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3. 架純 ~女の純情なめんなよ

架純 ⑯ 【R18】

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 貪る口づけを繰り返す黒珠に応える架純の思考は途絶え、ただ本能に揺り動かされるまま舌を絡めていた。
 唇から漏れてしまう吐息やそれに混じる微かな声すらも彼に貪られ、頭に靄が掛かってジンジンと痺れ、意識が泥濘に落ち掛けては淫猥な水音と、彼女の中を蹂躙する長い指に邪魔をされる。

 もうダメと、何度喘いだ声に織り交ぜて、彼に縋りついて懇願しただろう?
 その度に黒珠は「まだ狭いから」「少しでも痛くないように」と、架純の願いを聞き入れてくれない。
 赤く色づく唇ははふはふと喘ぐばかりで、息がままならない。

 躰の震えが止まらない。
 臍の下の奥が疼く。
 切ないほど苦しくて、夥しいほどの熱が蠢いている。
 早く開放して楽になりたい。
 架純の中を捏ね回し、押し上げ、繰り返される注挿。
 コポリ……とまた溢れ出した愛蜜が彼の指に掻き混ぜられ、淫らな音が増していく。

 頭がおかしくなりそうだ。
 悲しくもないのに、涙が勝手に溢れて来た。

「……架純?」

 気付いた黒珠が心配そうに眉を下げ、架純を見つめている。

「痛い?」

 その言葉に大きく首を振り、

「くるし…ぃのぉ……どーにか、なっちゃぃ…そで……かね、こくぅん……たす、け…てぇ」
「黒珠、だろ?」

 彼の指が意地悪く浅瀬を擦り上げ、架純の良い所を強く刺激した。すると彼女の腰がガクガクと跳ねだす。

「あ、あ、あ…ぁぁぁぁ…んっ」
「架純。俺の名前、呼んで。可愛く強請って?」

 愉悦を含んだ彼の言葉が耳朶をくすぐり、唇が甘く食む。ゾクゾクした痺れが背中を走り、架純から蕩けた微かな声が零れた。



 耳殻をなぞる舌先と中を抉る快感に、彼女は細い喉を息の根を止めてくれとばかりに、獣の前に晒す。黒珠はそれに応えるように白い喉を舐め上げる。黒珠の吐息が耳朶をくすぐり「好きだよ」と囁けば、さらなる官能に追い立てられた。

 もう少しで達する―――感覚で分かるようになってきた架純が、躰を緊張させる。
 なのに、架純に纏わりつき熱を生み出していた全てが、彼女の元から離れて行った。切なくも困惑に揺れる瞳で黒珠を見る。

(……イキそう…だったのに……どうして?)

 恥ずかしくて口に出せない思いを刷いた架純の双眸に、黒珠がくつくつと喉を鳴らして意地悪く笑う。
 架純の奥で燻る火がもどかしくて、「やだぁ」と涙声で呟いていた。黒珠はそんな架純に優し気に微笑むけれど、彼女を映す瞳に愉悦が踊っている。

「何が嫌なんだ?」
「いじわるぅ」
「名前を呼んでくれない架純の方が意地悪だろ? ほら。黒珠って呼んでみろよ。で。俺にどうして欲しいのか、言ってみな?」

(いきなり呼び捨てにしろとか、ハードル高いからぁ……)

 架純が躊躇っていると、黒珠の指が秘所をくすぐるように撫で上げ、花芽を押し潰す。ぷるっと震えた架純が脚を擦り合わせると、また手が離れて行ってしまう。
 何度も焦らされた。

 もういい、と言って彼に背中を向けてしまえたら、気分が晴れるだろうか。そんな事を考えるけど、でも出来ない。
 黒珠がそれで怒ったらとか、嫌われたりしたらもう絶対に立ち直れないし、それよりも何よりも、架純が持て余している快楽の熱をどうにかして欲しかった。

「く…ろすぅ」
「ん? どうした?」
「このおくに、くろす、ちょうだい?」

 両手が下腹を覆う。
 羞恥で肌を染める架純を見下ろし、黒珠の唇が弧を描く。

「俺も、架純が欲しい」

 架純の唇を啄んで艶然と微笑んだ。
 ぽおっとしている架純を嬉しそうに眺めながら、黒珠はバスローブを床に脱ぎ捨てる。薄暗い中でも、均整がとれた黒珠のしなやかな筋肉が見て取れた。間近に見る黒珠の肉体に蕩けた視線を滑らせ、下腹にそそり立ったモノを見た瞬間、架純が慌てて瞼を閉じるのを目撃した黒珠は「先刻触った癖に」と彼女を揶揄ってくる。

「あ……あれはっ。不可抗力」

 反論を口にするのに黒珠を睨む心算が、無意識に視線は彼の雄に向けられる。臍に着きそうなくらい猛々しく反り勃ち、そこだけが他の肌の色と違う。血管が青く浮いて、ピクピクと小さく刻んでいた。

(…………ま、マジですか? あんなのが、ホントに挿入はいるの……?)

 さーっと血の気が引いていく。

(タンポンの異物感だって、未だ慣れないのに……)

 とても挿入る気がしない。
 怖じ気て、愕然と見入ってしまった架純の手を取り、黒珠がニヤリと笑う。

「もっと触っても良いんだよ?」
「さ…っ! ……へ、へんたいっ!」
「架純だから、触って欲しいんだろ。触る?」
「む、むりぃ。これ以上、ハードル上げないでぇ」

 全身真っ赤になった手で顔を覆って身悶えると、黒珠が「これからじっくり慣れて貰うから」と、彼女の手の甲にキスを落とす。その序とばかりにベッドヘッドの小物入れへ手を伸ばすとベッドがたわんで、架純は指の間から黒珠を窺った。
 彼の指に抓まれた正方形のパッケージが何なのか、経験のない架純にも分かって一層顔が熱くなる。黒珠は赤黒く張り詰めた雄芯に避妊具を装着すると、小さく息を吐き出した。

「中に挿入るよ? 大丈夫?」

 そう言って切っ先を愛蜜で濡れそぼったクレバスに滑らせる。架純が頷くのを見、じわじわと蜜口を押し広げ始めた。

「痛かったら言って。止めるのは、多分無理だけど。ゆっくり慣らすから」
「ん……っふぅ……だ、いじょぶ」

 圧迫感に架純の眉が寄せられた。

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