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番外編 誰が兄上壊したの?
第九話
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「イオス、僕が国を滅ぼすっての詳細を聞いて良い?」
「……それが、オレも詳細が分からないんですよね。兄貴は反乱軍と繋がっていたそうで、武器やお金の提供もしていたそうですよ」
あれから、ふたりは泣きながら色んな事を話した。最終的に、お互いが謝罪しだしたところで、今は何も起こっていないのだから、気にしない事にしようと決めた。
それから、この事は誰にも言わないでおこう。兄弟だけの秘密にしようと話し合った。荒唐無稽な話は、場合によっては言った人物が排除される事を知らないふたりではなかったからだ。ただし、イオスはセーラには既に伝えてしまったと言った。フォスも、それには納得していた。あれだけ仲が良かったなら、イオスも信頼して話すだろうと。
イオスは、セーラも過去を覚えている事は言わない事にした。
兄を信用しなかった訳ではない。セーラの記憶があると分かれば、兄がセーラに罪悪感を抱く事は容易に想像出来たからだ。
イオスは、今の兄を『兄上』過去の兄を『兄貴』と呼び区別する事にした。それを聞いたフォスは、兄貴……兄貴か……それも良いな、等と呟いてイオスを呆れさせた。
「ホントに、過去の僕は何やってる訳?! 何で他国を滅ぼすのかなぁ?! 僕はバカなの?!」
「兄貴は、オレがセーラを殺したと思わせたら、嬉々として国を滅ぼした事を伝えてきました」
「やっぱり僕はバカだよね?!」
「オレの口からは何とも……」
「イオス! そこはトドメ刺していいよ! 僕は、どんな事したのかな?」
先程とは違い、クスクス笑いながら聞くフォスを嬉しそうに見て、イオスも笑いながら答える。
「あんなに嬉しそうに罪を告白してくれるとは思いませんでした。しかも、自分が皇帝になれず狼狽して、セーラを見た瞬間にセーラの国は自分が滅ぼしてオレに罪を擦り付けたと仰った時は、大勢の貴族の前で何を言うんだこの兄貴は……と、思いました」
「あああ……僕のバカ……よくそれで幽閉で済んだよね……愚か過ぎるよ……過去の僕……いや、未来の僕なのか……?」
「兄上はそんな愚かな事はなさいません!」
「イオス、さりげなくトドメ刺しに来たね」
「え?!」
「兄貴は、愚かって言ってる」
「あああ! 申し訳ありません! そんなつもりでは! 兄上は、何もしていないのですから気にする必要はありません! 兄貴と兄上は別人です!」
「うん、ようやく別人と思えてきた。いくらなんでも僕はそんな事しない。するとしたら、もっと上手くやるよ」
「そうですね。ある意味今の兄上の方が怖いです」
「え?! 僕怖い?!」
「フランツの体温を奪ってる時は、ちょっとだけ怖かったです。でも、お怒りも当然だと思いますし、兄上に本音が言えるようになって嬉しいです」
そう言うイオスの目には涙が浮かんでいた。フォスも、嬉しそうに笑った。
「よし、情報を擦り合わせて今後の予定を立てよう」
「今後の予定ですか?」
「反乱軍なんて、自然発生する訳ないだろ? どこかに原因がある筈だ。反乱の芽を潰してしまえば、イオスは安心してセーラと過ごせるだろ?」
「兄上……ありがとうございます」
「僕と言うか、兄貴はセーラが好きだったらしいけど、僕は年上の女性が好みなんだよね。5歳も下の弟の婚約者に横恋慕なんてしないよ。だから安心して」
「年上ですか?」
「うん、年上のお姉さん良いよね。兄貴は婚約者居なかったの?」
「居ませんでしたね」
「不思議だね。イオスの婚約話は出たんでしょ?」
「はい。セーラが行方不明になってからは婚約を拒否していましたが、話は来ましたね。兄貴は……拒否していたのかどうかも分からないです」
「多分、拒否していたんだろうね」
「まあ、そうでしょうね」
「なんで拒否してたか分かんないけど、ま、もう考えても仕方ないしこれからの事を考えよう。イオスが幸せなら僕も嬉しいしね」
「オレも兄上が幸せになってくれたら嬉しいです!」
