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今日も餌付けする【後日談】
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「ソフィ!」
「……ん?」
「はい、コレ」
条件反射で口を開ける。なんて美味しいクッキーなの!
「美味しい! ありがとうジャック!」
「……それは、僕のお土産だよね? なら僕も、ハイ、ソフィ、あーん」
「エドガー様、さすがにそれはちょっと……」
「……今すぐ帰れ、社長」
「僕だって、可愛い奥さんが欲しいんだよ」
「……どの口が言いやがる。社長ならよりどりみどりじゃねーかよ!」
「やっぱりエドガー様ってモテるのね」
「そうなんだよ! ソフィ、僕に乗り換えない?」
「ジャックが良いです」
「僕なら、世界中の美味しいお菓子をすぐ用意するよ?」
「……ジャックが良いです」
「今の間は、僕にもチャンスがあるって事かな?」
「ないです! さすがに妹の元旦那様はないです! しかも、私を捨てたのはエドガー様でしょ? 妹も捨てたの? 子どもはどうなったのよ!」
「ああ、アレ擬装妊娠だったよ。その後色々あってねぇ、僕は家を追い出されたのさ」
「……やっぱり嘘だったんだ。って、エドガー様追い出すって、エドガー様の方が立場上なのに?!」
「そうそう、酷いよねぇ。だから慰めてソフィ。はい、美味しいお菓子だよ?」
「……社長マジで帰れ。オレの奥さんに手ェだすな。ところで、偽装妊娠ってなんだよ?」
「あれ? ソフィはジャックに言わなかったの?」
「……あ、色々あって結婚なくなって妹が継ぐとしか言ってなかったかも。その後すぐ逃げるのに必死だったし」
「じゃあ、僕とソフィだけの秘密だね」
「……長くなるから後でジャックに全て説明するわ」
「なんだよぉ、僕との秘密にしようよ。あんなに愛しあった元婚約者じゃないか!」
「……ソフィ……?」
「紛らわしい事言わないで下さい! 貴方が愛しあったのは妹でしょう? わたくしとはお茶会を数回しただけではありませんか」
思わず、昔の言葉遣いで冷たく言い放つ。ジャックに誤解されたら敵わないわ。
「もういい加減に帰れ!」
あぁ、ジャックが怒ってる。困ったわ、えっと……そうだ。このクッキー美味しかったから、ジャックも食べたら元気になるわ!
「ジャック、あーん」
「……?!」
「ジャック……?」
「あ、、、あーん」
「美味しい?」
「……おう」
「甘いねぇ君達は。ま、僕に殴り込みかけて結婚止めさせたんだから、幸せじゃないと許さないからちょーど良いけどね。あーあ、僕に幸せはいつ来るのかなぁ?」
「……なぐりこみ?」
「っておい! 余計なこと言うな!」
「ジャックはねぇ、僕に言ったんだよ」
「やめろぉ!!!」
「ミリィとの、結婚を辞めろ。アイツはオレが幸せにするってね。それもあってエリザベスに乗り換えちゃったんだよねぇ」
ジャックの顔が、見た事ないくらい赤い。エドガー様は侯爵家だから、孤児のジャックがそんな事したらかなりまずい。
でも、嬉しい。多分私の顔も真っ赤だ。
「……私もジャックが好きだから結婚できて良かったわ。でもその、ジャックはそんな事言って大丈夫だったの?」
「5年働かされた」
「え?」
「僕にそこまで啖呵きるなら、自分の価値を示せって言ったまでだよ。いやぁ、良い拾い物をしたね。でもあんまり優秀だから手放しがたくてねぇ。ソフィとこれ以上引き離したら僕が危険だから、だったらこっちに拠点作ればいいと思って。ソフィのドレスもあったしね」
「……んで、オレはまんまと引っかかってしまった訳ですね」
「良いじゃないか! 僕のおかげで美味しいお菓子がいっぱい食べられるよ? ねぇソフィ?」
「確かにお菓子は美味しいですけど、ジャックの方が好きです」
「良いねえ、言われてみたいなぁそのセリフ。ああ、ソフィは打ち合わせで直帰だろ? ジャックも上がっていいよ」
「……ほんっと、人を使うのが上手いですよね、ご主人様は!」
「もう少ししたら、一週間くらいジャックは出張だからね。今のうちに存分に甘えると良いよソフィ」
「ありがとうございます!」
「それから、ハイこれ。ジャックに頼まれてた物だよ」
「タイミングも最高ですねっ!」
「どう? 一生僕の下で働きたくなるだろ?」
「ソフィと一緒にいれて、稼げるなら考えますよ」
「僕みたいないい上司、居ないと思うけどねぇ」
「……そっすね、今は忠誠を誓いますよ。ご主人様」
その夜、ジャックは東の国にあるワガシというとっても綺麗なお菓子を食べさせてくれた。美味しくて、初めて食べる味でとっても幸せだったから、ジャックにも食べさせてあげたら、真っ赤な顔をしていた。
「……ん?」
「はい、コレ」
条件反射で口を開ける。なんて美味しいクッキーなの!
「美味しい! ありがとうジャック!」
「……それは、僕のお土産だよね? なら僕も、ハイ、ソフィ、あーん」
「エドガー様、さすがにそれはちょっと……」
「……今すぐ帰れ、社長」
「僕だって、可愛い奥さんが欲しいんだよ」
「……どの口が言いやがる。社長ならよりどりみどりじゃねーかよ!」
「やっぱりエドガー様ってモテるのね」
「そうなんだよ! ソフィ、僕に乗り換えない?」
「ジャックが良いです」
「僕なら、世界中の美味しいお菓子をすぐ用意するよ?」
「……ジャックが良いです」
「今の間は、僕にもチャンスがあるって事かな?」
「ないです! さすがに妹の元旦那様はないです! しかも、私を捨てたのはエドガー様でしょ? 妹も捨てたの? 子どもはどうなったのよ!」
「ああ、アレ擬装妊娠だったよ。その後色々あってねぇ、僕は家を追い出されたのさ」
「……やっぱり嘘だったんだ。って、エドガー様追い出すって、エドガー様の方が立場上なのに?!」
「そうそう、酷いよねぇ。だから慰めてソフィ。はい、美味しいお菓子だよ?」
「……社長マジで帰れ。オレの奥さんに手ェだすな。ところで、偽装妊娠ってなんだよ?」
「あれ? ソフィはジャックに言わなかったの?」
「……あ、色々あって結婚なくなって妹が継ぐとしか言ってなかったかも。その後すぐ逃げるのに必死だったし」
「じゃあ、僕とソフィだけの秘密だね」
「……長くなるから後でジャックに全て説明するわ」
「なんだよぉ、僕との秘密にしようよ。あんなに愛しあった元婚約者じゃないか!」
「……ソフィ……?」
「紛らわしい事言わないで下さい! 貴方が愛しあったのは妹でしょう? わたくしとはお茶会を数回しただけではありませんか」
思わず、昔の言葉遣いで冷たく言い放つ。ジャックに誤解されたら敵わないわ。
「もういい加減に帰れ!」
あぁ、ジャックが怒ってる。困ったわ、えっと……そうだ。このクッキー美味しかったから、ジャックも食べたら元気になるわ!
「ジャック、あーん」
「……?!」
「ジャック……?」
「あ、、、あーん」
「美味しい?」
「……おう」
「甘いねぇ君達は。ま、僕に殴り込みかけて結婚止めさせたんだから、幸せじゃないと許さないからちょーど良いけどね。あーあ、僕に幸せはいつ来るのかなぁ?」
「……なぐりこみ?」
「っておい! 余計なこと言うな!」
「ジャックはねぇ、僕に言ったんだよ」
「やめろぉ!!!」
「ミリィとの、結婚を辞めろ。アイツはオレが幸せにするってね。それもあってエリザベスに乗り換えちゃったんだよねぇ」
ジャックの顔が、見た事ないくらい赤い。エドガー様は侯爵家だから、孤児のジャックがそんな事したらかなりまずい。
でも、嬉しい。多分私の顔も真っ赤だ。
「……私もジャックが好きだから結婚できて良かったわ。でもその、ジャックはそんな事言って大丈夫だったの?」
「5年働かされた」
「え?」
「僕にそこまで啖呵きるなら、自分の価値を示せって言ったまでだよ。いやぁ、良い拾い物をしたね。でもあんまり優秀だから手放しがたくてねぇ。ソフィとこれ以上引き離したら僕が危険だから、だったらこっちに拠点作ればいいと思って。ソフィのドレスもあったしね」
「……んで、オレはまんまと引っかかってしまった訳ですね」
「良いじゃないか! 僕のおかげで美味しいお菓子がいっぱい食べられるよ? ねぇソフィ?」
「確かにお菓子は美味しいですけど、ジャックの方が好きです」
「良いねえ、言われてみたいなぁそのセリフ。ああ、ソフィは打ち合わせで直帰だろ? ジャックも上がっていいよ」
「……ほんっと、人を使うのが上手いですよね、ご主人様は!」
「もう少ししたら、一週間くらいジャックは出張だからね。今のうちに存分に甘えると良いよソフィ」
「ありがとうございます!」
「それから、ハイこれ。ジャックに頼まれてた物だよ」
「タイミングも最高ですねっ!」
「どう? 一生僕の下で働きたくなるだろ?」
「ソフィと一緒にいれて、稼げるなら考えますよ」
「僕みたいないい上司、居ないと思うけどねぇ」
「……そっすね、今は忠誠を誓いますよ。ご主人様」
その夜、ジャックは東の国にあるワガシというとっても綺麗なお菓子を食べさせてくれた。美味しくて、初めて食べる味でとっても幸せだったから、ジャックにも食べさせてあげたら、真っ赤な顔をしていた。
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