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9.再会
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お触れが出て数ヶ月が経過した。
シルビアに挑んだ者は15名。全員、シルビアに瞬殺された。
「なぁシルビア、やっぱりこの条件はあまりにも……」
涙目の父が今日もシルビアの部屋を訪ねてきた。
シルビアは毎日訓練、勉強、公務を行っている。国王である父も忙しい。だが、シルビアが戦った後はなんとか時間を作って娘の部屋を訪れるようになった。
「何を仰っておりますの。王族が一度言った事を違えるなんていけませんわ。民の信頼を損ねてしまいます。お父様はいつもそう仰っていたではありませんの」
涼しい顔で微笑むシルビアは、どこからどう見ても美しい王女だ。
「……そうだよな。分かった。私も腹を括ろう!」
このやり取りは、既に5回目。
「陛下、シルビア様とお茶を飲んでゆっくり話してはいかがですか?」
侍女のマリアが親子の時間を作ろうとするのも5回目だ。
「そうだな! よし! 30分だけならなんとかなるであろう!」
なんだかんだ、この国王は娘に甘いのだ。
「父上ばかりずるいですよ!」
兄のフィリップが乱入してくるのもいつものことだ。
時には冷酷な判断を下す国王と、敵には容赦しない王太子、そして父と兄を守る最強の王女。
国を支える王族一家の家族仲はとても良い。
民にとっては良いことで、一部の貴族にとっては面倒なことであった。
シルビアに挑んだ男達の中には、シルビアを取り込みたい貴族の思惑が絡んでいる者もいた。
だが、シルビアが大事な父と兄の調査により、全て潰されていた。
邪な気持ちでシルビアに手を出すと、王家の怒りを買う。
いつしか、シルビアに挑む男はいなくなった。
「これでお兄様やお父様と一緒にいられるわ」
兄や父が大好きなシルビアは、家族と離れたくないだけであった。
それが分かっているから、父は娘に強く出られない。
父は既に、娘の結婚を諦めていた。
だが、兄は違った。仕事の合間に、兄は部下に命令を下す。
「Sランク冒険者が国に入ってきたら、必ず俺に報告しろ」
仕事を全て把握するのは、国の為と民の為と、可愛い妹の為。
シルビアが結婚を拒む本当の理由を、兄だけは理解していた。シルビア自身も気付いていない小さな恋心は、今もシルビアの中にそっと仕舞われている。
兄は、妹の幸せを願っている。
求婚者が現れなくなって半年。
穏やかに日常を過ごすシルビアの前に、兄が現れた。
「シルビア、求婚者だ。今すぐ試合をしてもらえるか?」
「え?! もういないと思っておりましたのに!」
「安心しろ、俺の見立てでは……彼はシルビアより弱い。身辺調査は済んでいる。冒険者だが、素行や稼ぎに問題はない。父上の調査もクリアした」
「分かりました。すぐ終わらせますわ」
シルビアが部屋を出る瞬間、フィリップがにっこり笑って呟いた。
「すぐには、終わらないだろうがな」
シルビアが試合会場に行くと、満員の観客がシルビアを歓迎した。
シルビアの試合はいつも大人気だ。
以前は賭けも行われていたが、今は行われない。
なぜなら、誰も求婚者の勝利に賭けなくなったからだ。
「シルビア様! 今日も素敵です!」
シルビアは歓声に笑顔で応じ、対戦相手を待つ。現れたのは、身体の大きな冒険者の男だった。
「なぁ、アンタはオレより強いのか?」
聞き覚えのある声。少し大人びたけど見覚えのある顔。
ニヤリと笑う笑みも以前と同じ。
いつものように、すぐに試合開始の笛が鳴った。
大きな剣を真っ直ぐぶつける男は、以前シルビアを助けてくれた冒険者の男だった。
シルビアに挑んだ者は15名。全員、シルビアに瞬殺された。
「なぁシルビア、やっぱりこの条件はあまりにも……」
涙目の父が今日もシルビアの部屋を訪ねてきた。
シルビアは毎日訓練、勉強、公務を行っている。国王である父も忙しい。だが、シルビアが戦った後はなんとか時間を作って娘の部屋を訪れるようになった。
「何を仰っておりますの。王族が一度言った事を違えるなんていけませんわ。民の信頼を損ねてしまいます。お父様はいつもそう仰っていたではありませんの」
涼しい顔で微笑むシルビアは、どこからどう見ても美しい王女だ。
「……そうだよな。分かった。私も腹を括ろう!」
このやり取りは、既に5回目。
「陛下、シルビア様とお茶を飲んでゆっくり話してはいかがですか?」
侍女のマリアが親子の時間を作ろうとするのも5回目だ。
「そうだな! よし! 30分だけならなんとかなるであろう!」
なんだかんだ、この国王は娘に甘いのだ。
「父上ばかりずるいですよ!」
兄のフィリップが乱入してくるのもいつものことだ。
時には冷酷な判断を下す国王と、敵には容赦しない王太子、そして父と兄を守る最強の王女。
国を支える王族一家の家族仲はとても良い。
民にとっては良いことで、一部の貴族にとっては面倒なことであった。
シルビアに挑んだ男達の中には、シルビアを取り込みたい貴族の思惑が絡んでいる者もいた。
だが、シルビアが大事な父と兄の調査により、全て潰されていた。
邪な気持ちでシルビアに手を出すと、王家の怒りを買う。
いつしか、シルビアに挑む男はいなくなった。
「これでお兄様やお父様と一緒にいられるわ」
兄や父が大好きなシルビアは、家族と離れたくないだけであった。
それが分かっているから、父は娘に強く出られない。
父は既に、娘の結婚を諦めていた。
だが、兄は違った。仕事の合間に、兄は部下に命令を下す。
「Sランク冒険者が国に入ってきたら、必ず俺に報告しろ」
仕事を全て把握するのは、国の為と民の為と、可愛い妹の為。
シルビアが結婚を拒む本当の理由を、兄だけは理解していた。シルビア自身も気付いていない小さな恋心は、今もシルビアの中にそっと仕舞われている。
兄は、妹の幸せを願っている。
求婚者が現れなくなって半年。
穏やかに日常を過ごすシルビアの前に、兄が現れた。
「シルビア、求婚者だ。今すぐ試合をしてもらえるか?」
「え?! もういないと思っておりましたのに!」
「安心しろ、俺の見立てでは……彼はシルビアより弱い。身辺調査は済んでいる。冒険者だが、素行や稼ぎに問題はない。父上の調査もクリアした」
「分かりました。すぐ終わらせますわ」
シルビアが部屋を出る瞬間、フィリップがにっこり笑って呟いた。
「すぐには、終わらないだろうがな」
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シルビアの試合はいつも大人気だ。
以前は賭けも行われていたが、今は行われない。
なぜなら、誰も求婚者の勝利に賭けなくなったからだ。
「シルビア様! 今日も素敵です!」
シルビアは歓声に笑顔で応じ、対戦相手を待つ。現れたのは、身体の大きな冒険者の男だった。
「なぁ、アンタはオレより強いのか?」
聞き覚えのある声。少し大人びたけど見覚えのある顔。
ニヤリと笑う笑みも以前と同じ。
いつものように、すぐに試合開始の笛が鳴った。
大きな剣を真っ直ぐぶつける男は、以前シルビアを助けてくれた冒険者の男だった。
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