36 / 74
第一章
【ミクタ】終わりだ
しおりを挟む
「ふざけんじゃねえ! 明日の午前中までに新商品なんて出来るわけねえだろ!」
まずい、まずい、まずい……。
除名は勘弁だと職人は全員集まった。だが、明日の午前までに新商品を作れと言った途端に、全員がキレだした。
マイスを隠してる奴も、これだけ騒げばマイスを連れてくると思っていた。
「おい! お前らマイスを隠してたら怒らねぇから今すぐ連れてこい!」
そう、何度も言った。
だが、誰もマイスの行方を知らないと言う。
遂には、マイスを匿ってるのは俺じゃねぇかと疑われた。そんな訳あるか! 今一番マイスが居なくて困ってんのは俺だよ!
そう叫んで、全員に新商品の開発を命じた。
そしたら、この状態だ。
新商品なんて、簡単に出来るかとみんながキレた。
どうしてだ、マイスなんてメシを奢ってる間に少なくともひとつ、多ければ3つは新商品を思いつくんだぞ。試作品だって徹夜させりゃ作れるし。こんだけ職人が居りゃあ、新商品のひとつくらいすぐに出来るだろ。
そう、俺は言った。
そしたら、キレた職人が暴れ出した。
「ふざけんな! 新商品なんてそんなポンポン出来るかよ! 普通は開発期間は1ヶ月は要るだろ」
「いや、1ヶ月じゃ少ねえ!」
「そうだそうだ!」
「明日までなんて無茶苦茶だ!」
全員めちゃくちゃ怒ってる。なんでだ。そんなに新商品は大変か?
「大体、マイスが居なくなったのはギルド長のせいじゃねぇのか!」
「そうだ! いつまでも見習いで、マイスもいい加減に嫌になっちまったんだ!」
「そうだよ! あんなに出来るやつ見習いのままで使い潰そうとしたから、逃げちまったんだ!」
どいつもこいつも勝手な事ばかり言いやがって。お前らだって笑いながらマイスを使ってただろ?! 手の平を返すんじゃねぇよ!
「そんなに言うなら、ギルド長が新商品作れよ!」
「そうだそうだ!」
……やべえ、俺も新商品なんて作った記憶がねぇ。だが、ここはギルド長の威厳を出さないと……。
「分かった、俺がやるからお前ら手伝え」
全員で徹夜して作った新商品だ! これなら領主様も気に入ってくれるはず……!
「なんだこれは?」
「……え? 新商品でございます」
領主様は、眉間に皺を寄せたまま言った。
「ふむ、今回は調子が悪かったのか。まぁ、仕方ない。次回の新商品に期待しているよ」
そう言って、領主様は帰って行った。次は2ヶ月後に来るそうだ。
「2ヶ月……お前らなんとか新商品を作れ」
「またかよ! なんでそんなに新商品がいるんだ!」
「新商品を作る事で、税を免除してもらってんだよ! だから、必ず作れ!」
焦っていた俺は、思わず叫んでしまった。
「はぁ?! 俺たちはちゃんと税金を払ってるだろ?! ギルド長がまとめて納税するって持って行ってるだろ! まさか……税を減免されたのに俺たちに返金してねえのかよ!!!」
そうだった。税金は、みんなから集めていた。すっかり自分の小遣いの気分でいたが、ありゃあ、手をつけちゃいけねぇ金だったんだ。
その日から、俺をギルド長と呼ぶ奴は居なくなった。
まずい、まずい、まずい……。
除名は勘弁だと職人は全員集まった。だが、明日の午前までに新商品を作れと言った途端に、全員がキレだした。
マイスを隠してる奴も、これだけ騒げばマイスを連れてくると思っていた。
「おい! お前らマイスを隠してたら怒らねぇから今すぐ連れてこい!」
そう、何度も言った。
だが、誰もマイスの行方を知らないと言う。
遂には、マイスを匿ってるのは俺じゃねぇかと疑われた。そんな訳あるか! 今一番マイスが居なくて困ってんのは俺だよ!
そう叫んで、全員に新商品の開発を命じた。
そしたら、この状態だ。
新商品なんて、簡単に出来るかとみんながキレた。
どうしてだ、マイスなんてメシを奢ってる間に少なくともひとつ、多ければ3つは新商品を思いつくんだぞ。試作品だって徹夜させりゃ作れるし。こんだけ職人が居りゃあ、新商品のひとつくらいすぐに出来るだろ。
そう、俺は言った。
そしたら、キレた職人が暴れ出した。
「ふざけんな! 新商品なんてそんなポンポン出来るかよ! 普通は開発期間は1ヶ月は要るだろ」
「いや、1ヶ月じゃ少ねえ!」
「そうだそうだ!」
「明日までなんて無茶苦茶だ!」
全員めちゃくちゃ怒ってる。なんでだ。そんなに新商品は大変か?
「大体、マイスが居なくなったのはギルド長のせいじゃねぇのか!」
「そうだ! いつまでも見習いで、マイスもいい加減に嫌になっちまったんだ!」
「そうだよ! あんなに出来るやつ見習いのままで使い潰そうとしたから、逃げちまったんだ!」
どいつもこいつも勝手な事ばかり言いやがって。お前らだって笑いながらマイスを使ってただろ?! 手の平を返すんじゃねぇよ!
「そんなに言うなら、ギルド長が新商品作れよ!」
「そうだそうだ!」
……やべえ、俺も新商品なんて作った記憶がねぇ。だが、ここはギルド長の威厳を出さないと……。
「分かった、俺がやるからお前ら手伝え」
全員で徹夜して作った新商品だ! これなら領主様も気に入ってくれるはず……!
「なんだこれは?」
「……え? 新商品でございます」
領主様は、眉間に皺を寄せたまま言った。
「ふむ、今回は調子が悪かったのか。まぁ、仕方ない。次回の新商品に期待しているよ」
そう言って、領主様は帰って行った。次は2ヶ月後に来るそうだ。
「2ヶ月……お前らなんとか新商品を作れ」
「またかよ! なんでそんなに新商品がいるんだ!」
「新商品を作る事で、税を免除してもらってんだよ! だから、必ず作れ!」
焦っていた俺は、思わず叫んでしまった。
「はぁ?! 俺たちはちゃんと税金を払ってるだろ?! ギルド長がまとめて納税するって持って行ってるだろ! まさか……税を減免されたのに俺たちに返金してねえのかよ!!!」
そうだった。税金は、みんなから集めていた。すっかり自分の小遣いの気分でいたが、ありゃあ、手をつけちゃいけねぇ金だったんだ。
その日から、俺をギルド長と呼ぶ奴は居なくなった。
0
お気に入りに追加
312
あなたにおすすめの小説
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
私は逃げます
恵葉
恋愛
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。
そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。
貴族のあれやこれやなんて、構っていられません!
今度こそ好きなように生きます!
悪妃の愛娘
りーさん
恋愛
私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。
その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。
そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!
いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!
こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。
あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!
【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
彼女が望むなら
mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。
リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。
受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
haruhi8128
ファンタジー
受験を間近に控えた高3の正月。
過労により死んでしまった。
ところがある神様の手伝いがてら異世界に転生することに!?
とある商人のもとに生まれ変わったライヤは受験生時代に培った勉強法と、粘り強さを武器に王国でも屈指の人物へと成長する。
前世からの夢であった教師となるという夢を叶えたライヤだったが、周りは貴族出身のエリートばかりで平民であるライヤは煙たがられる。
そんな中、学生時代に築いた唯一のつながり、王国第一王女アンに振り回される日々を送る。
貴族出身のエリートしかいないS級の教師に命じられ、その中に第3王女もいたのだが生徒には舐められるばかり。
平民で、特別な才能もないライヤに彼らの教師が務まるのか……!?
努力型主人公を書いて見たくて挑戦してみました!
前作の「戦力より戦略。」よりは文章も見やすく、内容も統一できているのかなと感じます。
是非今後の励みにしたいのでお気に入り登録や感想もお願いします!
話ごとのちょっとしたものでも構いませんので!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる