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「エリーゼ様、私一応家庭教師の身ですし、ドレスは買ったら買っただけ私のお給金から引かれますから」
「ドレス二着しか持ってきてないのに、買わないとか意味わかんない。これとこれと、あと、これもちょうだい」


エリーゼはたくさんのドレスをどんどん、私に持たせて片っ端から買っていく。ビナーズ家へ服を売りに来た服屋は満点の笑顔でどんどんドレスをエリーゼに見せてくる。エリーゼが買うと分かっているから。


「エリーゼ様は、ドレスがお好きなのですね。でも…そろそろ、買うのをやめていただけませんかね?」
「エミリアさん、大丈夫ですよ。私が払いますから」
「そんな、私色々してもらってばっかりで、ドレスも買ってもらったら申し訳なくて。私まだ仕事を一つだって出来ていないのに」
「ではエリーゼに、何か豆知識でも教えてやってくれませんか?」


エリーゼはドレスを選ぶことに夢中だ。どうすれば私の話に耳を向けてくれるだろうか。普通に話してもきっと聞いてくれないだろうし…


「え…えーっとエリーゼ様、異性に好かれるドレスはどんなものか知っていますか?」
「えー?異性に好かれるドレス?そんなの人の好みでしょ?」
「それが、どんな男性でも目を引くドレスがあります」


そう私が言うと、エリーゼはその話に興味を持ったのか私の方を向いて来た。


「どんなドレス?」
「真っ赤なドレスです。赤い色というのは、見るだけで身体的に体温や心拍数が上がり、赤いドレスを着ている人が魅力的に見えます」
「本当に?社交界で試してみようかしら?」
「でも、それはたくさんの偉い方や婚約者を探すとき以外はやめた方が良いです偉い人よりも目立つと、偉い人は怒ってしまいますから、ですけれどもエリーゼ様が一番偉い時は、真っ赤なドレスを着て目立ちましょう。そうすればきっとモテモテです」


エリーゼはそれを聞き真っ赤だけれども、落ち着いた感じのドレスを選んだ。そうするとジャックが小さく笑っていた。


「妹が悪知恵をつけてしまった」
「このくらいの子が興味を持つのはこれぐらいかと思いまして」
「好奇心をくすぐることができるのはいいことだよ」


ジャック様はそう笑って、部屋から出て行った。


「メリー、このドレス部屋まで持って行って、それからこの人とお茶を飲むから、適当に紅茶を持ってきてよ」
「かしこまりましたお嬢様」


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