52 / 56
番外編
マリオン視点 3
しおりを挟む
僕がアマンダに近寄ったら、黒歴史を暴く程度で済む訳ない。なにせ、僕は前科があるのだから。
油断しては駄目だ!
あの悪魔は、何をしてくるか分からない。
とにかく兄上の忠告を守る。絶対に自分からアマンダに話しかけない。
そう、思っていたのに。
久しぶりに会ったアマンダは、ますます美しくなっていた。まるで可憐な天使のようだ。
儀式が終わり、我々の仕事は終了した。参加している貴族達と話す者も多いが必須ではない。僕はすぐにでも逃げようと思っていた。
それなのに、アマンダから目が離せない。
思わず、声をかけたくなる。しかし次の瞬間、アマンダの隣にいる悪魔が微笑んだ。
「久しぶりだな。マリオン」
恐怖で身体が動かない。悪魔は、ますます美しくなっていた。人間離れした美しさだ。やはり悪魔だ。
悪魔はアマンダの腰を抱き、離れようとしない。くっつきすぎだろ!
「婚約者が出来たんだろう? 今度紹介してくれよ」
笑顔が怖い!
物凄い圧があるんだが?!
何故アマンダは悪魔をうっとりと眺めているんだ!
駄目だ。怖くて、声が出ない。
「今度騎士団に来る予定がある。アルフレッドが慰問に来る日だ。その時に紹介したらどうだ?」
兄上が、助けてくれた。ありがとうございます兄上! 一生ついて行きます!
「ああ……そういえばマリオンの婚約者は騎士団長の妹さんでしたね」
悪魔は面白くなさそうに目を伏せる。くっそ、そんな姿も美しい! やっぱりこの男は悪魔だ!
「とっても可愛らしい方なんですよ。この間、レベッカに紹介して頂きましたの。レベッカに鍛えられてるから、刺繍がとってもお上手なんです。マリオン様への……あっ」
「アマンダ、それは内緒なんじゃないの?」
「あぅ……ごめんなさい。マリオン様、今のは聞かなかった事にして下さいまし」
か、可愛い。
頬を染め、申し訳なさそうに目を伏せるアマンダ。なんだこれ、めちゃくちゃ可愛いじゃないか。アマンダは元々可愛かった。けど今は美しい。完璧なスタイルに可憐な顔立ち。
ああ……どうして僕ではなく……。
「マリオン、後で話がある」
低く、美しい声がした。
まずい!
悪魔が微笑んでいる!!!
僕は何をやっているんだ!
あれほど駄目だと言われたのに!
せっかくフォローしようとしてくれた兄も呆れた顔をしている。そりゃそうだよ! 何やってんだ僕!
絶体絶命かと思われたが、僕には天使がついていた。
「アル様。今日はお仕事の後はずっと一緒にいて下さるのではなかったのですか?」
アマンダぁぁ……!
君はやっぱり天使だっ……!
悪魔はアマンダが頬を膨らませると僕の事など忘れてしまったようだ。良かった……良かった……ありがとうアマンダ!
油断しては駄目だ!
あの悪魔は、何をしてくるか分からない。
とにかく兄上の忠告を守る。絶対に自分からアマンダに話しかけない。
そう、思っていたのに。
久しぶりに会ったアマンダは、ますます美しくなっていた。まるで可憐な天使のようだ。
儀式が終わり、我々の仕事は終了した。参加している貴族達と話す者も多いが必須ではない。僕はすぐにでも逃げようと思っていた。
それなのに、アマンダから目が離せない。
思わず、声をかけたくなる。しかし次の瞬間、アマンダの隣にいる悪魔が微笑んだ。
「久しぶりだな。マリオン」
恐怖で身体が動かない。悪魔は、ますます美しくなっていた。人間離れした美しさだ。やはり悪魔だ。
悪魔はアマンダの腰を抱き、離れようとしない。くっつきすぎだろ!
「婚約者が出来たんだろう? 今度紹介してくれよ」
笑顔が怖い!
物凄い圧があるんだが?!
何故アマンダは悪魔をうっとりと眺めているんだ!
駄目だ。怖くて、声が出ない。
「今度騎士団に来る予定がある。アルフレッドが慰問に来る日だ。その時に紹介したらどうだ?」
兄上が、助けてくれた。ありがとうございます兄上! 一生ついて行きます!
「ああ……そういえばマリオンの婚約者は騎士団長の妹さんでしたね」
悪魔は面白くなさそうに目を伏せる。くっそ、そんな姿も美しい! やっぱりこの男は悪魔だ!
「とっても可愛らしい方なんですよ。この間、レベッカに紹介して頂きましたの。レベッカに鍛えられてるから、刺繍がとってもお上手なんです。マリオン様への……あっ」
「アマンダ、それは内緒なんじゃないの?」
「あぅ……ごめんなさい。マリオン様、今のは聞かなかった事にして下さいまし」
か、可愛い。
頬を染め、申し訳なさそうに目を伏せるアマンダ。なんだこれ、めちゃくちゃ可愛いじゃないか。アマンダは元々可愛かった。けど今は美しい。完璧なスタイルに可憐な顔立ち。
ああ……どうして僕ではなく……。
「マリオン、後で話がある」
低く、美しい声がした。
まずい!
悪魔が微笑んでいる!!!
僕は何をやっているんだ!
あれほど駄目だと言われたのに!
せっかくフォローしようとしてくれた兄も呆れた顔をしている。そりゃそうだよ! 何やってんだ僕!
絶体絶命かと思われたが、僕には天使がついていた。
「アル様。今日はお仕事の後はずっと一緒にいて下さるのではなかったのですか?」
アマンダぁぁ……!
君はやっぱり天使だっ……!
悪魔はアマンダが頬を膨らませると僕の事など忘れてしまったようだ。良かった……良かった……ありがとうアマンダ!
11
お気に入りに追加
2,109
あなたにおすすめの小説
あなたが残した世界で
天海月
恋愛
「ロザリア様、あなたは俺が生涯をかけてお守りすると誓いましょう」王女であるロザリアに、そう約束した初恋の騎士アーロンは、ある事件の後、彼女との誓いを破り突然その姿を消してしまう。
八年後、生贄に選ばれてしまったロザリアは、最期に彼に一目会いたいとアーロンを探し、彼と再会を果たすが・・・。
【完結済】侯爵令息様のお飾り妻
鳴宮野々花@軍神騎士団長1月15日発売
恋愛
没落の一途をたどるアップルヤード伯爵家の娘メリナは、とある理由から美しい侯爵令息のザイール・コネリーに“お飾りの妻になって欲しい”と持ちかけられる。期間限定のその白い結婚は互いの都合のための秘密の契約結婚だったが、メリナは過去に優しくしてくれたことのあるザイールに、ひそかにずっと想いを寄せていて─────
結婚5年目の仮面夫婦ですが、そろそろ限界のようです!?
宮永レン
恋愛
没落したアルブレヒト伯爵家を援助すると声をかけてきたのは、成り上がり貴族と呼ばれるヴィルジール・シリングス子爵。援助の条件とは一人娘のミネットを妻にすること。
ミネットは形だけの結婚を申し出るが、ヴィルジールからは仕事に支障が出ると困るので外では仲の良い夫婦を演じてほしいと告げられる。
仮面夫婦としての生活を続けるうちに二人の心には変化が生まれるが……
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」
行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。
相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。
でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!
それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。
え、「何もしなくていい」?!
じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!
こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?
どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。
二人が歩み寄る日は、来るのか。
得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?
意外とお似合いなのかもしれません。笑
婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います
ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」
公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。
本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか?
義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。
不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます!
この作品は小説家になろうでも掲載しています
婚約者に裏切られた女騎士は皇帝の側妃になれと命じられた
ミカン♬
恋愛
小国クライン国に帝国から<妖精姫>と名高いマリエッタ王女を側妃として差し出すよう命令が来た。
マリエッタ王女の侍女兼護衛のミーティアは嘆く王女の監視を命ぜられるが、ある日王女は失踪してしまった。
義兄と婚約者に裏切られたと知ったミーティアに「マリエッタとして帝国に嫁ぐように」と国王に命じられた。母を人質にされて仕方なく受け入れたミーティアを帝国のベルクール第二皇子が迎えに来た。
二人の出会いが帝国の運命を変えていく。
ふわっとした世界観です。サクッと終わります。他サイトにも投稿。完結後にリカルドとベルクールの閑話を入れました、宜しくお願いします。
2024/01/19
閑話リカルド少し加筆しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる