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20.婚約破棄
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「父上! ミランダの罪を告発します!」
息子の発言に、国王は驚き言葉が出ない。エドガーがアルフレッドの発言を促す。
「王太子が大声をあげるものではない。ミランダの罪とはなんだ。彼女はいつもアルフレッドを支えているではないか。先程の話は聞こえていたぞ。まだ結婚前なのに側妃を求めるとは気が早いことだ。ミランダが王妃様のような性格だったら、そこにいる可憐な少女の家は今頃取り潰しだろうな」
「叔父上は黙っていてください! ミランダは罪を犯しました!」
「だから、ミランダの罪とはなんだ。お前のように不貞でもしたのか?」
「そんなわけないでしょう! ミランダは僕に惚れていて、僕の言いなりなのです!」
「婚約者を言いなりと言うか。何度も指導しているが、アルフレッドのミランダの扱いは酷い。もっと婚約者を大事にしろ。だいたい、側妃は跡取りが出来ない場合など特別な事情がないと認められない制度のはずだ。結婚前に側妃を望むなんて聞いたことがない」
「ならソフィアを正妃にします! ミランダとは婚約破棄だ!」
「何を言っているのだ! アルフレッド!」
国王が大声でアルフレッドを咎めた。王妃も呆然としており、今にも倒れそうだ。父に叱られ、更に思考能力が衰えたアルフレッドは大声でミランダの罪を告発した。
「ミランダは僕の筆跡を真似て書類を書いていました! 僕ら王族でも書類の偽造は重罪です。ミランダは多くの公文書で僕の筆跡を真似て書類を書いていました! これは重罪です! ミランダの罪を告発し、彼女との婚約を破棄します!」
「あの、アルフレッド……わたくし、代筆なんてしていないわよ?」
「僕の書類をいつも代筆していただろう! 証拠は沢山ある」
「はぁ……全く記憶がないのだけど。証拠って?」
「先週提出した、孤児院の改装許可の書類。あれをサインしたのもミランダだろう!」
「先週って……わたくしは里帰りをしていたのよ? どうやってサインするのよ」
「いつものように事前にサインしておいてくれただろう。とぼけるな!」
「あのね、いつも言っているけど、わたくしは書類のサインも代行もしないわ。確かに、草案は書くわよ。けど、いつもアルフレッドが最後に清書しているでしょ? 面倒がっているから汚い字だけど。忘れちゃったの?」
「とぼけるな! 清書が面倒だから、僕の筆跡を覚えさせただろう!」
「ああ、あれ? 最初にアルフレッドの仕事を手伝うようになった時ね。確かにアルフレッドの筆跡を覚えさせられたわ。けど、それはアルフレッドの字を完璧に覚える為でしょう?婚約者の筆跡位覚えていないとね。アルフレッドの代わりに代筆なんて、しないわよ。そんな事をすれば罪になる。それくらい知っているわ」
「父上の許可もあると言えば、喜んで清書してくれたではないか!」
「アルフレッド! もう黙れ!」
国王の声が響いた。会場が静寂に包まれる。国王の迫力に、アルフレッドは震えあがった。
息子の発言に、国王は驚き言葉が出ない。エドガーがアルフレッドの発言を促す。
「王太子が大声をあげるものではない。ミランダの罪とはなんだ。彼女はいつもアルフレッドを支えているではないか。先程の話は聞こえていたぞ。まだ結婚前なのに側妃を求めるとは気が早いことだ。ミランダが王妃様のような性格だったら、そこにいる可憐な少女の家は今頃取り潰しだろうな」
「叔父上は黙っていてください! ミランダは罪を犯しました!」
「だから、ミランダの罪とはなんだ。お前のように不貞でもしたのか?」
「そんなわけないでしょう! ミランダは僕に惚れていて、僕の言いなりなのです!」
「婚約者を言いなりと言うか。何度も指導しているが、アルフレッドのミランダの扱いは酷い。もっと婚約者を大事にしろ。だいたい、側妃は跡取りが出来ない場合など特別な事情がないと認められない制度のはずだ。結婚前に側妃を望むなんて聞いたことがない」
「ならソフィアを正妃にします! ミランダとは婚約破棄だ!」
「何を言っているのだ! アルフレッド!」
国王が大声でアルフレッドを咎めた。王妃も呆然としており、今にも倒れそうだ。父に叱られ、更に思考能力が衰えたアルフレッドは大声でミランダの罪を告発した。
「ミランダは僕の筆跡を真似て書類を書いていました! 僕ら王族でも書類の偽造は重罪です。ミランダは多くの公文書で僕の筆跡を真似て書類を書いていました! これは重罪です! ミランダの罪を告発し、彼女との婚約を破棄します!」
「あの、アルフレッド……わたくし、代筆なんてしていないわよ?」
「僕の書類をいつも代筆していただろう! 証拠は沢山ある」
「はぁ……全く記憶がないのだけど。証拠って?」
「先週提出した、孤児院の改装許可の書類。あれをサインしたのもミランダだろう!」
「先週って……わたくしは里帰りをしていたのよ? どうやってサインするのよ」
「いつものように事前にサインしておいてくれただろう。とぼけるな!」
「あのね、いつも言っているけど、わたくしは書類のサインも代行もしないわ。確かに、草案は書くわよ。けど、いつもアルフレッドが最後に清書しているでしょ? 面倒がっているから汚い字だけど。忘れちゃったの?」
「とぼけるな! 清書が面倒だから、僕の筆跡を覚えさせただろう!」
「ああ、あれ? 最初にアルフレッドの仕事を手伝うようになった時ね。確かにアルフレッドの筆跡を覚えさせられたわ。けど、それはアルフレッドの字を完璧に覚える為でしょう?婚約者の筆跡位覚えていないとね。アルフレッドの代わりに代筆なんて、しないわよ。そんな事をすれば罪になる。それくらい知っているわ」
「父上の許可もあると言えば、喜んで清書してくれたではないか!」
「アルフレッド! もう黙れ!」
国王の声が響いた。会場が静寂に包まれる。国王の迫力に、アルフレッドは震えあがった。
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