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第4話
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お姉様は調子に乗っていた。でも勉学でお姉様にかなわない事は分かっている。お姉様は確かに何でもできた。お母様がどれだけお姉様にたくさん習い事を押し付けてもそれをこなして、その上いい成績を残した。
私は要領がよかった。勉強だって上の下だし、ダンスだって、行儀作法だって、なんだって、お姉様と同じステージに立っている自覚があった。でもお姉様は飄々とした表情をして、その上に軽々上っていく。とにかくそれが腹立たしかった。たった一歳しか変わらないのに、文字を書くのだって、ダンスの踊り方だって、なんだって私がステージに立った時にはすでに、お姉様は高いところにいた。
一歳という年齢の差が私とお姉様を分け隔てるには十分だった。でもお姉様が苦手なことを私は見つけた。お姉様は人と話をするのが苦手だった。それが男性だとますます口数が少なくなり、幼い時のお姉様は笑いながらも返事をかえすので精一杯な様子だった。
それが私の転機だった。そして私はお姉様良い可愛くて美人だということを知った。お姉様も確かに美人だけれども様式の違う美人、私がケーキならお姉様は紅茶。お姉様は私を引き立てるためにある凡庸な美人、それがよくあてはまる。
あの日、私のドレスをお姉様が切った日、私ははっきりと自覚した。お父様とお母様は私の味方で、お姉様の味方をすることなんてないってこと。そしてお姉様は私には勝てないということ。私は人を動かすことが得意だ。
確かにいろんなところを比べたら、お姉様の方が何でも上でしょうね。でも私にはとびぬけた美人と、人を取り巻くカリスマ性、その最強の手札がそろった私は誰にだって勝てる。学校でも一番になった。どんな子とも仲良くなれたし、みんな私の味方になってくれた。どんな男性だって私の言うことを聞いてくれたし、みんな私を可愛がってくれる。
そしてチャンスが訪れた。お姉様は自分の誕生日の舞踏会に誰一人として、友人を呼んだりしなかった。それに関して、お母様もお父様も、お姉様の友人関係なんて知らないから口出ししなかった。その上その時ちょうどオリバーを私の仲間にできたところだった。キスしたらすぐに私を守ってくれる盾になった。お姉様から支えを失えたのは本当によかった。
その上今まで何をされても冷静だったお姉様が、テラスから飛び降りて逃げ出した。本当に滑稽だった。すぐに笑いたかったけれども、みんなそこに居たし、泣くふりをして笑いをこらえるしかなかった。
家に戻ってきたらお父様とお母様に、𠮟ってもらって、お姉様の居場所なんてこの家のどこにもなくなる。ここが完全に私の場所となる。幸せになれる。
「もう!ソフィアはどこへ行ったのよ!」
「お義母様、ソフィアのことは放っておいて大丈夫ですよ」
「それもそうだけれどもね」
ヒステリックになったお母様をなだめるんのはいつも私の仕事なんだから。まあでも、お姉様が行方不明にでもなればいいと思うけど。
「お母様、ごめんなさい。私がいけないんだわ。だってお姉様はオリバー様と一週間後には結婚する予定だったんだもの」
「貴方は悪くないわよ。ソフィアは本当に貴方のことをいじめていたの?」
「いじめられた。お姉様ったら、私に嫉妬していたみたい」
「そう、分からなくてごめんなさい」
お母様は私のことを優しく抱きしめる。
「ソフィアはきっとミアに嫉妬してたんだ。ソフィアの友達なんてほとんど見たことが無いだろう。育て方を間違えたんだ」
「子供が隠している秘密なんてわかるわけないでしょう
良心のケンカを眺めながら、オリバーを見た。オリバーは正直言って、少し頼りないのよね。他の男作ろうかしら。
でも伯爵だし、まあ見つからなかったらオリバーでいいわ。でも多分お姉様が見つけてきてくれると思うのよね。お姉様ってなぜだかお金持ちでハイスペックな人に見初められるし、今まで私が婚約した男性はほとんどお姉様の元婚約者だし。
お姉様って便利な釣り餌みたいなものよね。可哀そうなお姉様を見た男性がお姉様のことを好きになって、お姉様より魅力的な私を好きになる。
本当にお姉様って便利だわ。
私は要領がよかった。勉強だって上の下だし、ダンスだって、行儀作法だって、なんだって、お姉様と同じステージに立っている自覚があった。でもお姉様は飄々とした表情をして、その上に軽々上っていく。とにかくそれが腹立たしかった。たった一歳しか変わらないのに、文字を書くのだって、ダンスの踊り方だって、なんだって私がステージに立った時にはすでに、お姉様は高いところにいた。
一歳という年齢の差が私とお姉様を分け隔てるには十分だった。でもお姉様が苦手なことを私は見つけた。お姉様は人と話をするのが苦手だった。それが男性だとますます口数が少なくなり、幼い時のお姉様は笑いながらも返事をかえすので精一杯な様子だった。
それが私の転機だった。そして私はお姉様良い可愛くて美人だということを知った。お姉様も確かに美人だけれども様式の違う美人、私がケーキならお姉様は紅茶。お姉様は私を引き立てるためにある凡庸な美人、それがよくあてはまる。
あの日、私のドレスをお姉様が切った日、私ははっきりと自覚した。お父様とお母様は私の味方で、お姉様の味方をすることなんてないってこと。そしてお姉様は私には勝てないということ。私は人を動かすことが得意だ。
確かにいろんなところを比べたら、お姉様の方が何でも上でしょうね。でも私にはとびぬけた美人と、人を取り巻くカリスマ性、その最強の手札がそろった私は誰にだって勝てる。学校でも一番になった。どんな子とも仲良くなれたし、みんな私の味方になってくれた。どんな男性だって私の言うことを聞いてくれたし、みんな私を可愛がってくれる。
そしてチャンスが訪れた。お姉様は自分の誕生日の舞踏会に誰一人として、友人を呼んだりしなかった。それに関して、お母様もお父様も、お姉様の友人関係なんて知らないから口出ししなかった。その上その時ちょうどオリバーを私の仲間にできたところだった。キスしたらすぐに私を守ってくれる盾になった。お姉様から支えを失えたのは本当によかった。
その上今まで何をされても冷静だったお姉様が、テラスから飛び降りて逃げ出した。本当に滑稽だった。すぐに笑いたかったけれども、みんなそこに居たし、泣くふりをして笑いをこらえるしかなかった。
家に戻ってきたらお父様とお母様に、𠮟ってもらって、お姉様の居場所なんてこの家のどこにもなくなる。ここが完全に私の場所となる。幸せになれる。
「もう!ソフィアはどこへ行ったのよ!」
「お義母様、ソフィアのことは放っておいて大丈夫ですよ」
「それもそうだけれどもね」
ヒステリックになったお母様をなだめるんのはいつも私の仕事なんだから。まあでも、お姉様が行方不明にでもなればいいと思うけど。
「お母様、ごめんなさい。私がいけないんだわ。だってお姉様はオリバー様と一週間後には結婚する予定だったんだもの」
「貴方は悪くないわよ。ソフィアは本当に貴方のことをいじめていたの?」
「いじめられた。お姉様ったら、私に嫉妬していたみたい」
「そう、分からなくてごめんなさい」
お母様は私のことを優しく抱きしめる。
「ソフィアはきっとミアに嫉妬してたんだ。ソフィアの友達なんてほとんど見たことが無いだろう。育て方を間違えたんだ」
「子供が隠している秘密なんてわかるわけないでしょう
良心のケンカを眺めながら、オリバーを見た。オリバーは正直言って、少し頼りないのよね。他の男作ろうかしら。
でも伯爵だし、まあ見つからなかったらオリバーでいいわ。でも多分お姉様が見つけてきてくれると思うのよね。お姉様ってなぜだかお金持ちでハイスペックな人に見初められるし、今まで私が婚約した男性はほとんどお姉様の元婚約者だし。
お姉様って便利な釣り餌みたいなものよね。可哀そうなお姉様を見た男性がお姉様のことを好きになって、お姉様より魅力的な私を好きになる。
本当にお姉様って便利だわ。
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