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「でも、テイラー公爵の話によるとアマンダ嬢はユナという名の者とは会った事がない。不思議だね。もしかして、夢でも見たのかな? 夢で見たユナ様とやらは、そんなに私に似ているの?」

近い、お顔が近い。別人とはいえ、推しとそっくりな声と顔で話しかけられて冷静になれるアイドルオタクが居たら、是非紹介して欲しい。わたくしはそんなに冷静なオタクじゃない。

顔は真っ赤に茹で上がり、目の前のイケメンを見つめる事しかできない。

夢じゃないんだとか、前世の話なんて誰にもしてないのにどうしようとか、そんな事しか考えられない。

アルフレッド殿下のお声が耳に響くと、脳内は完全に支配されてしまう。

「俺はユナ様に似てる?」

ひぃ! ユナ様も一人称は俺だったのよ!
さっきまでの王子様オーラがなくなり、アイドルオーラを纏ったアルフレッド殿下は……完璧にユナ様だ。

ダメだって。似てるなんて言ったら失礼だってば!
冷静な自分は、アイドルオタクな自分に負けた。

「……はい。とっても素敵です……」

あああ! わたくしの馬鹿ぁ!
これじゃあユナ様に似てるから素敵って言ってるみたいじゃないのよ!

あってる、いや違う!
アルフレッド殿下は、アルフレッド殿下!
ユナ様はユナ様よ!

けど、アルフレッド殿下の笑顔はステージで微笑むユナ様と同じ。

「なら、俺と結婚してくれるよね?」

「はい。喜んで!」

紡がれる言葉に逆らう術は、ない。

驚いたお父様と、喜ぶ国王陛下、ニヤリと微笑むアルフレッド殿下。

あー……! その微笑みは、セカンドシングルのジャケットと丸々おんなじ……!

婚約の証にと手の甲に口付けをくれたアルフレッド殿下が意地悪そうに微笑むと、キャパオーバーしたわたくしは気を失った。
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