奈「隣にいるやつが、私の夫だからだ」
幸村「神奈~♪」
幸村殿が、神奈にとびつく。
神奈「今緊急事態だからあとにして」
幸村「お、おう…」
幸村殿は、あっさりと離れる。
妖怪「ふーん、つまり…」
男が今までにない、恐怖のを浮かべた。
妖怪「そいつを殺せば、俺の物になってくれるんだねっ!!」
男は幸村殿目掛けて、俺を抑えながら走りだした。
幸村「っ!?」
幸村殿に辿り着くまであと10cmにも満たないギリギリのところで、声が聞こえた。
「幻符…『崩壊郷』!!」
神奈がそう言うと、目の前が真っ白になった。
俺は思わず、目を閉じていた。
…。
心地よいそよ風が、頬を撫でる。
恐る恐る目を開けると、空は先程まで日がたかく、晴天のはずだったが、今は空が真っ黒で、どんよりとした雲が月を覆い隠していた。
全てが暗い世界で、鮮やかに咲き散る桜が目に留まる。
妖怪「結界を張ってまで、あの男を守りたいのか」
神奈「結界?馬鹿なことを言うな。これは人間が見る夢、幻想の末だ」
結界?
幻想?
話がみえてこない。
男と神奈は互いに睨み合いながら、止まっている。
いつまでこれが続くのか…。
近寄ると、子供は俺に気づいたらしく、怯えた顔をして俺を見ていた。
志哉「あの巫女の妹か」
遊鳥「は、はい!あ、遊鳥です…」
俺は遊鳥に手紙を差し出す。
志哉「これをあの巫女に渡せ」
遊鳥「え…でも…」
志哉「いいから渡しなさい」
少し睨んで言う。
遊鳥「は、はいっ…」
遊鳥は手紙を受け取る。
その時、
タッタッタッ
少し重い、しなやかな足音が聞こえた。
角からでてきたのは、信幸殿だった。
信幸殿は我等を見ると、少し笑顔をみせた。
信幸「もう仲良くなられたのですか?」
遊鳥「あ、えっと…」
遊鳥は少し戸惑っていた。
志哉「ええ、お話程度ですが」
遊鳥の代わりに、俺が話す。
遊鳥「お、お邪魔…ですよね。失礼しますっ!!」
そう言うと遊鳥は走り去っていった。
信幸殿はその間に、俺に近付いて来た。
信幸「遊鳥は、少し人見知りなのですよ」
志哉「遊鳥殿は、信幸殿の娘ですか?」
信幸「ふふふ、ご冗談を」
そうだろうな、誰もあんな子供欲しがらない。
信幸「あんな綺麗な娘など、私には不釣り合いです」
志哉「そうですか」
信幸「ところで、何を話しておられたのですか?」
志哉「神奈殿について話しておりました」
信幸「神奈についてですか」
志哉「はい、才色兼備の姉だと言っておりましたね」
信幸「そうですね、幸村もあのような妻を持ち、とても喜んでおりました」
志哉「幸村殿の奥方でしたか」
信幸「ええ、あの二人が共に居る時は、とても微笑ましい雰囲気ですよ」
志哉「そうなのですか、それは幸せですね」
信幸「幸村に剣術なども教えているのです。ただ…」
ただ…?
信幸「幸村が、行き過ぎた好意を神奈に押し付けているようで、困ったものです」
志哉「それは大変ですね」
信幸「はい、最悪暴走してしまうので、そうなる直前に、神奈が幸村を失神させるんですよ」
流石は巫女というところか。
強力な力を持っている。
面白い。
信幸「あ、そろそろ失礼しますね」
志哉「何かご用事ですか?」
信幸「はい、幸村に兵法の勉強をさせねばいけないので」
志哉「そうですか、頑張って下さい」
信幸「ありがとうございます、では」
そう言い信幸殿は去っていった。
妖怪「かなりの長話だったね」
横から見る男の声が聞こえた。
志哉「あの方の話を遮ったら失礼だからな」
妖怪「ま、いいけど」
男は歩き始めた。
志哉「どこに行くっ!?」
妖怪「勿論、指定した場所」
成程、手紙には場所が書いてあったのか。
歩く男について行く。
(もうすぐで、あいつを殺せる…!)
志哉「いつ来るんだ?」
広い庭で待ち続けてかれこれもう1時間はたった。
妖怪「さあね、もうちょっとじゃないかな?」
男は呑気に答える。
突然、ふと、思い出した様な顔をした。
妖怪「そう言えば、やり忘れたことがあった」
突然、見えない程にはやい動きで、男が俺の首に刀を当てた。
そして、男は後ろに周り、完全に動けなくなった。
志哉「な、何をっ!?」
妖怪「神奈を殺す為には、こうするんだった」
屋敷に目を向けると、真田兵がこちらに歩いているのがみえた。
真田兵と目があう。
兵「か、神奈様を呼ばなければっ」
真田兵が走り去っていく。
(はやく呼んでくれ…!)
妖怪「本当にはやく呼んじゃっていいの?」
何を言ってるんだ。
ダダダダッ
複数人の足音が聞こえる。
神奈と幸村殿、信幸殿に真田兵の何人かが、集まる。
幸村「どういうことだ…?」
神奈「何が目的だっ!悪魔!!」
悪魔…?悪魔だと…?
そんなものただの言い伝えに決まっているだろうが!
妖怪「目的…?そうだね、君を迎えに来たんだよ」
神奈「はあ!?」
妖怪「正確に言えば、君を俺のモノにするためかな、くふふ…」
神奈「成程…」
渚菜「っ…」
異国の服装をした少女が悪魔を睨みながら、先が丸い刃物を2~3本構えた。
それを神奈が手で止める。
幸村「何のことだ?神奈」
神奈「神社の賽銭箱に何通か、手紙が入ってたんだ」
妖怪「読んでくれたかい?それが俺の君に対する想いだよ」
神奈「誰が読むか、あんな気持ち悪いの」
神奈「それに、今更移り変わるとかできないし」
妖怪「…理由を聞かせてもらおうか」
神奈「隣にいるやつが、私の夫だからだ」
幸村「神奈~♪」
幸村殿が、神奈にとびつく。
神奈「今緊急事態だからあとにして」
幸村「お、おう…」
幸村殿は、あっさりと離れる。
妖怪「ふーん、つまり…」
男が今までにない、恐怖のを浮かべた。
妖怪「そいつを殺せば、俺の物になってくれるんだねっ!!」
男は幸村殿目掛けて、俺を抑えながら走りだした。
幸村「っ!?」
幸村殿に辿り着くまであと10cmにも満たないギリギリのところで、声が聞こえた。
「幻符…『崩壊郷』!!」
神奈がそう言うと、目の前が真っ白になった。
俺は思わず、目を閉じていた。
…。
心地よいそよ風が、頬を撫でる。
恐る恐る目を開けると、空は先程まで日がたかく、晴天のはずだったが、今は空が真っ黒で、どんよりとした雲が月を覆い隠していた。
全てが暗い世界で、鮮やかに咲き散る桜が目に留まる。
妖怪「結界を張ってまで、あの男を守りたいのか」
神奈「結界?馬鹿なことを言うな。これは人間が見る夢、幻想の末だ」
結界?
幻想?
話がみえてこない。
男と神奈は互いに睨み合いながら、止まっている。
いつまでこれが続くのか…。
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