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1. 瑠珠 ~枯れ女に花を咲かせましょ
瑠珠 ⑨ 【R18】
しおりを挟む淫猥なフェロモンを撒き散らした杏里が面を上げ、テラテラ光らせた口元を親指で拭ってチロリと舐める。何度もイカされて朦朧とした頭でも、その仕草が堪らなく卑猥に写り、達したばかりなのに秘所の奥が熱く疼く。
自慰では決して得られない快感を、与えられる喜びを思い出してしまった身体が、歓喜している。
そして貪欲にも、もっと奥に触れて欲しい、挿して欲しいと、言葉に出来ないもどかしさに焦れていると、杏里も「無理。もお限界」と呟いて、ベッドヘッドの棚に手を伸ばした。引き戸を開けて中を引っ掻き回し、取り出した見覚えのあるパッケージを破って瑠珠を見下ろすと、「やっと陽の目見た」とニヤリ笑って装着し始める。
昂ってヒクヒクし、青筋が浮かんだ淫茎に、するすると避妊具を下ろして行く指使いが厭らしくて、目が離せない。杏里の屹立を強請る腰が、勝手にゆらゆら揺れた。
様子をじっと見ていた瑠珠に笑みを浮かべ、「欲しい? コレで瑠珠の中ぐちゃぐちゃに突き捲っていい?」と両足を高く持ち上げ、彼女の返事を聞く前にぬるっと滑らせた尖端を挿し込んだ。
「…ん、ぁっ」
「っ…わっ、なにこれ。先っぽだけでも、イキそうなくらい…気持ち、いぃ」
言いながら浅瀬を小刻みに抽送し、少しづつ膣内を侵攻してくる圧迫感に、瑠珠は喉を引き攣らせた。
「ひ…っ」
思わず漏れた声。咄嗟に両手が口を覆った。
久し振りに咥え込むそれは、蜜口がメリメリと音を立てそうなほどの太さを持ち、火傷をしそうなくらい熱くて硬く漲っている。瑠珠はその密度の圧倒的な高さに息苦しさを感じつつ、眉を寄せてハフハフと短い呼吸を繰り返す。杏里が「きっつ」と呻きながら押し進み、アンタが太すぎるの、と叫びたい言葉は容易に霧散する。
情欲に膣内を暴かれながら杏里が中に沈みきると、どちらからともなく大きく息を吐き出した。互いに見合ってクスっと笑う。
杏里は立ち膝のままで彼女の両足を抱え、切なそうな笑みを浮かべた。
「はあっ。ちょっとタイムね。瑠珠ン中、良過ぎて……出ちゃい、ちょっ締めんなバカ!」
「し…締めてないっ」
「だーっ! 突く前に出……ッ、クソーッ!!」
「あ…ッ」
雄叫びと共に猛然と腰を打ち付け、彼女の中を荒らしきる前に勢いよく爆ぜた。瑠珠の中で大きく脈打ち、杏里は「情けねえ」と涙混じり、溜息混じりに呟き、脱力して彼女の上に覆い被さって来る。
(こんな時、慰めていいもの?)
