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第二十八話
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「さて、貴族は全員揃っておるな」
「はい、当主または当主代理が全員来ております」
いよいよ皇帝指名の日がやってきた。イオスとフォスは、それぞれ皇帝の右隣と左隣に正装して座っている。進行は宰相であるデュバル公爵。貴族は、各家の代表が全員来ている。
投票は、地位の低い貴族から順番に紙で投票していき、投票後すぐにその場で開票する。結果を受けて、皇帝陛下が次の皇帝を指名するとすぐに戴冠式が行われる。1日がかりの大イベントだ。街中では、どっちが皇帝になるかで、賭けが行われており、フォスは1.1倍。イオスは5倍の倍率だ。イオスに賭ける者はほとんど居ないので、賭けが成立しないから誰かイオスに掛けてくれないか、倍率を6倍にするぞと胴元が宣言すると、とある気まぐれな金持ちが大金をイオスに掛けた。
ありがとよ、カモ。胴元はそう心の中で笑った。
「さて、投票は終了しましたね。開票致します」
開票は、不正がないようにすぐに同じ場所で行われる。250票なので、そこまで時間がかかるわけではない。票数は、皆が目に見えるように大きなボードに記載される。
「イオス様……イオス様……イオス様……フォス様……」
結果は、すぐに明らかになった。
「イオス様。これでイオス様は過半数の支持を獲得しました。イオス様……イオス様……」
フォスの顔色は真っ赤になっており、ブルブル震えている。
「フォス様53票、イオス様197票。我々貴族は、イオス様を支持いたします」
「こんな結果あり得るか! 宰相! 貴様は私を支持していたのではないのか?!」
「私は、イオス様を支持しました」
「裏切ったのか?!」
「裏切るも何も、私はフォス様を支持した事など一度もありませぬ」
「そんな訳ない! 父上! この結果は偽物です! 票を見せろ!」
「フォス、見苦しいぞ」
「あり得ない! あり得ないあり得ない! おい! 貴様投票用紙を見せろ!」
フォスは、引ったくるように用紙を確認するが、書かれているのはイオスの名前ばかり。そもそも、不正が無いように投票用紙を一枚ずつ皆に見せながら開票するので、イオスの勝利は明らかだった。
「そんなわけない! おい! 私を支持する貴族は、今すぐ私の元に来い! 200人は居るはずだろ?! 貴様! 私に媚を売ってきたではないか?!」
「なんの事でしょうか? フォス様は、平民出身で当主となった私の事など興味はありませんでしょう? なにせ、平民から貴族になるなど烏滸がましいそうですからな。私の名もご存知ないのでは?」
「……それは」
「そんな事言ってやるな、シューレン伯爵。貴方の養子縁組を許可したのは私だ。兄上は知らなかったんだよ」
「……だとしたら尚更、我がシューレン伯爵家はイオス様を支持します」
「結果に不備はないようだな。次の皇帝を指名する」
「ま、待ってください父上!」
「次の皇帝は、イオス・エクリーポだ。すぐに国民へ通知しろ。イオス、戴冠式をすぐ行う、こちらへ来い」
「御意」
「そんな……そんな……、あり得ない……」
この日、新たな皇帝が誕生した。
その名は、イオス・イクリーポ。街は驚きに包まれたが、フォスに賭けていた者と、賭けを主催した胴元以外は、イオスの皇帝就任を心から祝福した。
「はい、当主または当主代理が全員来ております」
いよいよ皇帝指名の日がやってきた。イオスとフォスは、それぞれ皇帝の右隣と左隣に正装して座っている。進行は宰相であるデュバル公爵。貴族は、各家の代表が全員来ている。
投票は、地位の低い貴族から順番に紙で投票していき、投票後すぐにその場で開票する。結果を受けて、皇帝陛下が次の皇帝を指名するとすぐに戴冠式が行われる。1日がかりの大イベントだ。街中では、どっちが皇帝になるかで、賭けが行われており、フォスは1.1倍。イオスは5倍の倍率だ。イオスに賭ける者はほとんど居ないので、賭けが成立しないから誰かイオスに掛けてくれないか、倍率を6倍にするぞと胴元が宣言すると、とある気まぐれな金持ちが大金をイオスに掛けた。
ありがとよ、カモ。胴元はそう心の中で笑った。
「さて、投票は終了しましたね。開票致します」
開票は、不正がないようにすぐに同じ場所で行われる。250票なので、そこまで時間がかかるわけではない。票数は、皆が目に見えるように大きなボードに記載される。
「イオス様……イオス様……イオス様……フォス様……」
結果は、すぐに明らかになった。
「イオス様。これでイオス様は過半数の支持を獲得しました。イオス様……イオス様……」
フォスの顔色は真っ赤になっており、ブルブル震えている。
「フォス様53票、イオス様197票。我々貴族は、イオス様を支持いたします」
「こんな結果あり得るか! 宰相! 貴様は私を支持していたのではないのか?!」
「私は、イオス様を支持しました」
「裏切ったのか?!」
「裏切るも何も、私はフォス様を支持した事など一度もありませぬ」
「そんな訳ない! 父上! この結果は偽物です! 票を見せろ!」
「フォス、見苦しいぞ」
「あり得ない! あり得ないあり得ない! おい! 貴様投票用紙を見せろ!」
フォスは、引ったくるように用紙を確認するが、書かれているのはイオスの名前ばかり。そもそも、不正が無いように投票用紙を一枚ずつ皆に見せながら開票するので、イオスの勝利は明らかだった。
「そんなわけない! おい! 私を支持する貴族は、今すぐ私の元に来い! 200人は居るはずだろ?! 貴様! 私に媚を売ってきたではないか?!」
「なんの事でしょうか? フォス様は、平民出身で当主となった私の事など興味はありませんでしょう? なにせ、平民から貴族になるなど烏滸がましいそうですからな。私の名もご存知ないのでは?」
「……それは」
「そんな事言ってやるな、シューレン伯爵。貴方の養子縁組を許可したのは私だ。兄上は知らなかったんだよ」
「……だとしたら尚更、我がシューレン伯爵家はイオス様を支持します」
「結果に不備はないようだな。次の皇帝を指名する」
「ま、待ってください父上!」
「次の皇帝は、イオス・エクリーポだ。すぐに国民へ通知しろ。イオス、戴冠式をすぐ行う、こちらへ来い」
「御意」
「そんな……そんな……、あり得ない……」
この日、新たな皇帝が誕生した。
その名は、イオス・イクリーポ。街は驚きに包まれたが、フォスに賭けていた者と、賭けを主催した胴元以外は、イオスの皇帝就任を心から祝福した。
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