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相変わらず王妃様には嫌われているらしく、社交に出るとちょいちょい悪い噂を聞く。そのせいで、婚約が決まっているのにわたくしに言い寄る男性もいた。

ないわー。
こんなに素敵な婚約者が居て、浮気するなんてないわー。

そう思ったわたくしは、満面の笑みで追い返していた。なんだかんだ言っても相手は前世の上司より若いお坊ちゃんだから、あしらうのは簡単だった。

そんな様子に嫉妬した面倒なお嬢ちゃんも湧いてきたから、茶会に行く時はアル様と一緒に行くようになった。

そしたら、お嬢ちゃん達はすぐにアル様に夢中になった。分かる、わたくしの推しは素敵でしょう?

わたくしは同担拒否じゃない。
存分にアル様の魅力をアピールしておいた。

そしたら何故か、国王陛下からお褒めの言葉を頂いた。貴族から慕われるようになったアル様を蔑ろには出来ないらしく、王妃様は比較的大人しくなったようだ。城に帰っても、以前のような危険はないだろうと国王陛下からは言われている。

それでも、アル様は我が家に滞在して下さっている。うちの家族とは、本当の家族のように仲良くなった。国王陛下が寂しそうだからと、たまにお城に戻られる事はあるけどほとんど毎日一緒に居る。

幸せ過ぎる5年間だった。

だけど、その幸せも今日まで。
アル様は明日、お城に戻られる。

我が家に滞在出来たのは、婚約者であるわたくしが未成年だったから。

わたくしは今日、成人した。前世の基準ではまだ子どもだが、大人びているしスタイルもそこそこ良い。顔も前より可愛い。胸はちょっと同世代の子に比べると小さいけど。けど、ウエストは細い。この世界、コルセットはあるけど身体に良くないからとお母様は付けない。もちろん、娘にも付けさせない。それでもお母様のスタイルはとても良い。コツを聞いたら、適度な運動と筋トレ、食事管理が大事だと教えて下さった。お母様の指導の元作られる食事や、運動や筋トレのおかげでわたくしのスタイルはすこぶる良い。こんな食事管理、前世での不健康な一人暮らしでは不可能でした。ありがとうお母様!

もう成人したのだから、早くアル様と結婚したい。だってアル様はどんどん素敵になっていく。ファンが増えたのは嬉しいけど、婚約者としては怖い。貴族のご令嬢はみんな可愛く、美しいんだもの。

結婚を延ばされているのは、お兄様のせいだけじゃない。アル様だって、結婚の延期に賛成した。もしかしたらアル様は……わたくしと結婚したくないのかもしれない……。
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