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第二章 白雪姫の誕生日
4.白雪へのプレゼント
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「それでね、おばさまはすごいの。わたくしに、いっぱい宝石をくれたのよ!」
胸をはるイザベラは可愛いけれど、白雪に突っかかるのは嫌ね。
お兄様は、フリッツ様と話があると部屋を出て行ってしまった。部屋には白雪とイザベラ、鏡とわたくしが残された。
『なぁ、なんでそんなむすーっとしてんだよ。美人の女王様が台無しだぜ。白雪は笑ってイザベラの嫌味に対処してんだから気にすんなよ。だいたい、王侯貴族なんてこんなもんだろ。イザベラはガキだし、ちょっと偉そうだけどそこまで酷くはねぇぞ』
鏡と目が合うと、心の中で会話ができる。
彼は今、女性の姿で白雪の隣に座っている。
イザベラが、わたくしの隣から離れようとしないからだ。
『分かってるわよ。イザベラはなんだかんだでいい子なの。それにね、イザベラの気持ちもわかるのよ。わたくしを白雪に取られたと感じてるんだと思うわ。けど、けどっ……!』
『白雪への態度が悪いのは気に入らねぇ、か』
『……そうよ! だって白雪は家庭教師にいじめられてたのよ! 悪意に敏感なんだから、いくら子どもが相手でも冷たくされたら傷つくに決まってるわ!』
『相変わらず過保護だな。けど、こんくらい平気だよ。このままずーっと守ってくわけにはいかねえだろ? 白雪はいつかはアンタの手を離れて独り立ちする』
『う……それは、そう、なんだけど……』
『ったく、なんて顔してんだよ。白雪ならイザベラと上手くやれるよ。アンタがイザベラに冷たくなったらますますややこしくなるぞ』
鏡の言葉通り、白雪は笑顔でイザベラと話をしている。
「イザベラ様は、カタリーナ様からどのような物を頂いたのですか?」
少し我儘な物言いをするイザベラに優しく話しかける白雪は、出会った頃より少し大人びている。あっという間に大人になってしまうのね。
白雪の成長は嬉しいけど、とっても寂しいわ。
「このブローチと、髪飾りよ! 他にも色々頂いたの! ね、おばさま!」
イザベラの年齢くらいまでちっさくなってくれないかしら。そうすれば……って、駄目よ!
娘の成長を阻害してどうするの! わたくしは、白雪の母親なのに!
っといけない。それにイザベラのおばでもあるわ。白雪には負けるけど、イザベラも大切な身内だもの。
「ええ、そうね。全てわたくしのお下がりだけど気に入ってくれて良かったわ」
「羨ましいですわ……」
あああ! 白雪が悲しそう!
もう! どうして全部イザベラにあげちゃったのかしらっ! そうよ! 白雪の存在を明かさなかったフリッツ様が悪いわ!
わたくしが無駄に夫への怒りを募らせていると、鏡が呆れた顔で話しかけてきた。
「白雪姫様はお誕生日を迎えられましたし、少し大人びたアクセサリーもお似合いになるのでは?」
「そうね! 白雪に似合いそうな物を探してくるわね! 待ってて!」
「……あ、おばさま……」
「イザベラの好きなお菓子も用意させるわ。少し待っていてね。白雪、すぐ持ってくるわね!」
鏡がいれば問題ないだろうし、一刻も早く白雪にプレゼントを渡したいわ。今朝ブローチを渡したばかりだけど、それはそれ、これはこれよ!
わたくしは、足早に部屋を出て行った。
その瞬間、白雪が優雅にイザベラに微笑んだ。だが、わたくしがその事を知るのは少し後の話だ。
胸をはるイザベラは可愛いけれど、白雪に突っかかるのは嫌ね。
お兄様は、フリッツ様と話があると部屋を出て行ってしまった。部屋には白雪とイザベラ、鏡とわたくしが残された。
『なぁ、なんでそんなむすーっとしてんだよ。美人の女王様が台無しだぜ。白雪は笑ってイザベラの嫌味に対処してんだから気にすんなよ。だいたい、王侯貴族なんてこんなもんだろ。イザベラはガキだし、ちょっと偉そうだけどそこまで酷くはねぇぞ』
鏡と目が合うと、心の中で会話ができる。
彼は今、女性の姿で白雪の隣に座っている。
イザベラが、わたくしの隣から離れようとしないからだ。
『分かってるわよ。イザベラはなんだかんだでいい子なの。それにね、イザベラの気持ちもわかるのよ。わたくしを白雪に取られたと感じてるんだと思うわ。けど、けどっ……!』
『白雪への態度が悪いのは気に入らねぇ、か』
『……そうよ! だって白雪は家庭教師にいじめられてたのよ! 悪意に敏感なんだから、いくら子どもが相手でも冷たくされたら傷つくに決まってるわ!』
『相変わらず過保護だな。けど、こんくらい平気だよ。このままずーっと守ってくわけにはいかねえだろ? 白雪はいつかはアンタの手を離れて独り立ちする』
『う……それは、そう、なんだけど……』
『ったく、なんて顔してんだよ。白雪ならイザベラと上手くやれるよ。アンタがイザベラに冷たくなったらますますややこしくなるぞ』
鏡の言葉通り、白雪は笑顔でイザベラと話をしている。
「イザベラ様は、カタリーナ様からどのような物を頂いたのですか?」
少し我儘な物言いをするイザベラに優しく話しかける白雪は、出会った頃より少し大人びている。あっという間に大人になってしまうのね。
白雪の成長は嬉しいけど、とっても寂しいわ。
「このブローチと、髪飾りよ! 他にも色々頂いたの! ね、おばさま!」
イザベラの年齢くらいまでちっさくなってくれないかしら。そうすれば……って、駄目よ!
娘の成長を阻害してどうするの! わたくしは、白雪の母親なのに!
っといけない。それにイザベラのおばでもあるわ。白雪には負けるけど、イザベラも大切な身内だもの。
「ええ、そうね。全てわたくしのお下がりだけど気に入ってくれて良かったわ」
「羨ましいですわ……」
あああ! 白雪が悲しそう!
もう! どうして全部イザベラにあげちゃったのかしらっ! そうよ! 白雪の存在を明かさなかったフリッツ様が悪いわ!
わたくしが無駄に夫への怒りを募らせていると、鏡が呆れた顔で話しかけてきた。
「白雪姫様はお誕生日を迎えられましたし、少し大人びたアクセサリーもお似合いになるのでは?」
「そうね! 白雪に似合いそうな物を探してくるわね! 待ってて!」
「……あ、おばさま……」
「イザベラの好きなお菓子も用意させるわ。少し待っていてね。白雪、すぐ持ってくるわね!」
鏡がいれば問題ないだろうし、一刻も早く白雪にプレゼントを渡したいわ。今朝ブローチを渡したばかりだけど、それはそれ、これはこれよ!
わたくしは、足早に部屋を出て行った。
その瞬間、白雪が優雅にイザベラに微笑んだ。だが、わたくしがその事を知るのは少し後の話だ。
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太真さん、いつもコメントありがとうございます😊
夫は更生しましたが、なんで言わなかったんだよって気持ちはあるみたいです。
今は必死で女王様と仲良くなろうとしてますけど空回ってます😆
やきもちでしょうね😆
コメントありがとうございます♪とても嬉しいです!
イザベラと白雪のやり取りも早めに書きたいなと思っております♪
コメントありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです!
頑張って続き考えます!
騎士団長は、出したいなーと思ってますが
結ばれるかは考えてませんでしたよっ!
女王様、白雪姫の事しか考えてませんので(*≧∀≦*)