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9.慕われている辺境伯
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「あらー、これが噂の奥方様かい?」
「む、う、うむ。女将、何か困っている事はないか?」
「もう、かっこつけちゃって! 困ってることなんてないよ。領主様にはいつも感謝してますよ。奥方様、どうか領主様をよろしくお願いしますね。あたしゃ領主様がこーんなちっちゃい時から知ってんだけど、この人は昔から堅物でねぇ。鍛錬や勉強ばっかりしてたら女性の扱いが下手くそになっちまったみたいで。なかなか結婚できなくてみんな心配してたんだよ」
「おかげでわたくしはロバート様と結婚できましたわ」
「あらぁ、話が分かる奥様だねぇ! あのね、本当に領主様は強くて優しい、良い人なんだよ。領主様のおかげで、こんな辺境でもあたしらは平和に暮らせてるんだ」
「そうなのですね。やっぱりロバート様は凄いですわ。あ、あの、女将さん……よろしければロバート様の昔話を聞かせて頂けませんか?」
「もちろん良いよ!」
「や、あの……女将……頼むからやめてくれ……」
「あっはっは、領主様に頼まれちゃ仕方ないねぇ。奥方様、領主様が許して下さったら存分に話してあげるよ。今日は勘弁してやっておくれ」
「……残念ですが、分かりました。本当に残念ですが……いつか、聞かせて下さいまし」
「ま、マリア……そんな目で見ないでくれ……」
「あっはっは。奥方様とお話しできる日はすぐみたいだねぇ。本当に良い方が来て下さって良かったですね。領主様」
「う、うむ」
いま、ロバート様はなんと言いました?!
わたくしが来て良かったと……言いましたわよね?!
指南書では、褒められても自惚れず自分を律するようにと書かれていたけど……、ええい! 今日はあの本の事は忘れるのよ!
エイダの言う通り、いつまたロバート様と離れ離れになるか分からない。今気持ちを伝えなければ、きっと後悔するわ。
……それに、そろそろ夫婦としてきちんとロバート様と話をしたい。今日は絶好のチャンスよ!
もっと、ロバート様と向き合わなくちゃ。
「ロバート様はお優しくて、とっても素敵です。ロバート様と結婚できて本当に幸せですわ」
「いい奥様だねぇ。是非また来ておくれ」
領地で1件しかない宿屋の女将さんは、涙目でロバート様を褒めちぎっていた。
「あ、領主様! トマトが出来たの! あげる!」
出会った少年は、実ったばかりの野菜を渡してくれた。
「領主様のおかげで、また商人が来るようになったんですよ」
「これ、奥方様にどうですか」
市場の人々が、口々にロバート様にお礼を言う。中にはちゃっかり売り込みをする人もいるけど、ロバート様はニコニコと対応している。
みんな、ロバート様を慕っている。もう、本当に……うちの旦那様、最高!
「ロバート様は領民に慕われているんですね」
「あ、いやその、はい、おかげさまで……」
照れていらっしゃるわ。ああもう、照れるお顔も可愛らしくて素敵だわ。
そうだ、これだけは言わないと。
「わたくし、とっても幸せです。ロバート様、愛してますわ!」
「む、う、うむ。女将、何か困っている事はないか?」
「もう、かっこつけちゃって! 困ってることなんてないよ。領主様にはいつも感謝してますよ。奥方様、どうか領主様をよろしくお願いしますね。あたしゃ領主様がこーんなちっちゃい時から知ってんだけど、この人は昔から堅物でねぇ。鍛錬や勉強ばっかりしてたら女性の扱いが下手くそになっちまったみたいで。なかなか結婚できなくてみんな心配してたんだよ」
「おかげでわたくしはロバート様と結婚できましたわ」
「あらぁ、話が分かる奥様だねぇ! あのね、本当に領主様は強くて優しい、良い人なんだよ。領主様のおかげで、こんな辺境でもあたしらは平和に暮らせてるんだ」
「そうなのですね。やっぱりロバート様は凄いですわ。あ、あの、女将さん……よろしければロバート様の昔話を聞かせて頂けませんか?」
「もちろん良いよ!」
「や、あの……女将……頼むからやめてくれ……」
「あっはっは、領主様に頼まれちゃ仕方ないねぇ。奥方様、領主様が許して下さったら存分に話してあげるよ。今日は勘弁してやっておくれ」
「……残念ですが、分かりました。本当に残念ですが……いつか、聞かせて下さいまし」
「ま、マリア……そんな目で見ないでくれ……」
「あっはっは。奥方様とお話しできる日はすぐみたいだねぇ。本当に良い方が来て下さって良かったですね。領主様」
「う、うむ」
いま、ロバート様はなんと言いました?!
わたくしが来て良かったと……言いましたわよね?!
指南書では、褒められても自惚れず自分を律するようにと書かれていたけど……、ええい! 今日はあの本の事は忘れるのよ!
エイダの言う通り、いつまたロバート様と離れ離れになるか分からない。今気持ちを伝えなければ、きっと後悔するわ。
……それに、そろそろ夫婦としてきちんとロバート様と話をしたい。今日は絶好のチャンスよ!
もっと、ロバート様と向き合わなくちゃ。
「ロバート様はお優しくて、とっても素敵です。ロバート様と結婚できて本当に幸せですわ」
「いい奥様だねぇ。是非また来ておくれ」
領地で1件しかない宿屋の女将さんは、涙目でロバート様を褒めちぎっていた。
「あ、領主様! トマトが出来たの! あげる!」
出会った少年は、実ったばかりの野菜を渡してくれた。
「領主様のおかげで、また商人が来るようになったんですよ」
「これ、奥方様にどうですか」
市場の人々が、口々にロバート様にお礼を言う。中にはちゃっかり売り込みをする人もいるけど、ロバート様はニコニコと対応している。
みんな、ロバート様を慕っている。もう、本当に……うちの旦那様、最高!
「ロバート様は領民に慕われているんですね」
「あ、いやその、はい、おかげさまで……」
照れていらっしゃるわ。ああもう、照れるお顔も可愛らしくて素敵だわ。
そうだ、これだけは言わないと。
「わたくし、とっても幸せです。ロバート様、愛してますわ!」
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