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18.公爵家の再生
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シルビアの作戦に、フィリップは青ざめながらも賛成した。
シルビアはすぐに魔法を改良し、リリアーナの家に行って事情を説明した。両親の反対を押し切り、リリアーナはロベルトとの結婚を望んだ。
そこでシルビアは、すぐにロベルトを城に呼び出した。
自信満々の顔をしたロベルトは、言われてもいないのに結婚式と婚約式しか着用しない特別な服を着用していた。精霊達の調査によると、ロベルトはガンツが死んだと思い込んでおり、シルビアの夫になるのは自分だと信じている。
両親の歪んだ言葉は、ミルフィーユのように積み重なり真ん中にある苦い真実を甘く包み込んでいる。少し考え調べれば分かる真実をロベルトは知ろうとしない。
薔薇の花束を持参してシルビアの容姿だけを褒め称えるロベルトは、自分が選ばれると信じて疑わない。
「私はおかしいと思ったのですよ! あのようなお触れ! やはりシルビア王女には高貴な者が相応しい! あのような平民はふさわしくない!」
なにをどう勘違いしたらこうなるんだ。シルビアとフィリップは冷めた目でロベルトを見つめている。
「はぁ……本当に良いのか? リリアーナ嬢」
ため息を吐いたフィリップの影から、ロベルトが手酷く捨てたリリアーナが現れた。
「ええ、わたくしもシルビア様のように生きるのです。好きな殿方を離すつもりはありませんわ」
「この醜態を見ても彼を見限らないとは。リリアーナ嬢は実に魅力的な女性だ。こんなのは捨てて、俺にしておかないか?」
「なっ」
「あら、魅力的なご提案ですわね。でも、わたくしはロベルト様が良いのです」
残念そうにため息を吐くリリアーナの両親は、王太子であるフィリップとの婚姻を勧めようとはしなかった。
「残念、振られてしまったよ」
芝居じみたフィリップとリリアーナのやりとりは美しい。
リリアーナが他の男性と結婚する。今まで考えもしなかった可能性に気が付いたロベルトは動揺した。
そんなロベルトを無視して、シルビアは父と話を進める。
「お父様、あとはよろしくお願いします」
「うむ、行ってこい。ロベルトに最後のチャンスを与えてやると良い」
シルビアの結界が、フィリップとリリアーナ、呆然としているロベルトを包む。
数分後、結界は解除された。
シルビアとフィリップ、リリアーナは平然としているが、ロベルトはガタガタと震えている。
リリアーナの両親は、震えるロベルトを不審そうに眺め、小声で呟いた。
「一体なにが……?」
「それは、秘密です。ねぇリリアーナ様」
「はい。ロベルト様に今回の件を問い質しただけです。おふたりはもちろん、わたくしも一切魔法を使っておりませんし、ロベルト様に触れてもおりません」
「見ての通り、彼の身体に傷などないだろう?」
涼しい顔で、フィリップが笑う。ロベルトはリリアーナの手を握り震えている。
「確かに……しかしなぜ急に……」
「私が! 自分の罪を自覚しただけです! 両親に唆され、王家に牙を向く行い! 誠に申し訳ございませんでしたっ!!!」
突如土下座するロベルトのマントを踏みつけ、リリアーナは優雅に笑う。
「ロベルト様。1週間前のお茶会は無かったことにして差し上げますわ」
「ありがとう……本当にありがとう……私にはリリアーナしかいない……私が愚かだった……君だけ……リリアーナだけだ……愛してる……どうか……どうか見捨てないでくれ……」
「ロベルト様を見捨てたりしませんわ。お父様、お母様。約束通りロベルト様を改心させました。結婚を許して下さい」
渋い顔をしていたリリアーナの両親は、娘の意思が固いと判断して結婚を認めた。ただひとつ、娘の身を案じてひとつの条件を付けた。
「恐れ多いと分かってはいるのですが娘が心配で…… 」
「分かっておる。約束は守る。これをリリアーナ嬢に」
国王が魔法印を押した書類を取り出す。王家がリリアーナの後ろ盾になると書かれている。
「ただし、我々が後ろ盾になるのはあくまでもリリアーナ嬢だけだ。条件もつけておるから確認するように」
「リリアーナ様が王家に背く行いをしない限り、わたくしは一生リリアーナ様を支援しますわ。彼女を傷つける者は、たとえ夫であろうと許しません。だから、ご安心なさって」
書類を渡しながらにっこり笑うシルビアの笑みは、一体誰に向けられたものだったのか。
ロベルトとリリアーナは王家の許可を得てすぐに婚姻届を提出した。
ロベルトの両親は結婚の知らせを聞いて抗議したが、息子に家督を譲った後だったのでなんの権限もなく、笑顔のフィリップに脅されて城を後にした。
その後、結婚式を終えたロベルトは心を入れ替え両親を隠居させ国に仕えている。リリアーナは女主人として屋敷と領地を切り盛りしている。以前よりもロベルトの家は豊かになった。
しっかり者の妻を愛しているロベルトは、妻の後ろ盾になった王女様に怯えながら生きていく。
シルビアはすぐに魔法を改良し、リリアーナの家に行って事情を説明した。両親の反対を押し切り、リリアーナはロベルトとの結婚を望んだ。
そこでシルビアは、すぐにロベルトを城に呼び出した。
自信満々の顔をしたロベルトは、言われてもいないのに結婚式と婚約式しか着用しない特別な服を着用していた。精霊達の調査によると、ロベルトはガンツが死んだと思い込んでおり、シルビアの夫になるのは自分だと信じている。
両親の歪んだ言葉は、ミルフィーユのように積み重なり真ん中にある苦い真実を甘く包み込んでいる。少し考え調べれば分かる真実をロベルトは知ろうとしない。
薔薇の花束を持参してシルビアの容姿だけを褒め称えるロベルトは、自分が選ばれると信じて疑わない。
「私はおかしいと思ったのですよ! あのようなお触れ! やはりシルビア王女には高貴な者が相応しい! あのような平民はふさわしくない!」
なにをどう勘違いしたらこうなるんだ。シルビアとフィリップは冷めた目でロベルトを見つめている。
「はぁ……本当に良いのか? リリアーナ嬢」
ため息を吐いたフィリップの影から、ロベルトが手酷く捨てたリリアーナが現れた。
「ええ、わたくしもシルビア様のように生きるのです。好きな殿方を離すつもりはありませんわ」
「この醜態を見ても彼を見限らないとは。リリアーナ嬢は実に魅力的な女性だ。こんなのは捨てて、俺にしておかないか?」
「なっ」
「あら、魅力的なご提案ですわね。でも、わたくしはロベルト様が良いのです」
残念そうにため息を吐くリリアーナの両親は、王太子であるフィリップとの婚姻を勧めようとはしなかった。
「残念、振られてしまったよ」
芝居じみたフィリップとリリアーナのやりとりは美しい。
リリアーナが他の男性と結婚する。今まで考えもしなかった可能性に気が付いたロベルトは動揺した。
そんなロベルトを無視して、シルビアは父と話を進める。
「お父様、あとはよろしくお願いします」
「うむ、行ってこい。ロベルトに最後のチャンスを与えてやると良い」
シルビアの結界が、フィリップとリリアーナ、呆然としているロベルトを包む。
数分後、結界は解除された。
シルビアとフィリップ、リリアーナは平然としているが、ロベルトはガタガタと震えている。
リリアーナの両親は、震えるロベルトを不審そうに眺め、小声で呟いた。
「一体なにが……?」
「それは、秘密です。ねぇリリアーナ様」
「はい。ロベルト様に今回の件を問い質しただけです。おふたりはもちろん、わたくしも一切魔法を使っておりませんし、ロベルト様に触れてもおりません」
「見ての通り、彼の身体に傷などないだろう?」
涼しい顔で、フィリップが笑う。ロベルトはリリアーナの手を握り震えている。
「確かに……しかしなぜ急に……」
「私が! 自分の罪を自覚しただけです! 両親に唆され、王家に牙を向く行い! 誠に申し訳ございませんでしたっ!!!」
突如土下座するロベルトのマントを踏みつけ、リリアーナは優雅に笑う。
「ロベルト様。1週間前のお茶会は無かったことにして差し上げますわ」
「ありがとう……本当にありがとう……私にはリリアーナしかいない……私が愚かだった……君だけ……リリアーナだけだ……愛してる……どうか……どうか見捨てないでくれ……」
「ロベルト様を見捨てたりしませんわ。お父様、お母様。約束通りロベルト様を改心させました。結婚を許して下さい」
渋い顔をしていたリリアーナの両親は、娘の意思が固いと判断して結婚を認めた。ただひとつ、娘の身を案じてひとつの条件を付けた。
「恐れ多いと分かってはいるのですが娘が心配で…… 」
「分かっておる。約束は守る。これをリリアーナ嬢に」
国王が魔法印を押した書類を取り出す。王家がリリアーナの後ろ盾になると書かれている。
「ただし、我々が後ろ盾になるのはあくまでもリリアーナ嬢だけだ。条件もつけておるから確認するように」
「リリアーナ様が王家に背く行いをしない限り、わたくしは一生リリアーナ様を支援しますわ。彼女を傷つける者は、たとえ夫であろうと許しません。だから、ご安心なさって」
書類を渡しながらにっこり笑うシルビアの笑みは、一体誰に向けられたものだったのか。
ロベルトとリリアーナは王家の許可を得てすぐに婚姻届を提出した。
ロベルトの両親は結婚の知らせを聞いて抗議したが、息子に家督を譲った後だったのでなんの権限もなく、笑顔のフィリップに脅されて城を後にした。
その後、結婚式を終えたロベルトは心を入れ替え両親を隠居させ国に仕えている。リリアーナは女主人として屋敷と領地を切り盛りしている。以前よりもロベルトの家は豊かになった。
しっかり者の妻を愛しているロベルトは、妻の後ろ盾になった王女様に怯えながら生きていく。
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