傷物にされた私は幸せを掴む

コトミ

文字の大きさ
上 下
10 / 29

10

しおりを挟む
「エリーゼ様、私一応家庭教師の身ですし、ドレスは買ったら買っただけ私のお給金から引かれますから」
「ドレス二着しか持ってきてないのに、買わないとか意味わかんない。これとこれと、あと、これもちょうだい」


エリーゼはたくさんのドレスをどんどん、私に持たせて片っ端から買っていく。ビナーズ家へ服を売りに来た服屋は満点の笑顔でどんどんドレスをエリーゼに見せてくる。エリーゼが買うと分かっているから。


「エリーゼ様は、ドレスがお好きなのですね。でも…そろそろ、買うのをやめていただけませんかね?」
「エミリアさん、大丈夫ですよ。私が払いますから」
「そんな、私色々してもらってばっかりで、ドレスも買ってもらったら申し訳なくて。私まだ仕事を一つだって出来ていないのに」
「ではエリーゼに、何か豆知識でも教えてやってくれませんか?」


エリーゼはドレスを選ぶことに夢中だ。どうすれば私の話に耳を向けてくれるだろうか。普通に話してもきっと聞いてくれないだろうし…


「え…えーっとエリーゼ様、異性に好かれるドレスはどんなものか知っていますか?」
「えー?異性に好かれるドレス?そんなの人の好みでしょ?」
「それが、どんな男性でも目を引くドレスがあります」


そう私が言うと、エリーゼはその話に興味を持ったのか私の方を向いて来た。


「どんなドレス?」
「真っ赤なドレスです。赤い色というのは、見るだけで身体的に体温や心拍数が上がり、赤いドレスを着ている人が魅力的に見えます」
「本当に?社交界で試してみようかしら?」
「でも、それはたくさんの偉い方や婚約者を探すとき以外はやめた方が良いです偉い人よりも目立つと、偉い人は怒ってしまいますから、ですけれどもエリーゼ様が一番偉い時は、真っ赤なドレスを着て目立ちましょう。そうすればきっとモテモテです」


エリーゼはそれを聞き真っ赤だけれども、落ち着いた感じのドレスを選んだ。そうするとジャックが小さく笑っていた。


「妹が悪知恵をつけてしまった」
「このくらいの子が興味を持つのはこれぐらいかと思いまして」
「好奇心をくすぐることができるのはいいことだよ」


ジャック様はそう笑って、部屋から出て行った。


「メリー、このドレス部屋まで持って行って、それからこの人とお茶を飲むから、適当に紅茶を持ってきてよ」
「かしこまりましたお嬢様」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私の、虐げられていた親友の幸せな結婚

オレンジ方解石
ファンタジー
 女学院に通う、女学生のイリス。  彼女は、親友のシュゼットがいつも妹に持ち物や見せ場を奪われることに怒りつつも、何もできずに悔しい思いをしていた。  だがある日、シュゼットは名門公爵令息に見初められ、婚約する。 「もう、シュゼットが妹や両親に利用されることはない」  安堵したイリスだが、親友の言葉に違和感が残り…………。

婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~

ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。 そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。 自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。 マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――   ※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。    ※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))  書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m    ※小説家になろう様にも投稿しています。

姉妹の中で私だけが平凡で、親から好かれていませんでした

四季
恋愛
四姉妹の上から二番目として生まれたアルノレアは、平凡で、親から好かれていなくて……。

【完結】『お姉様に似合うから譲るわ。』そう言う妹は、私に婚約者まで譲ってくれました。

まりぃべる
恋愛
妹は、私にいつもいろいろな物を譲ってくれる。 私に絶対似合うから、と言って。 …て、え?婚約者まで!? いいのかしら。このままいくと私があの美丈夫と言われている方と結婚となってしまいますよ。 私がその方と結婚するとしたら、妹は無事に誰かと結婚出来るのかしら? ☆★ ごくごく普通の、お話です☆ まりぃべるの世界観ですので、理解して読んで頂けると幸いです。 ☆★☆★ 全21話です。 出来上がっておりますので、随時更新していきます。

この国において非常に珍しいとされている銀髪を持って生まれた私はあまり大切にされず育ってきたのですが……?

四季
恋愛
この国において非常に珍しいとされている銀髪を持って生まれた私、これまであまり大切にされず育ってきたのですが……?

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

元婚約者は入れ替わった姉を罵倒していたことを知りません

ルイス
恋愛
有名な貴族学院の卒業パーティーで婚約破棄をされたのは、伯爵令嬢のミシェル・ロートレックだ。 婚約破棄をした相手は侯爵令息のディアス・カンタールだ。ディアスは別の女性と婚約するからと言う身勝手な理由で婚約破棄を言い渡したのだった。 その後、ミシェルは双子の姉であるシリアに全てを話すことになる。 怒りを覚えたシリアはミシェルに自分と入れ替わってディアスに近づく作戦を打ち明けるのだった。 さて……ディアスは出会った彼女を妹のミシェルと間違えてしまい、罵倒三昧になるのだがシリアは王子殿下と婚約している事実を彼は知らなかった……。

私と婚約破棄して妹と婚約!? ……そうですか。やって御覧なさい。後悔しても遅いわよ?

百谷シカ
恋愛
地味顔の私じゃなくて、可愛い顔の妹を選んだ伯爵。 だけど私は知っている。妹と結婚したって、不幸になるしかないって事を……

処理中です...