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9. 袋小路に追い詰められたようです。
袋小路に追い詰められたようです。① 【R18】
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屋上の出来事があったその日。
このクソ暑い最中、汗を垂らしながら “優” に負ぶさって離れなかった “美佳” 誘導のもと、二人は安西家のバスルームに直行した。
(優の考えそうなことくらい分かってたけどね)
美佳がスポンジをクシュクシュと泡立て、“美佳” を洗い始める。
未だに自分の目の前で、優に身体を洗って欲しくない彼女のささやかな抵抗ではあるのだが、優が知らない場所がない今となっては、ほとんど意味などない。
ただ機械的に洗えば、普通に洗っていて変な気分になることはない。ただそれが優のお気に召すかは別の話で。
案の定、“美佳” の顔は不服そうだ。
「お前もっとこお、気持ち良く洗えないの?」
「綺麗にするのにその必要はないでしょ」
「普通ならエロいシチュなのに、何で毎度毎度、子供洗うみたいに洗うんだよ」
「だって “美佳” だし」
「だって “美佳” だし、じゃねぇ!」
優は美佳からスポンジを奪い取り、ガッコガッコとボディーソープのポンプを押して、両手でグッシュグッシュと泡立てる。で、“優” の身体をゴシゴシ洗い始めた。
「こんなんで気持ちいいわけ?」
「普通に気持ちいいじゃん」
「俺は普通の気持ちよさなんて求めてないから!!」
「あたしに過度の期待を持たないでよ」
「うるさい。絶対美佳を俺好みのエロにしてやる」
「だから何なの、その宣言はッ!?」
とまあここまではいつも通り色気もへったくれもない会話をし、優が矢庭にスポンジの泡を扱いて取ると “優” の胸にゆっくり円を描きながら、塗り付けていく。
“美佳” の指が均整のとれた筋肉のラインをなぞり、引き締まった胸板の尖端を弾くと、“優” の身体が僅かに震えた。
「男でも女でも快感を味わうことが出来るなんて、誰でも出来ることじゃないんだから楽しめよ」
「あたしは優みたいに奔放には出来……ぁっ」
“美佳” の手がゆっくりと弧を描きながら、胸から背中、腰骨、下腹と撫で、反射的に“優” の唇からは吐息が漏れていた。
下生えに微かに触れながらその手指は核心から遠ざかり、優しくねっとりと嬲りながら尻、太腿とくるくる滑り落ちて行く。
内股を滑って行くと、それまで眠った子のように大人しかった半身が、期待したかのようにピクピクと蠢き始め、“美佳” の口元に笑みが浮かんだ。
“優” をバスタブの淵に座らせ、ふくらはぎ、踵、甲と流れ、指の一本一本を丁寧に洗って行くのを見詰める目は熱く潤み、身体の中心は先程より大きく上下する雄が、覚醒する寸前だった。
けれど、“美佳” の指がそこに触れることはなく、いきなりお湯が降り注いできた。
平素なら “美佳” の指でそんなモノに触らないでと騒いでるのに。
けど焦らされた雄が触れて欲しいと、扱いて欲しいと切なく疼いている。
泣きそうな眼差しで “美佳” を見ると、「どうして欲しい?」と意地悪な優の顔で笑う。美佳は言葉に詰まって唇を噛んだ。
(…悔しい)
見慣れた自分の身体くらいじゃ欲情しない。けど、こうやって優に触られると、簡単に欲情させられてしまう。
美佳は “美佳” を抱きたい訳じゃない。
なのに雄に支配されて荒ぶった何かが頭を占めると、どうしようもない熱を吐き出したい衝動に駆られてしまう。美佳の膣内に。
そんなのは絶対に変だと心が否定するのに、身体は疼いて仕方ない。
優の身体に染み付いた本能なのだろうか?
