21 / 56
20
しおりを挟む
「アマンダ様?」
「失礼しました。来週の予定を思い出しておりましたの。何も予定は無かったはずですから、いつでもお待ちしておりますわ」
「そう。なら前日までに先触れを出すわね」
「はい。よろしくお願いします。楽しみですわ」
そう言ってレベッカ様と別れた。
思ったより優しそうな方で良かったわ。
ああ! アル様の魅力をお伝えするのを忘れていたわ!
まぁ、またお会い出来るから良いか。
レベッカ様とは気が合いそうだわ。今度、騎士団長様のお話を振ってみましょう。レベッカ様のご結婚は来月だったわよね。羨ましいわ。わたくしも早くアル様と結婚したい。
……本当に、結婚出来るかな。っと、いけない。ネガティブ禁止!
誰が見てるか分からないんだから、シャキッとしなきゃ! わたくしは顔を上げて、次の社交へ向かった。
「アマンダ、踊ろう」
いい加減男性のお誘いを断るのに疲れた頃、声を掛けて来たのはアル様の弟のマリオン殿下だった。
「お誘いありがとうございます。ですが、わたくしはアルフレッド殿下をお待ちしておりますので」
「兄上は今日は王女様のエスコートで手一杯だよ。だから、僕が兄上の代わりにエスコートするよう頼まれたんだ」
嘘つけ。
マリオン殿下は、わたくしのひとつ上。確かに歳は近いし普通なら不自然じゃない申し出だ。けど、アル様から散々言われてる。アル様以外の王族で、信用して良いのは国王陛下だけだってね。
特に、歳が近いマリオン殿下には注意するように言われている。マリオン殿下にはまだ婚約者がいらっしゃらない。ここでわたくしと踊ったりしたら、変な噂になるのは間違いない。
「アルフレッド殿下からそのような話は伺っておりませんわ。わたくしはアルフレッド殿下以外の殿方と踊らないとお約束しましたの。もちろん、国王陛下のご許可も頂いておりますわ。ですから、どうかわたくしの事は気にしないで下さいまし。マリオン殿下のお心遣いに心から感謝致しますわ」
「父上まで巻き込んで、兄上はちょっと独占欲が強いんじゃないの? ねぇ、兄上に束縛されて嫌にならない?」
「アルフレッド殿下に束縛されるなら大歓迎ですわ」
他の人はノーサンキューですけどね。
「はぁ……父上の名前まで出されたら諦めるしかないね。でもさ、アマンダなら兄上じゃなくても良いでしょう。僕の方が良いじゃん。ね、僕の婚約者にならない?」
ふざけんな。アル様よりいい男がいる訳ないでしょ。ムカつく、ムカつく、ムカつくっ……!
「こら、アマンダは私の婚約者だ。父上が出した王命に逆らう気か?」
「……兄上」
「アル様っ!」
「失礼しました。来週の予定を思い出しておりましたの。何も予定は無かったはずですから、いつでもお待ちしておりますわ」
「そう。なら前日までに先触れを出すわね」
「はい。よろしくお願いします。楽しみですわ」
そう言ってレベッカ様と別れた。
思ったより優しそうな方で良かったわ。
ああ! アル様の魅力をお伝えするのを忘れていたわ!
まぁ、またお会い出来るから良いか。
レベッカ様とは気が合いそうだわ。今度、騎士団長様のお話を振ってみましょう。レベッカ様のご結婚は来月だったわよね。羨ましいわ。わたくしも早くアル様と結婚したい。
……本当に、結婚出来るかな。っと、いけない。ネガティブ禁止!
誰が見てるか分からないんだから、シャキッとしなきゃ! わたくしは顔を上げて、次の社交へ向かった。
「アマンダ、踊ろう」
いい加減男性のお誘いを断るのに疲れた頃、声を掛けて来たのはアル様の弟のマリオン殿下だった。
「お誘いありがとうございます。ですが、わたくしはアルフレッド殿下をお待ちしておりますので」
「兄上は今日は王女様のエスコートで手一杯だよ。だから、僕が兄上の代わりにエスコートするよう頼まれたんだ」
嘘つけ。
マリオン殿下は、わたくしのひとつ上。確かに歳は近いし普通なら不自然じゃない申し出だ。けど、アル様から散々言われてる。アル様以外の王族で、信用して良いのは国王陛下だけだってね。
特に、歳が近いマリオン殿下には注意するように言われている。マリオン殿下にはまだ婚約者がいらっしゃらない。ここでわたくしと踊ったりしたら、変な噂になるのは間違いない。
「アルフレッド殿下からそのような話は伺っておりませんわ。わたくしはアルフレッド殿下以外の殿方と踊らないとお約束しましたの。もちろん、国王陛下のご許可も頂いておりますわ。ですから、どうかわたくしの事は気にしないで下さいまし。マリオン殿下のお心遣いに心から感謝致しますわ」
「父上まで巻き込んで、兄上はちょっと独占欲が強いんじゃないの? ねぇ、兄上に束縛されて嫌にならない?」
「アルフレッド殿下に束縛されるなら大歓迎ですわ」
他の人はノーサンキューですけどね。
「はぁ……父上の名前まで出されたら諦めるしかないね。でもさ、アマンダなら兄上じゃなくても良いでしょう。僕の方が良いじゃん。ね、僕の婚約者にならない?」
ふざけんな。アル様よりいい男がいる訳ないでしょ。ムカつく、ムカつく、ムカつくっ……!
「こら、アマンダは私の婚約者だ。父上が出した王命に逆らう気か?」
「……兄上」
「アル様っ!」
19
お気に入りに追加
2,114
あなたにおすすめの小説

【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
21時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?

〖完結〗記憶を失った令嬢は、冷酷と噂される公爵様に拾われる。
藍川みいな
恋愛
伯爵令嬢のリリスは、ハンナという双子の妹がいた。
リリスはレイリック・ドルタ侯爵に見初められ、婚約をしたのだが、
「お姉様、私、ドルタ侯爵が気に入ったの。だから、私に譲ってくださらない?」
ハンナは姉の婚約者を、欲しがった。
見た目は瓜二つだが、リリスとハンナの性格は正反対。
「レイリック様は、私の婚約者よ。悪いけど、諦めて。」
断った私にハンナは毒を飲ませ、森に捨てた…
目を覚ました私は記憶を失い、冷酷と噂されている公爵、アンディ・ホリード様のお邸のベッドの上でした。
そして私が記憶を取り戻したのは、ハンナとレイリック様の結婚式だった。
設定はゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全19話で完結になります。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

兄にいらないと言われたので勝手に幸せになります
毒島醜女
恋愛
モラハラ兄に追い出された先で待っていたのは、甘く幸せな生活でした。
侯爵令嬢ライラ・コーデルは、実家が平民出の聖女ミミを養子に迎えてから実の兄デイヴィッドから冷遇されていた。
家でも学園でも、デビュタントでも、兄はいつもミミを最優先する。
友人である王太子たちと一緒にミミを持ち上げてはライラを貶めている始末だ。
「ミミみたいな可愛い妹が欲しかった」
挙句の果てには兄が婚約を破棄した辺境伯家の元へ代わりに嫁がされることになった。
ベミリオン辺境伯の一家はそんなライラを温かく迎えてくれた。
「あなたの笑顔は、どんな宝石や星よりも綺麗に輝いています!」
兄の元婚約者の弟、ヒューゴは不器用ながらも優しい愛情をライラに与え、甘いお菓子で癒してくれた。
ライラは次第に笑顔を取り戻し、ベミリオン家で幸せになっていく。
王都で聖女が起こした騒動も知らずに……

【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない
金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ!
小説家になろうにも書いてます。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】没落寸前の貧乏令嬢、お飾りの妻が欲しかったらしい旦那様と白い結婚をしましたら
Rohdea
恋愛
婚期を逃し、没落寸前の貧乏男爵令嬢のアリスは、
ある日、父親から結婚相手を紹介される。
そのお相手は、この国の王女殿下の護衛騎士だったギルバート。
彼は最近、とある事情で王女の護衛騎士を辞めて実家の爵位を継いでいた。
そんな彼が何故、借金の肩代わりをしてまで私と結婚を……?
と思ったら、
どうやら、彼は“お飾りの妻”を求めていたらしい。
(なるほど……そういう事だったのね)
彼の事情を理解した(つもり)のアリスは、その結婚を受け入れる事にした。
そうして始まった二人の“白い結婚”生活……これは思っていたよりうまくいっている?
と、思ったものの、
何故かギルバートの元、主人でもあり、
彼の想い人である(はずの)王女殿下が妙な動きをし始めて……

むにゃむにゃしてたら私にだけ冷たい幼馴染と結婚してました~お飾り妻のはずですが溺愛しすぎじゃないですか⁉~
景華
恋愛
「シリウス・カルバン……むにゃむにゃ……私と結婚、してぇ……むにゃむにゃ」
「……は?」
そんな寝言のせいで、すれ違っていた二人が結婚することに!?
精霊が作りし国ローザニア王国。
セレンシア・ピエラ伯爵令嬢には、国家機密扱いとなるほどの秘密があった。
【寝言の強制実行】。
彼女の寝言で発せられた言葉は絶対だ。
精霊の加護を持つ王太子ですらパシリに使ってしまうほどの強制力。
そしてそんな【寝言の強制実行】のせいで結婚してしまった相手は、彼女の幼馴染で公爵令息にして副騎士団長のシリウス・カルバン。
セレンシアを元々愛してしまったがゆえに彼女の前でだけクールに装ってしまうようになっていたシリウスは、この結婚を機に自分の本当の思いを素直に出していくことを決意し自分の思うがままに溺愛しはじめるが、セレンシアはそれを寝言のせいでおかしくなっているのだと勘違いをしたまま。
それどころか、自分の寝言のせいで結婚してしまっては申し訳ないからと、3年間白い結婚をして離縁しようとまで言い出す始末。
自分の思いを信じてもらえないシリウスは、彼女の【寝言の強制実行】の力を消し去るため、どこかにいるであろう魔法使いを探し出す──!!
大人になるにつれて離れてしまった心と身体の距離が少しずつ縮まって、絡まった糸が解けていく。
すれ違っていた二人の両片思い勘違い恋愛ファンタジー!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる