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番外編【ミーシャ視点2】
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「あいつらの唯一はマチルダとマリアだ。ミーシャがあいつらの一番になる事は未来永劫ありえない。だが、俺は違う。俺はミーシャが好きだ。できるなら、俺の唯一になって欲しいと思っている。マリアに甘えながら好きな男と会わせないようにする強かさも、貪欲に知識を求める姿勢も、今のように怒った顔も美しいと思う。最初はミーシャに似合う男を探そうと思ったんだがな。他の男に紹介するのが惜しくなった。俺にしておかないか? 俺と結婚すれば王族のままだ。悪い話ではなかろう」
「は、はぁ?! 何言ってるの?! わたくしは徳のない……」
「徳なんて下らん。どれだけ徳が高かろうがマリアやマチルダに興味はない。俺は臆病なくせに必死で幸せを求めるミーシャが好きになった。だから、ミーシャが良い。俺と結婚してくれ。自分で言うのもなんだが俺は結構良い男だと思うぞ」
「……」
「真っ赤な顔で黙るくらいだから俺の事が嫌いではないのだろう? 時間はたっぷりある。人を羨むのではなく、自分を見つめてみろよ。ミーシャは美しい最高の女性だよ。俺が保証する」
「……わたくしは……徳がなくて……」
「ははっ、ミーシャは俺が徳がある立派な男に見えるか? ガルシアやロバートと違って、腹の立ついい加減で徳のない男に見えてるんじゃないか?」
「……確かに、貴方は徳がなさそう」
「だが、俺は幸せに生きているぞ。徳があると言ったマリアは、夫との仲を邪魔されて未だに夫婦生活を送れていない。徳があれば、そんな事にならないんじゃないか?」
「……それは、わたくしが邪魔したから……」
「徳があれば、そんな邪魔すらはねのけるのではないのか? だいたい、徳ってなんだよ。何度でも言うぞ。そんなモンに振り回される暇があったら本の一冊でも読め」
「ぷっ……あははっ……そう……そうよね……!」
「ミーシャの今までの人生を否定する気はない。だが、新たな世界も悪くないぞ。俺はミーシャを大事にする。ガルシアやロバートより、俺の方がミーシャを幸せにできる。ミーシャは本が好きだろう? 俺と結婚したら王宮の図書館に入り放題だぞ」
「何よそれ! 本で釣る気?」
「むぅ。贈り物をするのは当たり前だし、ミーシャは本が好きそうだと思ったのだが……間違っていたか?」
「確かに本は好きだけど! ここに来てから検閲もないし好きに読めてすごく幸せだけど!」
「なら、俺と結婚しようぜ。もっとたくさんの本を読めるぞ。こことは比べ物にならないくらいたくさん本があるぞ!」
ガルシア様やロバート様と違って、偉そうで口も悪くて……いい加減そうな男。それなのにどうしてこんなに胸がときめくのかしら。
「確かにクリスはいい男だものね。分かったわ。考えておく」
「よっし! やっと名を呼んでくれたな! ありがとう、いい返事を待ってる!」
考えておくと言っただけなのに。名前を呼んだだけなのに。
ニカっと笑う男がガルシア様よりもロバート様よりも素敵に見えた。
「は、はぁ?! 何言ってるの?! わたくしは徳のない……」
「徳なんて下らん。どれだけ徳が高かろうがマリアやマチルダに興味はない。俺は臆病なくせに必死で幸せを求めるミーシャが好きになった。だから、ミーシャが良い。俺と結婚してくれ。自分で言うのもなんだが俺は結構良い男だと思うぞ」
「……」
「真っ赤な顔で黙るくらいだから俺の事が嫌いではないのだろう? 時間はたっぷりある。人を羨むのではなく、自分を見つめてみろよ。ミーシャは美しい最高の女性だよ。俺が保証する」
「……わたくしは……徳がなくて……」
「ははっ、ミーシャは俺が徳がある立派な男に見えるか? ガルシアやロバートと違って、腹の立ついい加減で徳のない男に見えてるんじゃないか?」
「……確かに、貴方は徳がなさそう」
「だが、俺は幸せに生きているぞ。徳があると言ったマリアは、夫との仲を邪魔されて未だに夫婦生活を送れていない。徳があれば、そんな事にならないんじゃないか?」
「……それは、わたくしが邪魔したから……」
「徳があれば、そんな邪魔すらはねのけるのではないのか? だいたい、徳ってなんだよ。何度でも言うぞ。そんなモンに振り回される暇があったら本の一冊でも読め」
「ぷっ……あははっ……そう……そうよね……!」
「ミーシャの今までの人生を否定する気はない。だが、新たな世界も悪くないぞ。俺はミーシャを大事にする。ガルシアやロバートより、俺の方がミーシャを幸せにできる。ミーシャは本が好きだろう? 俺と結婚したら王宮の図書館に入り放題だぞ」
「何よそれ! 本で釣る気?」
「むぅ。贈り物をするのは当たり前だし、ミーシャは本が好きそうだと思ったのだが……間違っていたか?」
「確かに本は好きだけど! ここに来てから検閲もないし好きに読めてすごく幸せだけど!」
「なら、俺と結婚しようぜ。もっとたくさんの本を読めるぞ。こことは比べ物にならないくらいたくさん本があるぞ!」
ガルシア様やロバート様と違って、偉そうで口も悪くて……いい加減そうな男。それなのにどうしてこんなに胸がときめくのかしら。
「確かにクリスはいい男だものね。分かったわ。考えておく」
「よっし! やっと名を呼んでくれたな! ありがとう、いい返事を待ってる!」
考えておくと言っただけなのに。名前を呼んだだけなのに。
ニカっと笑う男がガルシア様よりもロバート様よりも素敵に見えた。
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ななしさん、リクエストありがとうございます♪
旦那ってロバートですかね?
ロバートならミーシャの気持ちには気が付いてなかったし、保護した王女に困った事はないかと聞くくらいでほとんど話してません。
ロバートの対応は、貴族として当たり前の礼儀正しい対応にすぎません。
それでも男性に免疫のない王女様を惚れさせるには充分だったようですね。ミーシャは大人の女性の駆け引きなんて知らない子なので、マリアに甘えて見たくないもの(仲良く話すロバートとマリア)を見ないようにしてた感じです。
ガルシアは誰にでも優しいですけど、分かりやすくマチルダを溺愛してます。
ロバートは浮気しませんねー。以前は自分に向けられた好意に気付かずスルーしちゃう人でしたが、今は妻を誤解させたくないとハッキリ拒絶する人になりました。
ロバートの性格が分かりにくい表現があったみたいで申し訳ないです😅
ぱらさん、番外編も読んで頂きありがとうございます♪
確かにミーシャチョロいかもですね😆
まあなんと言うか、あんまり男性に免疫ないもので😅
徳は積み重ねていくもの、素敵なお言葉ありがとうございます😊
きっとこれからは、ゆっくり愛情を積み重ねていくのでしょう。
にゃおんさん、最後まで読んでいただきありがとうございます♪
家族が増えるかはまだ未定ですが、仲良く過ごすと思います。お母さん、強いですよねー。
お父さんはすっかり尻に敷かれています😆
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素敵なお話と言って頂けてとても嬉しいです。また他の話を書きますのでよろしくお願いします🙇♀️