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第十五話

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「どういう事だよ!」

「そんな真っ赤な顔で怒らないでよ」

イオスは怒ってるのではなく、動揺しているのだがセーラは気が付かない。

「怒ってねぇけど、オレの妾ってどういう事だよ。オレはセーラを妾にになんかする気はねぇぞ」

「それは、嬉しいんだけど、ひとまず私もお城で動けるようになりたいの。だってあと半年しかないのよ? 女性にしか出来ない事もあるわ。私は平民で、イオスが私を気に入って城に連れてきたって事にするのよ。平民でも、イオスの妾なら多少の地位はあるわ。調べられても良いように、ちょっと経歴は作った方が良いけど、フォス様に聞かれても気弱な平民を演じれば良いかなって。フォス様って、平民に見向きもしないから、このアザ隠して、髪も短くすればわからないんじゃないかな?」

「髪切るのは勿体ねえから、鬘でも用意させる。街なら髪が短い女性も多いから、セーラの髪色と違うのを用意しておくよ。でも、危険じゃねえか?」

「危険なのは、街に隠れてても同じだし、ずっとここに居るなんて嫌だし、イオスの役に立つには城で自由に動けるくらいにはならないといけないでしょ? アザも服で隠すけど、もっと念入りに隠した方が良い? 家族以外は、アザがある事はイオスしか知らない筈だけど……」

「念のため、念入りに隠してくれ。見た目も平民っぽくするけど、セーラの気品は隠せねぇんじゃないか?」

「んー、見た目変えて、立ち振る舞いもガサツにするよ。一応、街に溶け込む為に平民の立ち振る舞いは習ってるから」

「そんな事習うのか?」

「うちの国は小さかった分、街の人との距離が近いからね。街に極秘の視察に行く事も多いし、その時気付かれないように、使用人の家に泊まって平民のフリの練習を何度もしたから、いけると思うよ」

「オレたちでは考えられないな。この通路が見つかるまでは、街に出た事なんてなかったからな」

「そうね。国の違いもあるから。ミッドナイト商会の女主人は、貴族じゃないかって噂があったから、イオスは性別は誤魔化せても立ち振る舞いは誤魔化せてないわ」

「マジか……」

「フォス様の使用人は全員貴族の出身だし、街の視察では良い人のフリしてるけど帰って来たら街の人がくれたもの全部捨ててるし、かなり平民を下に見てるわよね。あの頃は盲目的にフォス様を信頼してたから、毒でも仕込まれたんだと思って何も言わなかったけど、そんなの絶対側近が確認するし、今思うとかなり傲慢で嫌な態度だったわ。だけど、その分平民になれば相手にされないで済むと思うのよね」

「兄貴の態度は、わざとなんだ。嫌な姿を見せても、相手が嫌悪しないか試すんだよ。意見したり、嫌悪感をみせた使用人は、軒並みクビだ」

「えぇ……意見してたら危なかった感じ?」

「兄貴の気分次第だな」

「怖いよ! 爆弾庫で寝泊まりしてた気分だよ!」

「あながち間違いではないな」

「肯定しないでよぉ!!!」
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