情欲の象徴は優に視姦され、先程にも増して熱く硬く漲り、腹に張り付くほどの昂りを見せていた。
泣きたかった。
恥ずかしくて、どうにかしたいのにどうにも出来ない遣る瀬無さ。
肩を震わせて俯く美佳を余所に、優は涼しい顔をして洗い流している。
我慢できない強い疼きに、手は知らず屹立する雄に伸びていた。その様子を見ていた優はシャワーヘッドをフックに掛け、熱杭を握った手を退ける。
「誰が自分でしろって言った?」
「…っ」
「一言、言えばいいだろ? 気持ち良くしてって。ん?」
掴んだ手に唇を落とし、小首を傾げた優が笑う。
指が股間へと忍び、すうっと戸渡を撫で上げた。瞬間、きゅっと締め上げられる様な感覚と、腰から背中に這い上って行く快感に襲われ、その快感が引かないうちに、“美佳” の小さな掌がやわやわと双球を揉み転がしだした。
「…ふ……っんん」
どの誰よりもこの身体を知っている優の絶妙な力加減が、美佳を高見に昇らせては引き摺り落とす。熱杭がぐいぐいと反り返り、更なる快楽を催促している。
「ほら。どうした。先走り出てるぞ? もう我慢できないだろ?」
双球を転がしながら、反対の手がさわさわと肌を舐るように弄っていた。
熱を持った吐息が吐き出される。
優の言う通り、もう限界だ。
羞恥と快楽で上気した顔を上げ、「イキたい」とか細く呟いた美佳に笑顔で頷いて、「じゃあ一回イカせてやる」と脚の間に膝を着き、緩急をつけて熱杭を扱く。
限界まで張り詰めていたものは、あっさり吐精した。
全てを吐き出し、落ち着きを取り戻しつつあった杭の先端を、隠微な指先が弄ぶ。ピクリと震え、美佳は優を力なく睨んだ。
「や…っ。いま、イッたばかりなのにぃ」
「一回イカせてやるとは言ったけど、終わりとは言ってないだろ? それにセックスしないと俺たち戻れないし」
優のその言葉で、トロトロだった美佳の頭が急に冷静を取り戻した。
ぐいっと “美佳” の肩を押して引き離すと、
「あたし怒ってたんだ!」
「何、急に」
「何じゃない! 優また他の人とエッチした!」
優はきょとんと美佳を見上げ、「そんなことか」とどうでも良さ気に言う。
「そんな事じゃない!」
「手っ取り早く坂本諦めさせるには、あれ位しないとインパクトないだろ?」
「インパクトだけで、他の人とエッチする選択肢が優の中にあるってのが、問題だって言ってるの! 入れ替わった時のあたしの気持ち解る!?」
脚の間で跪く “美佳” を睨み下ろす。
優はマジマジと美佳を見上げ、こてんと首を傾げた。
「それってさ、何に怒ってんの? 入れ替わったから? それとも他の女とセックスしたから?」
「どっちもよ」
「入れ替わんなかったら、他の女とセックスしてもいい訳?」
「いいわけなっ…………あ…れ? ちょっと待った。待って待って違うッ!」
「何が違うの?」
満面の笑顔を湛えた優が見上げている。
「嫉妬したんだろ? 素直に認めな」
「してないもんっ」
「いや。したね嫉妬。昔っから美佳が『~だもん』って語尾強くしたら、素直に認めたくない時だし」
「そんな事ないも……ないです!」
「言い直したって遅いから」
くつくつと楽しそうに喉を鳴らし「続きはベッドで聞くとして」と、休眠中のムスコを抓み上げると、ぱくっと咥えた。
何事が起きたのか理解できなかった美佳が、唖然と見下ろしていたのも束の間、ぞくぞくと腰が蕩けそうな疼きに襲われた。
“美佳” の小さな口中を “優” で一杯にするには、そう時間は必要なかった。
纏わりつく舌先に舐られ扱かれ、きつく吸われる。根元は休むことなく指で扱かれ、時折奥歯で甘噛みされると、筆舌にし難い快感に飲み込まれそうになった。
「っ…んぁ……や。あ、たしの…く…口で……ふぅ…んんっ…あっ……ッ!!!!」
精を吐き出そうとした根元をきつく絞られ、吐精していないのにがくがく震えて達していた。腰がびくんびくんと痙攣し、痺れている。
「はぁ…っふぁ…な……なに? 今の」
「ドライだよ。射精しないでイクこと」
「こ、腰に、くるぅ」
「だろ? 美佳にはこれからもっとエロ磨いて貰わないとないし、体感したら、今度は実践して貰うからな? って事でも一回イッとくか? ドライで」
ニコニコ笑って提案することじゃない、と心で叫ぶ美佳にキスをすると、「じゃもう一回」と優は微笑んだ。
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