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あれから、元夫のお母様が我が家に突撃して来た。すぐに訴えて連れて帰って貰ったけど、社交界では噂になって立場がなくなったみたい。
元夫は実家に戻ったけど、跡取りのお兄様から追い出されたそうよ。それからどうしてるかは知らないわ。浮気してたお嬢様方を訴える事はしなかったけど、みなさんわたくしを避けるか、あからさまに媚びを売ってくる。
だから、誰だったかは分かってしまうみたいね。
離婚を突きつけられたご婦人もいらっしゃるみたいよ。
ま、元夫に引っかかるくらいだから夫婦仲もあまり良くなかったんでしょうよ。
ナターシャは、現在裁判中。処刑はやめてほしいとパーネル男爵が訴えておられるみたい。
「相変わらず、お優しいですわね」
「いいえ。僕は優しくなんかありませんよ。死んだら終わり。そんなの許せなかった。もっと苦しめば良いと思ったんです。ナターシャが、僕を殺す事を迷っていたのは知ってました。それなのに、妻を訴えたんです。酷いでしょう?」
「元妻、ですわ。それに、毒物は持っているだけで犯罪。捕まって当然です。苦しんでほしいと思うのは、それだけパーネル男爵が苦しんだから。あの場で殺してもよかったのに、貴方はそうしなかった。もしかしたら、いつか彼女が改心するかもしれないと期待なさったのでしょう? お優しい貴方様らしいですわ」
パーネル男爵は、最近社交界でとてもモテている。お痩せになった事もあるし、ナターシャが浪費していた費用がなくなったのでご自分の身なりを整える余裕が出来たみたい。
わたくしもそこそこモテるけど……もう結婚はいいかなって思う。信用出来る人を探すのも大変だしね。でも、跡取りはどうしようかしら。
「あ、あの! ウールウォード侯爵はこれからどうなさるおつもりですか?」
「そろそろシーズンも終わりますし領地に篭ろうかと」
「なら……次のシーズンは僕と一緒に過ごしませんか?」
「え……?」
真剣な表情をしているパーネル男爵に一瞬ドキリとしてしまう。
「あ……あの、変な意味ではなくて! お互い次の相手を探さないといけないでしょう? 僕の魔法は便利だと思うんです。ウールウォード侯爵が求めているのは、信用出来る方……ですよね?」
確かにそうね。でも、なかなか居ないのよねー。魔法がなくても裏がある人は見れば大体分かる。
そこまでパーネル男爵にお手間を取らせるのも……。って、ナニコレ? そんな捨てられた子犬みたいな目で見ないでよっ!
「ずっと一緒に居ようというわけではありませんよね?」
流石にそれじゃ変な噂になってしまう。パーネル男爵はモテているのだから、わたくしが邪魔しちゃ悪い。
「もちろんです。ですけど、情報はお伝えしたいので必ず同じパーティーに行きましょう」
「分かりました。行くパーティーが決まったらお知らせしますわね」
「光栄です。では、また来シーズンに」
結婚してからパーティーはあまり好きじゃなかったけど、なんだか楽しみになってきたわ。
元夫は実家に戻ったけど、跡取りのお兄様から追い出されたそうよ。それからどうしてるかは知らないわ。浮気してたお嬢様方を訴える事はしなかったけど、みなさんわたくしを避けるか、あからさまに媚びを売ってくる。
だから、誰だったかは分かってしまうみたいね。
離婚を突きつけられたご婦人もいらっしゃるみたいよ。
ま、元夫に引っかかるくらいだから夫婦仲もあまり良くなかったんでしょうよ。
ナターシャは、現在裁判中。処刑はやめてほしいとパーネル男爵が訴えておられるみたい。
「相変わらず、お優しいですわね」
「いいえ。僕は優しくなんかありませんよ。死んだら終わり。そんなの許せなかった。もっと苦しめば良いと思ったんです。ナターシャが、僕を殺す事を迷っていたのは知ってました。それなのに、妻を訴えたんです。酷いでしょう?」
「元妻、ですわ。それに、毒物は持っているだけで犯罪。捕まって当然です。苦しんでほしいと思うのは、それだけパーネル男爵が苦しんだから。あの場で殺してもよかったのに、貴方はそうしなかった。もしかしたら、いつか彼女が改心するかもしれないと期待なさったのでしょう? お優しい貴方様らしいですわ」
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わたくしもそこそこモテるけど……もう結婚はいいかなって思う。信用出来る人を探すのも大変だしね。でも、跡取りはどうしようかしら。
「あ、あの! ウールウォード侯爵はこれからどうなさるおつもりですか?」
「そろそろシーズンも終わりますし領地に篭ろうかと」
「なら……次のシーズンは僕と一緒に過ごしませんか?」
「え……?」
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「あ……あの、変な意味ではなくて! お互い次の相手を探さないといけないでしょう? 僕の魔法は便利だと思うんです。ウールウォード侯爵が求めているのは、信用出来る方……ですよね?」
確かにそうね。でも、なかなか居ないのよねー。魔法がなくても裏がある人は見れば大体分かる。
そこまでパーネル男爵にお手間を取らせるのも……。って、ナニコレ? そんな捨てられた子犬みたいな目で見ないでよっ!
「ずっと一緒に居ようというわけではありませんよね?」
流石にそれじゃ変な噂になってしまう。パーネル男爵はモテているのだから、わたくしが邪魔しちゃ悪い。
「もちろんです。ですけど、情報はお伝えしたいので必ず同じパーティーに行きましょう」
「分かりました。行くパーティーが決まったらお知らせしますわね」
「光栄です。では、また来シーズンに」
結婚してからパーティーはあまり好きじゃなかったけど、なんだか楽しみになってきたわ。
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