下手に慰めて、杏里の矜持を傷付けるようなことはしたくないのだけど、放って置くのも可哀想で、彼の背中に腕を回すと、ぎゅっと抱き締めた。
驚いたように顔を上げて彼女を見下ろし、瑠珠がやんわりと微笑むと杏里は安堵に表情を弛める。泣き笑いのような面持ちで彼女の前髪を掻き上げながら、唇を重ねた。
若さなのか。
杏里は彼女に慰められて直ぐに元気を取り戻し、それから立て続けに三回、膣内で爆ぜた。
彼曰く、持久力は追々身に着けるから、今は回数で瑠珠を満足させることにしたそうだ。
(とか言って、回数追うごとに長くなってるんですけど…)
何度も喘がされ、達し、もう腰がガタガタなのに、杏里の情欲は一向に治まることを知らないらしい。
意識を失い掛けると、許すまじと激しく突かれ、朦朧と身体を預けている。
ベッドにだらりと身体を投げ出す瑠珠に、腰を振ることに夢中だった杏里が漸く気付いた。
「るみ……?」
彼の手がペチペチと頬を叩く。それで瑠珠の目の焦点が合い、心配気に見下ろしてくる杏里を見遣った。
「も……やぁ」
「え、っとぉ。ごめん。俺、嬉しくて、夢中になってた。瑠珠、疲れたよな…?」
涙目で小さく頷くと、杏里は覆い被さって来て、瑠珠の背中に両腕を潜り込ませる。そして勢いよくコロッと寝返りを打ち、彼女を自分の上に乗せた。驚いて杏里を見る彼女の頭を自分の胸に押し付け、ゆっくりと撫でてくる。
「勿体なくて、まだ瑠珠と繋がってたいから、このまま寝てもいいよ」
「ば……重い、でしょ」
「全然軽い。瑠珠と一分一秒でも長く繋がっていたいから、お願い」
上から退けようとした瑠珠を腕に中に拘束し、杏里は頭頂に鼻を寄せてすんと鳴らし、もぞもぞと腰を動かす。瑠珠が藪睨みすると、バツが悪い顔で言を継いだ。
「杏って、あまり匂いのしない花だけど、瑠珠がイクたびに香り強くなるよね。何かそれで、 “ああ。瑠珠も気持ち良いんだ” って感じて、馬鹿みたいにどんどん突きたくなってさ……花頭って催淫作用でもあるのかな? それとも俺が猿なだけ?」
「サル」
「ひでぇ。そんな事ないよって言葉、期待したのに」
「ぁんっ」
不貞腐れた杏里がグイっと腰を押し付けて、未だ萎えていない屹立に子宮を抉られた。
その瞬間、花の香りが立ち込めて、二人の鼻腔を一杯にする。
深く吸い込むと、腰にゾクゾクした痺れが走った。淫茎を咥え込んだままの蜜口から淫蜜が溢れ出て杏里を汚し、それを合図に脈動を始めた屹立が、硬さと圧迫感を取り戻していく。
催淫作用と言うのも、強ち間違っていないのかも知れない。
「ヤだと言いながら、香りで俺を誘ってくるなんて、鬼なの?」
「鬼は杏里でしょ!」
何故なら、寝てもいいよと言ったくせに、杏里の腰がゆるゆるとグラインドし、瑠珠の中を捏ね始めたから。
「だって花頭が」
「ダメッ! もお無理~ぃ。今日も仕事だし、杏里だって学校だよ!?」
気が付けば、いつの間にか日を跨いでいた。
抜いて、と身体を引き離そうとする瑠珠の腰を掴み、杏里が下から突き上げて来る。奥を穿たれ、何度も味わった甘美な刺激に、膣内がきゅうっとなって杏里を締め付け、肉襞が肉杭をどんどん巻き込んで行く。
「言ってる事と身体の反応が真逆だよ!」
「うるさいうるさいうるさい」
「瑠珠。もう一回だけッ! あと一回したら、潔く離れるからぁ」
「ダメだっ……ぁぁあん…や……んんっ、ぁん…りぃ」
あっと言う間に体勢が入れ替わり、しかも突き刺されたまま俯せに返され、覆い被さった杏里が両胸を鷲掴んで、腰を激しく打ち付けて来る。身体が揺すられるたびに花の香りが室内に広がり、しんどくてもう嫌なのに、腰を杏里に突き出して “もっと” と振ってしまっている自分の淫乱さに、どこか恐怖を覚えた。
気が付けば空は白んで、外から小鳥のさえずりが聞こえてくる。
いつの間にか寝てしまっていた。
(…ああ~。無断外泊しちゃったよぉ)
瑠珠も大人だし、親にとやかく言われることもないが、無断外泊はダメだろうと思う。
ベッドヘッドの目覚まし時計に目を遣れば、四時を少し回ったばかり。後ろから両手両足で瑠珠をホールドしている杏里を起こさないように、そっと解こうとした腕がぐいっと彼女の腰を引き、起きてんじゃないのと疑いたくなる。
冷房を切ってやったら、暑くて放すだろうかと思ったものの、杏里が邪魔でベッドヘッドの端っこに置かれたリモコンに、あと少しという所で届かない。
うぬぬと必死に手を伸ばす彼女を抱き締める杏里が、小さく唸りながら頭に鼻を擦り付けて来た。すると彼の腕がピクリと動き、瑠珠に絡めた足が引き寄せられ、彼女は一瞬で凍り付いた様に身動きできなくなった。
かつては恋人がいたし、お泊りの経験もある。このような事態は決して初めてではないけど、出来ればここは杏里に気付かれる事なく、穏便に逃げ出したい。
腰に当たる不届きな感触は、あっという間にムクムクと立ち上がり、次第に硬度を高めていく。偶に別の生き物のようにピクッと動き、杏里がグリグリと腰を押し付けてきた。
生理現象と理解しつつも、心中穏やかではいられない。
(今日は、平日ッ!)
起き抜けエッチの余裕など、ない。況してや数時間前まで散々杏里に抱き潰されているのだから、仕事する最低限の余力は残したい。今だってかなりギリギリラインだ。気を抜いたら、居眠りする自信がある。褒められた事ではないが。
瑠珠はそっと背後に首を回し、前髪が目にかかって顔が良く見えない彼に、怖ず怖ずと声を掛けた。
「あ…んり?」
起きているのか確認してみたが、依然彼は穏やかな寝息を立てている。
なのに腰がグイグイッと迫って来て、“これは本能なのか” と諦めかけて溜息を零したところで、腰がゾクリとした。杏里の切先が、腰を動かしているうちに先走りを滲ませ、ずるりと瑠珠の脚の間に滑り込んで来た。
寝ている間にも余韻で乾ききらなかった秘所に、ひくついた雄がぬるぬると蜜を纏い始め、蜜口を掠めて行く。
非常にマズい事態が発生している。
まるで先端にセンサーでも仕込んでいるのでは? と思うほどに、彼の屹立が蜜口を求めて蠢き、瑠珠が必死に腰を逃がそうとしている傍らで、その腰を引き寄せる腕。
“これも本能の成せる技” と笑って許せるものならば、そうしてあげたいところだけど、杏里は今、避妊具を装着していない。切先からは先走りが漏れていて、そして花頭は排卵日間近に咲く花である。
由々しき事態になり得る可能性を前に、出来れば起こしたくないなんて考えは、途轍もなく甘かったことに気が付いた。
「杏里ッ! 起きなさいッ!!」
半狂乱と言っても過言じゃない勢いで喚き、彼の腕をバシバシ叩く。程なくして寝惚け眼の杏里が「はよ~」とふにゃり笑い、急に目を見開くと「俺ってスゲーェ」の言葉と共に、潤んだ的を外すことなく、ズプッと入り込んで来た。
血がザーッと音を立てて引いて行く。
「ぎゃ――――ッ!!」
ネコを被ることも忘れた本気の悲鳴に、杏里は眉をしかめながら、淫茎を奥に押し進めて行く。
「なんなの、瑠珠。色気ないなあ」
最奥に到達した尖端が、充血しているであろう子宮をグリッと抉る。瑠珠が思わず声を漏らすと、ニヤッと笑った杏里が膣内を捏ねだした。
「ダメッ! 杏里、すぐ抜いてッ!!」
「何で? ヤだよ気持ち良いのに」
「いいから、早く抜きなさいッ!」
「なに。その命令口調」
「だって杏里、ゴムしてない!」
不貞腐れて口を尖らせる杏里を振り返り、必死の形相の瑠珠が吐き捨てるように言うと、彼は暫らく彼女を凝視した。
杏里はふっと笑いを漏らし、
「道理で。三擦りしないでイケそうな訳だ」
「いやいや。ダメだからね?」
「うーん。でも瑠珠ン中、俺のチンコ大歓迎してるよ? ねっとり絡んで、きゅうきゅう締めてくる」
「そうじゃなくて、今中出しされたら、アウトだからね? 君、まだ高校生でしょ」
妊娠する時は先走りでも妊娠すると聞いた。
嫌ってくらい射精した後とは言え、元気が取り得の十代の精子を打ち撒けられたりしたら、ほぼ確実に当たる。
「その歳で、パパにはなりたくないでしょ?」
「…瑠珠の子だったら問題ないじゃん。寧ろ歓迎。完全に俺のものに出来るし。とゆーことで、動いてい?」
「だから! 動くなって言ってるの! これから進学だってあるでしょ!?」
高校三年の大事な時期に、杏里の勢いに負けてしまったとは言え、少しではない後悔の念が胸を苦しくする。
しかし、当の杏里はきょとんとして瑠珠を見た。
「俺、進学しないよ? このままモデルの仕事続けてく傍らで、母さんの事務所手伝うから」
あっけらかんとした杏里の言葉に、今度は瑠珠が唖然とした。
折角の進学校なのに進学しないとは、杏里の戯けた寝言を聞いている気分だ。
働かないと生活に困る訳でもなのに、彼の選択に茫然としたまま言葉を繰り出した。
「…なん、で?」
「早く社会人になって、瑠珠を嫁に貰うために決まってんじゃん。何。不服なの?」
「馬鹿なこと言ってんじゃないわよッ」
「馬鹿なことって何? 至って真剣だし。母さんは、賛成してくれたよ? 大学なんて、行きたいと思った時に行けばいいってさ。嫌々行っても金と時間の無駄だって。だから、ね? 諦めて」
首筋に唇を寄せた杏里が、くすくす笑いながらゆっくりと滑らかな肌を撫でている。
果たして、そう言う問題だろうか?
違う。絶対に。
(百歩譲って、結婚するにしたって、高校生を子持ちにする訳にはいかないでしょ? 成人であるあたしが、ここで線引きしないと)
彼の中の決定事項を実行しようとする動きが、瑠珠を却って冷静にした。
右の乳房の頂きを弄び、左手が下生を掻き分けて、ひっそりと隠れていた花芯を暴き出した厭らしい手付きに、何もかも持って行かれそうになりながら、瑠珠は喘ぎを堪えた苦し気で、小刻みに震えた声を上げる。
「な…なか、出しして、妊娠しても、杏里を、ち…父親と…認めなくて、いいなら……好きにしな…さいっ」
杏里の動きがピタリと止まった。
「結婚も、絶対に、しない」
一言一言区切った瑠珠の言葉に「やだ」と声を上げ、杏里は彼女の中から己の情欲を引き摺り出し、ぎゅっと抱き着いて来た。彼の身体から、微かな震えが伝わって来る。
「ごめん。嫌いにならないでよ。俺、瑠珠じゃないと嫌なんだ。嫌われたら、生きてけないくらい、瑠珠が好きだ。だから、結婚しないとか言わないでよ」
この世の終わりとばかりの切羽詰まった声が、耳元で泣き出しそうだ。
苛めたい訳ではない。
けれど……。
「杏里。一度家に戻るから、放して」
「結婚するって約束してくれるまで、離さない」
ぎゅっと力を篭めて瑠珠を抱くその腕にそっと触れ、溜息を零す。
前途のある青少年を、自分などに縛り付けていいものか。
けれど答えなければ、彼はその腕を弛めはしないだろう。
もう一度溜息を吐く。
「あたしをその気にさせてみなさい」
結婚するともしないとも言わなかった。狡い答えだと思う。しかし杏里は「わかった」と答えて、その腕から瑠珠を解放した。
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