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何歳になってもパーティーの招待状が届くとワクワクしちゃうよね!(*∩∀∩*)
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スーゼンベルト王国の国王であるヴァルゴール・ヴァーチェス・スーゼンベルトは書斎にて頭を抱えていた。
いや、彼だけでなくヴァルゴールの机の前に置かれたソファにも頭を抱える面々が座っていた。
両者達の机の上には今現在問題になっている事件に関する情報が載っていた。『詳細不明』と。
その薄っぺらい一枚の紙に書かれているのだ。
「一体、なんだというのだ…」
その問いに応えられる者などここには一人もいなかった。
ヴァルゴールは40歳で王位を継承して以来10年、滞りなく統治をしていたつもりだった。
全てではないが国民にある程度の教養を広げ国力の増加にも成功していた。
そんなある日だ、1つの報告がヴァルゴールの下へと届いた。
それは国内の村が何者かによって滅ぼされたというものだった。
直ぐに騎士を派遣して状況を確認させた。
届いた報告は文字通り滅びだったという。荒れ果てた村には村人全ての死体が転がり、田畑は荒れ、どういうわけか村を中心にある一定の範囲の草木が枯れ落ちていたのだ。
まるでこの地に命は許されないと言うかのように。
最初こそ盗賊や他国の仕業かと思っていたがスーゼンベルト以外の国でも同じ事件が起きているという報告を受けてヴァルゴールはその考えを改めた。
「私は、何か間違えたのだろうか」
「王よ、御気を確かに」
「ああ、すまない」
と、そこへ扉のノックする音が響いた。
ヴァルゴールが扉の両端に立っていた騎士に頷いて許可を出す。
中に入ってきたのはヴァルゴールの息子である第一王子のライオネルだった。
ライオネルは現在勉強の一環としてヴァルゴールの手伝いをしているのだ。
「王よ、他国からの御手紙が届いております」
「こちらに持ってきなさい」
「どうぞ」
ヴァルゴールは手紙を切り開いて内容に目を通す。
ヴァルゴールは顔を険しくさせた。
そして二枚目に目を通し終わったところで目を見開いた。
「王よ、どういった内容か聞いても?」
ヴァルゴールは聞いてきた男に目をやる。
この国の宰相を務める男だ。名前をゼオ・フェムル・シュラム。公爵家の出身でかなり聡明な男だ。
「各国に向けての招集のようだ。場所は大陸中央にある大国シドサリエル帝国の王城。招集理由は現在この大陸で起きている不可解な事件についての意見交換とのことだ」
「向こうも手痛くやられたようですね」
「そのようだ、シドサリエル帝国の属国であったバナハが一週間前に滅んだらしい」
「バナハが!?」
「バナハの領土は既に不毛の土地と化したようだ」
「王よ、どうされるのですか?」
ヴァルゴールは一度目を瞑ると立ち上がった。
「直ぐに馬車の準備をするのだ、私はこれからシドサリエルに向かう。ゼオ、お前も準備をするのだ」
「はっ、直ちに」
―
――
―――
――――。
久行は目を覚ますと体を伸ばした。
今久行が寝ていたのはゴツゴツした岩肌だったのであちこちが痛い。
前の仕事がちょっとばかり大仕事だったので疲れて寝ていたようだ。
「遺跡みてーな場所だな」
辺りを見渡して思ったのがそんな感想だった。
いつ滅んだのかわからないような石造りの建造物群、そこでやっと久行は思い出した。
「あ、俺がやったんだった」
頭をポリポリと掻きながらあくびをする。
立ち上がって半開きの目のまま辺りを散策する。
見るもの全てが朽ちていて触るだけでその場からサァァと掻き消えるところを見るとうまくいったようだった。
と、久行と同じよに地べたで大の字で寝そべっている騎士を見つけたので蹴り起こした。
「おい、いつまで寝てる気だハゲ」
あくびをする騎士は数秒ぼけっとすると久行へと顔を向けた。
「は、禿げてねーし!つーかお前がいつまで経っても起きないからやることがなかったんだよ!」
「うるせーな、寝起きなんだから大声出すな」
「お前も今起きたのかよ!」
「で、他の奴らは?」
「どっかで遊んでるんじゃないんですかね?一国潰したんで金が有り余ってるわけですわ」
はははと笑う騎士。
「たく、雇い主に渡す分は残してあるだろうな」
「そりゃ勿論、あくまでも俺たちは傭兵ですからね」
そう、俺たちには雇い主がいる。
不可解で不可思議で不可逆的な存在の雇い主が。
その雇い主は会う度に姿を変えていた。本人曰く変わってしまうのだという。そして一度なった姿には二度となれないらしい。