兄と本音で話せる事がこんなに幸せだと思わなかった。イオスは、嬉しくて嬉しくて、その日はそのまま兄のベッドで眠りについた。
「……それが、オレも詳細が分からないんですよね。兄貴は反乱軍と繋がっていたそうで、武器やお金の提供もしていたそうですよ」
あれから、ふたりは泣きながら色んな事を話した。最終的に、お互いが謝罪しだしたところで、今は何も起こっていないのだから、気にしない事にしようと決めた。
それから、この事は誰にも言わないでおこう。兄弟だけの秘密にしようと話し合った。荒唐無稽な話は、場合によっては言った人物が排除される事を知らないふたりではなかったからだ。ただし、イオスはセーラには既に伝えてしまったと言った。フォスも、それには納得していた。あれだけ仲が良かったなら、イオスも信頼して話すだろうと。
イオスは、セーラも過去を覚えている事は言わない事にした。
兄を信用しなかった訳ではない。セーラの記憶があると分かれば、兄がセーラに罪悪感を抱く事は容易に想像出来たからだ。
イオスは、今の兄を『兄上』過去の兄を『兄貴』と呼び区別する事にした。それを聞いたフォスは、兄貴……兄貴か……それも良いな、等と呟いてイオスを呆れさせた。
「ホントに、過去の僕は何やってる訳?! 何で他国を滅ぼすのかなぁ?! 僕はバカなの?!」
「兄貴は、オレがセーラを殺したと思わせたら、嬉々として国を滅ぼした事を伝えてきました」
「やっぱり僕はバカだよね?!」
「オレの口からは何とも……」
「イオス! そこはトドメ刺していいよ! 僕は、どんな事したのかな?」
先程とは違い、クスクス笑いながら聞くフォスを嬉しそうに見て、イオスも笑いながら答える。
「あんなに嬉しそうに罪を告白してくれるとは思いませんでした。しかも、自分が皇帝になれず狼狽して、セーラを見た瞬間にセーラの国は自分が滅ぼしてオレに罪を擦り付けたと仰った時は、大勢の貴族の前で何を言うんだこの兄貴は……と、思いました」
「あああ……僕のバカ……よくそれで幽閉で済んだよね……愚か過ぎるよ……過去の僕……いや、未来の僕なのか……?」
「兄上はそんな愚かな事はなさいません!」
「イオス、さりげなくトドメ刺しに来たね」
「え?!」
「兄貴は、愚かって言ってる」
「あああ! 申し訳ありません! そんなつもりでは! 兄上は、何もしていないのですから気にする必要はありません! 兄貴と兄上は別人です!」
「うん、ようやく別人と思えてきた。いくらなんでも僕はそんな事しない。するとしたら、もっと上手くやるよ」
「そうですね。ある意味今の兄上の方が怖いです」
「え?! 僕怖い?!」
「フランツの体温を奪ってる時は、ちょっとだけ怖かったです。でも、お怒りも当然だと思いますし、兄上に本音が言えるようになって嬉しいです」
そう言うイオスの目には涙が浮かんでいた。フォスも、嬉しそうに笑った。
「よし、情報を擦り合わせて今後の予定を立てよう」
「今後の予定ですか?」
「反乱軍なんて、自然発生する訳ないだろ? どこかに原因がある筈だ。反乱の芽を潰してしまえば、イオスは安心してセーラと過ごせるだろ?」
「兄上……ありがとうございます」
「僕と言うか、兄貴はセーラが好きだったらしいけど、僕は年上の女性が好みなんだよね。5歳も下の弟の婚約者に横恋慕なんてしないよ。だから安心して」
「年上ですか?」
「うん、年上のお姉さん良いよね。兄貴は婚約者居なかったの?」
「居ませんでしたね」
「不思議だね。イオスの婚約話は出たんでしょ?」
「はい。セーラが行方不明になってからは婚約を拒否していましたが、話は来ましたね。兄貴は……拒否していたのかどうかも分からないです」
「多分、拒否していたんだろうね」
「まあ、そうでしょうね」
「なんで拒否してたか分かんないけど、ま、もう考えても仕方ないしこれからの事を考えよう。イオスが幸せなら僕も嬉しいしね」
「オレも兄上が幸せになってくれたら嬉しいです!」
兄と本音で話せる事がこんなに幸せだと思わなかった。イオスは、嬉しくて嬉しくて、その日はそのまま兄のベッドで眠りについた。
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