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3. 架純 ~女の純情なめんなよ

架純 ㉑ 【R18】

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いつも有難うございます m(_ _"m)

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 架純が首を振ったのをどう捉えたのか、まだ枯れ切っていない花頭専用の帽子を黒珠は荒々しく口で剥ぎ取った。その行動に周囲から驚きの声が漏れる。
 黒珠はそんな彼らの愕然とした面持ちなど気した様子もなく、あと数日で花弁を散らすであろう薔薇に顔を埋めるようにして、スンと鼻を鳴らした。

「ちょっダメ!」

 慌てて黒珠から逃げるように頭を前に傾いだ。恐らく無意味だろうけど。 
 催淫効果のある花頭に鼻を近付ける事がどういうことなのか、ここに居る誰もが知っている。
 咲き初めほどの誘因力はないにしても、直に嗅げば相応の反応は避けられない。

「……架純の匂い。あの日みたいにそそる」

 逃げた架純の背後に添うように唇を耳元に近づけ、熱い吐息交じりの隠微な声に囁かれた。
 躰がビクンと震え、自分でも嫌になるくらいの甘い吐息が漏れてしまう。そんな彼女に「思い出した?」と艶めいた声で追い打ちを掛けて来た。
 初めて黒珠に捧げた記憶が、甘美な熱となって体中を駆け巡る。

(……キス、したい)

 このまま黒珠に全てを預けてしまいたい。
 ふわふわした気持ちで頭を持ち上げた。トロンとした彼女の視界に入ったのは、目のやり場に困った面々で。  
 架純は公開羞恥プレイであることを瞬時に思い出した。

 爆発したみたいに全身を赤く染めた架純に「可愛い」と呟いて、ギュッと力を篭められれば密着度が増し、尻に違和感を覚えた。
 喉を鳴らして息を呑む。
 尻の所で何やら主張している。
 恐る恐る肩越しから黒珠を振り返れば、目元を赤く染め情欲を刷いた双眸。
 徐々に硬度を高めていくソレを、架純を抱く腕に力を篭めて押し付けられれば、口には出せない絶叫を上げた。

(NOォォォォォォォォッ!!)

 こんな所で発情されても困る―――いや。困るどころの騒ぎじゃない。

(ッ……だから! グリグリしないでぇぇぇ)

 黒珠は架純の躰を小刻みに左右に揺らしている。ジーンズに抑え込まれた熱がピクッピクッと油断ならない動きをするものだから、彼女の顔色が赤から青に変わっていった。
 ここで黒珠を止めない事には、もっと恥ずかしい目に遭いそうだ。
 黒珠の望む言葉をあげてさっさと退散しよう、と架純が口を開きかけた時。

「二人、仲が悪かったよね?」

 特に架純が、そんな含みを持って口にしたのは店長だった。

(ですよね~ぇ。何かっちゃあ喧嘩腰だったの、店長見てるしねぇ。俄かには信じらんないと思うわ)

 うんうん頷いていたら、黒珠の舌打ちが聞こえた。店長に同意するな、と言うことだろうと思う。
 店長の尻馬に乗るように、後ろから納得いかない女性陣の猛攻が始まる。悪し様に架純を罵る女性陣に一瞥をくれ、店長は顔をしかめつつ言葉を繋いだ。

「金子くん。無理強いはダメだよ」
「無理強い? 何の事ですか?」
「本当に、二人は付き合い始めたの?」

 店長の目が架純に向けられた。架純の答え如何によっては、彼女に手を貸すと瞳が告げている。
 ここで何も答えずにいたら、きっと誤解を招いたままになってしまう。
 なのに “そうだ” とも “違う” とも発することが出来ないで、店長を見返す架純に彼は嘆息した。

「兎も角、金子くんは架純さんを放して。ちょっと店長室に」
「嫌です」
「嫌って」
「架純は放しません。俺、嘘は言ってないです。彼女が何で即答してくれないのか、些か腹は立ってますけど。お騒がせして済みませんでした。今日はこれで帰ります。架純。これからとっくと今日の問題行動の理由聞くから。いいね?」

 否は認めないと言外に言って、黒珠が踵を返す。店長が引き止める声をまるっと無視し、スタッフルームの前に屯している同僚たちを一瞥すると、モーゼの十戒の海の如く道が拓けた。
 架純を抱えたままスタスタとロッカーに向かい、鍵を彼女に開けさせて荷物を取るとその足で更衣室に架純を突っ込んだ。



