気弱ドワーフと転生エルフの産業革命

第二章

2.緊急事態です

その日は、穏やかな春の日差しが家のリビングに降り注いでいた。

冒険中の皆さんに朝ごはんとお弁当をマジッククローゼットに届けて、夕ご飯にリクエストされたアイスクリームの仕込みをして、今日の仕事である家の修繕をしようと思っていたら……。

「マイス！　どうしよう！」

泣いているレナさんから通信が入った。

「どうしました？！」

「アオイが死んじゃう！」

「え……？！」

アオイさんが死んじゃう？！　なんで？！
さっき朝ごはん届けた時、通信したら元気だったよね？

こんな短時間に何があったの？！

「朝ごはん、食べてたら……魔物に襲われて……マイスの魔道具のおかげで一発は耐えれたんだけど……2匹同時にアオイを襲ってきて……」

魔物に……やられたって事？

泣いてるカナさんからなんとか情報を聞き出す。空から飛んでくる魔物にやられたらしい。突然だったからカナさんもレナさんもアオイさんを守れなかったと言っていた。既に魔物は倒したそうだが、アオイさんの怪我が酷く、意識が無いそうだ。

目の前が真っ暗になった。アオイさんはエルフだし長生きだから、僕より先に死んじゃうなんて思わなかった。まだ……いっぱいやりたい事あるのに……。

落ち着け、まだ、アオイさんは生きてる。

僕に出来る事が、あるはずだ。

「落ち着いてください。僕が、出来る事はありますか？」

僕まで取り乱したら、レナさんはパニックになる。大丈夫、僕に通信してきたって事は、僕に何か頼みたい事がある筈だ。恐らく、ポーションか、治癒魔法の使い手を呼べばアオイさんは助かる。

「……ぐす……ごめん……今……カナが止血をしてる。手持ちのポーションは、もうないの。お願い、冒険者ギルドに行って、ポーションを買ってきて……」

「すぐに買ってきます！　どの程度の怪我ですか？　既に使ったポーションは何ですか？」

ポーションは、上級、中級、低級がある。だけど、アオイさんの回復魔法があるから、あまりポーションは持っていない。上級は、金貨10枚もするから高価だしね。

「いつもは、アオイの魔法があるから低級ポーションを少ししか持ってないの。念のため用意してた中級ポーションはもう使った。けど、まだ血が止まらないの……」

「分かりました。上級ポーションを購入してきます。いくついりますか？」

「上級は、1本で瀕死の重傷を治すから1本で良いよ」

「了解です。すぐ買ってきます！」

僕は財布を持って、急いで冒険者ギルドに転移した。