そしてそいつは俺をこの世界に呼んだ存在でもあった。そう俗に言う『神』という存在だったのだ。
いや、彼だけでなくヴァルゴールの机の前に置かれたソファにも頭を抱える面々が座っていた。
両者達の机の上には今現在問題になっている事件に関する情報が載っていた。『詳細不明』と。
その薄っぺらい一枚の紙に書かれているのだ。
「一体、なんだというのだ…」
その問いに応えられる者などここには一人もいなかった。
ヴァルゴールは40歳で王位を継承して以来10年、滞りなく統治をしていたつもりだった。
全てではないが国民にある程度の教養を広げ国力の増加にも成功していた。
そんなある日だ、1つの報告がヴァルゴールの下へと届いた。
それは国内の村が何者かによって滅ぼされたというものだった。
直ぐに騎士を派遣して状況を確認させた。
届いた報告は文字通り滅びだったという。荒れ果てた村には村人全ての死体が転がり、田畑は荒れ、どういうわけか村を中心にある一定の範囲の草木が枯れ落ちていたのだ。
まるでこの地に命は許されないと言うかのように。
最初こそ盗賊や他国の仕業かと思っていたがスーゼンベルト以外の国でも同じ事件が起きているという報告を受けてヴァルゴールはその考えを改めた。
「私は、何か間違えたのだろうか」
「王よ、御気を確かに」
「ああ、すまない」
と、そこへ扉のノックする音が響いた。
ヴァルゴールが扉の両端に立っていた騎士に頷いて許可を出す。
中に入ってきたのはヴァルゴールの息子である第一王子のライオネルだった。
ライオネルは現在勉強の一環としてヴァルゴールの手伝いをしているのだ。
「王よ、他国からの御手紙が届いております」
「こちらに持ってきなさい」
「どうぞ」
ヴァルゴールは手紙を切り開いて内容に目を通す。
ヴァルゴールは顔を険しくさせた。
そして二枚目に目を通し終わったところで目を見開いた。
「王よ、どういった内容か聞いても?」
ヴァルゴールは聞いてきた男に目をやる。
この国の宰相を務める男だ。名前をゼオ・フェムル・シュラム。公爵家の出身でかなり聡明な男だ。
「各国に向けての招集のようだ。場所は大陸中央にある大国シドサリエル帝国の王城。招集理由は現在この大陸で起きている不可解な事件についての意見交換とのことだ」
「向こうも手痛くやられたようですね」
「そのようだ、シドサリエル帝国の属国であったバナハが一週間前に滅んだらしい」
「バナハが!?」
「バナハの領土は既に不毛の土地と化したようだ」
「王よ、どうされるのですか?」
ヴァルゴールは一度目を瞑ると立ち上がった。
「直ぐに馬車の準備をするのだ、私はこれからシドサリエルに向かう。ゼオ、お前も準備をするのだ」
「はっ、直ちに」
―
――
―――
――――。
久行は目を覚ますと体を伸ばした。
今久行が寝ていたのはゴツゴツした岩肌だったのであちこちが痛い。
前の仕事がちょっとばかり大仕事だったので疲れて寝ていたようだ。
「遺跡みてーな場所だな」
辺りを見渡して思ったのがそんな感想だった。
いつ滅んだのかわからないような石造りの建造物群、そこでやっと久行は思い出した。
「あ、俺がやったんだった」
頭をポリポリと掻きながらあくびをする。
立ち上がって半開きの目のまま辺りを散策する。
見るもの全てが朽ちていて触るだけでその場からサァァと掻き消えるところを見るとうまくいったようだった。
と、久行と同じよに地べたで大の字で寝そべっている騎士を見つけたので蹴り起こした。
「おい、いつまで寝てる気だハゲ」
あくびをする騎士は数秒ぼけっとすると久行へと顔を向けた。
「は、禿げてねーし!つーかお前がいつまで経っても起きないからやることがなかったんだよ!」
「うるせーな、寝起きなんだから大声出すな」
「お前も今起きたのかよ!」
「で、他の奴らは?」
「どっかで遊んでるんじゃないんですかね?一国潰したんで金が有り余ってるわけですわ」
はははと笑う騎士。
「たく、雇い主に渡す分は残してあるだろうな」
「そりゃ勿論、あくまでも俺たちは傭兵ですからね」
そう、俺たちには雇い主がいる。
不可解で不可思議で不可逆的な存在の雇い主が。
その雇い主は会う度に姿を変えていた。本人曰く変わってしまうのだという。そして一度なった姿には二度となれないらしい。
そしてそいつは俺をこの世界に呼んだ存在でもあった。そう俗に言う『神』という存在だったのだ。
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