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第二十五話
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次の日に父と母がやっとのこと帰ってきた。両親はかなり急いで帰ってきてくれたようだったけれども、私はもう十分に待ちくたびれていた。二人とも大量のお土産を持ってやってきて、妹たちのところにはすでに寄って最後に私のところへ帰ってきたようだった。
私の目の前にはたくさんのドレスと、アクセサリーとその他もろもろ。
「愛しのわが家へ帰られないのが苦痛で仕方がない。ビオラ」
父は少しばかり痩せたようだった。その体にに使わない指輪やアクセサリーをつけていて、私は少し違和感があった。父は倹約かなはずだったのに。旅行でかなりエンジョイしたのだろう。
「かなり、お金をお使いになったのね。いつもはこんなに使わないのに」
「ああ、どうにかね。それにしてもビオラ、貴方元気そうでよかったわ」
大きな羽の付いたつばの広い帽子をメイドに私、母は私のことを抱きしめてきた。母も少しやせている気がした。
「それで、いろいろ話を聞かせて頂戴。なにがあって、これからどうするのか」
「手紙じゃ大まかな事しか分からなかったからね。細かく、よく話を聞かせておくれよ」
今までにあったとに書く大変だったことを一つ一つ細かく教えなければと息を吸い込んだ時、部屋の中へエリックが入ってやってきた。二人はエリックを見ると歓声を上げてすぐに近寄った。
「ああ、君が居てくれてよかったよ。本当に本当に」
「そうそう。貴方が救ってくれなかったらビオラはきっとしんでしまっていたわ」
ニコニコと父はエリックの手を両手で握りしめて、感謝をこめて手を上下に振った。母はエリックの頬にキスをして、同じく感謝をこめて肩を叩いた。
「いえ、お二人にはとても御恩がありますので」
今までになく子供の様な表情をしていると思った。私の前ではいつも、見栄を張るような、でもたまに甘えるような姿。他の人の前では堂々としていて、飾っているような姿。二人の前ではまるで少年の様子。きっと両親が愛情をもって接したから。
「それで、何があったのか事細かに教えて頂戴。それでこれからフラン子爵様達をどうするか考えましょう」
今まで会ったミーナのこと、カールにされたこと、フラン子爵、マリー夫人にされたこと一つ一つを事細かに教えた。ミーナが離れを作って、カールが仕事をしなくなったこと、そんなフラン子爵とマリー夫人が引っ越してきて、マリー夫人の誕生日パーティーの設営をさせられて、お金もたぶんとにかく使われてしまっているということ。そして深く私は謝った。
「本当にごめんなさい。私がもっと最初から、お父様とお母様に相談していたら」
「いいえ。すべてを背負い込ませた私達も悪かったわ。今まで苦労を掛けたわね」
「そうだよ。旅行なんてのんきなところに言っている場合じゃなかったね。これからはしっかりと相談するんだよ」
「うん、ごめんなさい」
母も父も穏やかに、微笑みながら返事をしてくれていたけれども、私の手を今までになく強く握りしめていた。
「とにかく離婚の話をして、フラン家とははっきりと縁を切ろう。できればビオラは関わらなくていい。私達でどうにかするよ」
「そう。しっかり療養なさい。もしよかったらエリックと二人で、温泉にでも行ってきたら?ねえ、エリック君」
「楽しそうですね」
「ありがたいわ。でも私はもうどうするか決めてるの。だから私に任せて。私のことは私がどうにかするわ」
自信をもって言ったつもりだったけれども、母はとても不安そうな表情をして、父はいつもの温厚な表情をキッと怒りを込めていた。父が起こったことなんて数えるほどしかないので私は少し驚いて、その自信が失せてしまった。
「ビオラ、お前が努力家なのは分かっている。我慢強く何でも一人でこなせる器用な人間なことも分かっている。でもこれはお前とカール君を結婚させてしまった私の責任だ。とにかく私に任せなさい。そうだろう。エリック」
「え、まあ。そうですね。あまり頑張りすぎるのはいけないでしょうね」
確かにカールとの結婚を進めたのは父だったけれども、私は父が悪いなんて思っていない。父はフラン子爵を信用していただけなのだから。
「でも、お父様、私きちんと考えてあるの。だからサポートだけしてくださらない?」
「いや、駄目だ。父の責任は私が果たす」
「大丈夫ですって、お父様」
押し問答を続けているときふとエリックが「彼女の復讐心も汲んでやったらいかがです?」とだけ言った。すると父もエリックに言われたためか、少しばかり黙った。
「そうよそうよ。私あの人たち恨んでるんだから」
「そうなのか?少しだぞ。無理を絶対にしないでくれ」
私の目の前にはたくさんのドレスと、アクセサリーとその他もろもろ。
「愛しのわが家へ帰られないのが苦痛で仕方がない。ビオラ」
父は少しばかり痩せたようだった。その体にに使わない指輪やアクセサリーをつけていて、私は少し違和感があった。父は倹約かなはずだったのに。旅行でかなりエンジョイしたのだろう。
「かなり、お金をお使いになったのね。いつもはこんなに使わないのに」
「ああ、どうにかね。それにしてもビオラ、貴方元気そうでよかったわ」
大きな羽の付いたつばの広い帽子をメイドに私、母は私のことを抱きしめてきた。母も少しやせている気がした。
「それで、いろいろ話を聞かせて頂戴。なにがあって、これからどうするのか」
「手紙じゃ大まかな事しか分からなかったからね。細かく、よく話を聞かせておくれよ」
今までにあったとに書く大変だったことを一つ一つ細かく教えなければと息を吸い込んだ時、部屋の中へエリックが入ってやってきた。二人はエリックを見ると歓声を上げてすぐに近寄った。
「ああ、君が居てくれてよかったよ。本当に本当に」
「そうそう。貴方が救ってくれなかったらビオラはきっとしんでしまっていたわ」
ニコニコと父はエリックの手を両手で握りしめて、感謝をこめて手を上下に振った。母はエリックの頬にキスをして、同じく感謝をこめて肩を叩いた。
「いえ、お二人にはとても御恩がありますので」
今までになく子供の様な表情をしていると思った。私の前ではいつも、見栄を張るような、でもたまに甘えるような姿。他の人の前では堂々としていて、飾っているような姿。二人の前ではまるで少年の様子。きっと両親が愛情をもって接したから。
「それで、何があったのか事細かに教えて頂戴。それでこれからフラン子爵様達をどうするか考えましょう」
今まで会ったミーナのこと、カールにされたこと、フラン子爵、マリー夫人にされたこと一つ一つを事細かに教えた。ミーナが離れを作って、カールが仕事をしなくなったこと、そんなフラン子爵とマリー夫人が引っ越してきて、マリー夫人の誕生日パーティーの設営をさせられて、お金もたぶんとにかく使われてしまっているということ。そして深く私は謝った。
「本当にごめんなさい。私がもっと最初から、お父様とお母様に相談していたら」
「いいえ。すべてを背負い込ませた私達も悪かったわ。今まで苦労を掛けたわね」
「そうだよ。旅行なんてのんきなところに言っている場合じゃなかったね。これからはしっかりと相談するんだよ」
「うん、ごめんなさい」
母も父も穏やかに、微笑みながら返事をしてくれていたけれども、私の手を今までになく強く握りしめていた。
「とにかく離婚の話をして、フラン家とははっきりと縁を切ろう。できればビオラは関わらなくていい。私達でどうにかするよ」
「そう。しっかり療養なさい。もしよかったらエリックと二人で、温泉にでも行ってきたら?ねえ、エリック君」
「楽しそうですね」
「ありがたいわ。でも私はもうどうするか決めてるの。だから私に任せて。私のことは私がどうにかするわ」
自信をもって言ったつもりだったけれども、母はとても不安そうな表情をして、父はいつもの温厚な表情をキッと怒りを込めていた。父が起こったことなんて数えるほどしかないので私は少し驚いて、その自信が失せてしまった。
「ビオラ、お前が努力家なのは分かっている。我慢強く何でも一人でこなせる器用な人間なことも分かっている。でもこれはお前とカール君を結婚させてしまった私の責任だ。とにかく私に任せなさい。そうだろう。エリック」
「え、まあ。そうですね。あまり頑張りすぎるのはいけないでしょうね」
確かにカールとの結婚を進めたのは父だったけれども、私は父が悪いなんて思っていない。父はフラン子爵を信用していただけなのだから。
「でも、お父様、私きちんと考えてあるの。だからサポートだけしてくださらない?」
「いや、駄目だ。父の責任は私が果たす」
「大丈夫ですって、お父様」
押し問答を続けているときふとエリックが「彼女の復讐心も汲んでやったらいかがです?」とだけ言った。すると父もエリックに言われたためか、少しばかり黙った。
「そうよそうよ。私あの人たち恨んでるんだから」
「そうなのか?少しだぞ。無理を絶対にしないでくれ」
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