前世の推しが婚約者になりました

編端みどり

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番外編

第二王子視点 2

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アルフレッドの人気は凄まじく、過激なファンもいたのた。

アルフレッドはそんな人達を牽制する為にアマンダの特等席を用意している。妻を溺愛している事を隠そうともしない。

以前はそうではなかった。アマンダは観客の邪魔にならないようにひっそりとアルフレッドの歌を鑑賞していた。しかし、アルフレッドがアマンダを溺愛していると知らない一部の過激なファンがアマンダを排除しようとした。自分こそアルフレッドの妻に相応しいと言い出したのだ。相手は王族、なんでも思い通りになると思っていたのだろう。

どこで情報を得たのかは知らないが、それを知ったアルフレッドはアマンダが居なくなれば自分はもう歌えないと泣いて訴えた。

それからは必ずアマンダを真ん前の席に座らせて歌う。

そのタイミングでたくさんの新曲を発表した。離れたファンもいたかもしれないが、それ以上にたくさんのファンを獲得した。

見事な人心掌握術だと思った。私は、嫉妬心を忘れアルフレッドの歌に夢中になった。

アルフレッドの歌は素晴らしい。多くの人を魅了する理由も、兄が護衛を付ける理由も分かる。

しかも、話してみるとなかなか面白い男だった。私の事を兄貴と呼び、酒を飲むと饒舌になる。私よりも歳下なのに様々な事を知っているし、世間の事も分かっている。良い人の振りをして近寄る悪人を見抜く勘も鋭い。

「アルフレッド、どうしてそんなに勘が鋭いんだ」

「腹になんか抱えてるヤツは目が違うんだ。あと、上手い事ばっかり言うヤツも要注意だ。まぁ、こればっかりは経験だな。俺は散々痛い目にもあったし、芸能……っと有名になると変なヤツも寄って来るからな。今は兄貴達がガードしてくれるから楽なもんだ。いつもありがとな。感謝してるぜ」

王族なのにそんなに痛い目に遭った経験があるなんて……きっと私の知らないところでたくさん苦労したのだろう。アルフレッドが母の攻撃を受けていたのは知っていた。だが、私は何もしてやれなかった。

酒の勢いに任せて謝罪すれば、笑って許してくれた。むしろ母に感謝していると言うのだ。恨む理由は山ほどあるが、感謝する理由なんてないだろう。そう問うとアマンダと婚約出来たのは母のおかげだからと笑った。

アルフレッドはいつも自分の身よりもアマンダの身を心配する。あんなに人々を魅了するのに、アマンダの前では無邪気な男になっているからなんだかおかしかった。アマンダは騎士団長の奥様と親友で、たまに一緒に騎士団に慰問に来る。騎士団長の奥様は騎士達に大人気だ。アマンダも人気があるが、誰一人馴れ馴れしく近づいたりはしない。

彼女達の夫が怖すぎるのだ。騎士団長は奥様に近づいた騎士を訓練だと言ってボコボコにするし、アルフレッドは誰にも知られたくない黒歴史をいつの間にか暴いてくる。
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