(……うん。話だけで帰れると、思ってなかったけどね)

 情欲スウィッチが入った状態で、お話だけ、なんて事がある筈ない。
 架純を逃がさないとばかりに手首を強く掴んで、連れて来られたのは記憶に新しいラヴホテルだった。
 ビビって逃げ出そうとし、閉じ込められたと架純をパニックに陥れたホテルである。

 着くや否や抵抗も空しく黒珠に服を剥かれ、バスルームに連れ込まれた。
 黒珠は架純をバスチェアに座らせると無言でシャワーを頭から掛け、黙々と彼女をキレイにしていく。それが怖い。

(問い詰めるみたいなこと言っといて、何で無言なのぉ)

 そうは言っても架純から話を振るのは無理だ。ただでさえ心臓が竦み上がりそうなのに。
 頭皮をマッサージするように、丁寧に洗っていた指が離れて行く。名残惜しくて鏡越しに立ち上がった黒珠を見れば、彼の中心で猛る雄が目に飛び込んでくる。思わずガン見してしまった後に、黒珠と目が合って慌てて視線を落とした。

(うわーうわーうわぁぁぁぁぁっ! ヤバイッ! 何アレ!)

 前回は薄暗がりの中だった。明るい所で見てしまうと、凶悪なモノのようだ。

(この前は、さ、触っちゃ…ったけどさ。気持ち良く、して貰った……けど……アレが挿入るの?)

 顔を両手で覆って身悶えていると、上からお湯が降って来た。
 架純が頭を沸騰させている間に髪は洗い流され、乳房を掬い上げるようなぬるりと這う感触に驚いて顔を上げる。と、鏡の向こうの黒珠と目が合った。
 黒珠の細められた双眸に熱を感じる。そこから目を逸らすと、柔らかな双丘の頂を同時にきつく抓まれた。

「ぁ…んっ」
「こうして架純を可愛がってるのは誰?」

 どうして急にそんな事を訊くのだろうと、上目遣いで鏡の中の黒珠を見た。
 意図が分からずに彼を見返していると、「誰?」と指に挟まれた二つの果実をグリッと捩じる。

「っ…ぁ」
「ねえ。誰? 答えて」
「く、ろす……ぁ…ぁ」

 節張った長い指がくりっくりっと左の乳房の尖りを捏ね、泡塗れの大きな右手が円を描きながら下がって行く。

「俺は架純の何?」

 指先が下生えの中を蠢く。秘裂に届きそうで届かない。それがとてももどかしい。
 黒珠の指に触れて欲しくて、腰が揺れてしまう。すると指がすっと引かれた。咎めるように黒珠を見る。
 彼は口の片端を上げた笑みを浮かべると、架純の膝裏に腕を通して持ち上げた。そうして先刻まで架純が座っていた場所に腰を下ろし、脚の上に彼女を跨がらせて自分の脚ごと大きく開かせた。

 鏡に映り込んだ秘所がヒクリと物欲しそうにしているのを見せつけられて、羞恥から顔を逸らそうとした架純は頤を捉まれた。
 架純の頬に黒珠のそれを合わせる。

「ちゃんと見て。俺は架純の何なのか、教えて」

 視線が絡んだ。

「か……彼です」
「本当にそう? あんなにツレなかったのに?」

 黒珠の両手が架純の腿をゆっくりと、妖しい手付きで撫でながら泡を纏わせていく。脚の付け根を勿体付けて撫でる手が、ひどく恨めしい。

「本当に……大切な、ひと、だからぁ……ふぅん…」

 鼻に抜けるような甘ったるい声が漏れた。

「嫌ってない?」
「すき。だいすき。……おねがいぃ。いじわる、しないでぇ」
「最初に意地悪したの、架純だろ。逃げ回られて、どれだけ傷付いたと思ってんの」
「ごめ…ごめん、なさぁ……あっ…ぁぁ」

 架純を焦らし続けた手が秘所をするりと撫でる。期待に小さく震えた架純の頬に黒珠はキスを落とし、次には両の手で花弁を割り開いたまま片方は花芯に、もう片方は蜜口の周囲にもどかしく指を這わせた。


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