53 / 57
辺境伯夫人は頑張ります
16
しおりを挟む
「……もういい」
どのくらい時間が経っただろうが。
ハンス王子が、呆れたご様子でわたくしの言葉を止めた。
案外早かったわね。困ったわ。他に何を話そうかしら。
わたくしが話そうとすると、ハンス王子の手から見た事のある黒い靄が出てくる。靄はどんどん大きくなりわたくしの周りを取り囲んだ。
「……最初からこうすれば良かった。どいつもこいつも意思が強そうな目をしていた中、あの王太子だけが不安そうにエリザベスを見つめていた。だから選んだ。けど、案外使えない。王太子なら兄上みたいにやりたい放題だと思ったのに」
「権力のある方は責任も伴いますからね。勝手な事は出来ませんわ」
「そうらしいね。お堅い国だよ全く。利用価値ならアンタの方がある。アンタを奪えば、あの熊は何も出来ない。人間、誰でも闇はある。アンタだって、少しくらい夫に不満があるだろう? 僕の操り人形になってよ。もう知られてるから言っちゃうけど、僕の魔法は不安がある人ほど操るのが簡単なんだよね。ただねぇ、あんまり複雑な事は出来ないし、操るヤツが嫌がる命令は難しいんだ。僕があそこでボッーとしてる男にした命令は、アンタをここに連れて来い。だよ。本当は乱暴でもしてやれって思ったんだけどね、無理だったから諦めた」
「……そんな事したら……」
「あの熊は、怒るよねぇ。出来ればそうしたかったんだけど、駄目だったよ。色々命令して、ようやく受け入れてくれたのがここに連れて来い。だったんだよね。魔法には掛かってるのに、意思が強くて嫌になるよ」
「なぜ王太子殿下はわたくしを相談役にしようとしたのですか?」
「命令した事をどうやって達成するかは個人でバラバラ。だから、アンタを連れ出す理由はあの男が勝手に考えるんだ。歪んでるからめちゃくちゃな行動は取るけど、本人の潜在意識にある願望が表に出る事が多いよ。例えば、城に侵入しろって命令しただけなのに出会う人を全員惨殺するヤツも居るし、こっそり侵入するヤツも居る」
「ただ城に侵入しろと命じただけなのに、わざわざ惨殺するような人間は心の内にそのように振る舞いたいという願望があるという事ですか?」
「そゆこと。やっぱりアンタは賢いね。辺境に居るなんて勿体ない。だからアンタがエリザベスの側にいて欲しいって王太子は思ったんだよ。王太子はね、エリザベスとの間に子が生まれない事に悩んでたんだ。お優しい国王や王妃は何も言わなかったけど、結構色々言われてたみたいだよ。妾を取れ、とかね」
「なんて無礼な事を言うのでしょう……! 許せませんわ」
「アンタはさ、あれだけ熊に溺愛されてんのに子どもが居ないでしょ? だから、エリザベスは焦ってなかった。2年も先に結婚したアンタ達に子どもが居ないんだからね。アンタ達は跡取り候補がもう居る気楽な立場だから良いけど、王族はそうはいかない」
確かに、カールの子が辺境伯を継ぐ事は可能だ。カールに子どもが居るからか、わたくしは一度も子を産めと言われた事はない。
「国王の子は王太子だけだからね。えっぐい貴族達に妾を取って子ども作るのが正しいって言われてたよ。僕が来訪した時に、こっそりぶらぶらしてたらたまたま聞いちゃったんだ。あの様子は、何度も何度も言われてるなって分かった。アンタが慌てて城に来るちょっと前だよ。最初はアンタを狙ったけど、熊にベタ惚れで無理だったから……あの男を操る事にしたんだ」
「そんな事を言うなんて……単に自分の娘を妾にしたいだけでしょうに。側妃は法律で認められておりませんし、妾に地位も権力もありません。たとえ子が生まれても継承権はありませんわ。そんな事も知らないなんて、貴族失格です。それに、王太子殿下は妾を欲しがるような方ではありませんわ」
「そ、真面目ないい子ちゃん。エリザベスだけを愛してる王族としては無能な男。けどね、アンタ達みたいに子が生まれなきゃそれはそれで仕方ないって割り切れてる訳じゃない。不安なんだよ。エリザベスを裏切りたくない、でも、王族の務めもあるってね。だから茶会の後に2人になった時に言ってあげたんだ。あんなに仲が良ければ、辺境伯にお子が生まれるのもすぐでしょうね。そうなれば、エリザベス様もお喜びになられるでしょうね……いや、焦られますかねって。アンタとエリザベス、親友なんだって? 親友に子どもが生まれたら、きっとエリザベスも焦る。女って周りが変わると引き摺られるように変わるからね。生涯独身が良いって言ってたのに、友達が結婚しただけで焦って結婚を迫ってくるようになる。だからさ、ちょっと傷を抉ってやったの。そしたらようやく魔法にかかってくれた。エリザベスやアンタは、何度操ろうとしても夫を信じきっていて操れなかったけど、王太子は思ったより簡単だったよ。ちなみに、アンタの夫に僕の魔法は効かない。てか、辺境伯の兵士達全員無理。戦場で操れれば簡単だからって兄上に無理矢理前線に立たされたけど、誰も魔法が効かないんだよ。おかしくない?! 普通戦争なんて不安になるもんだろ?! 新人兵士まで真っ直ぐな眼をしちゃって! 異常に強いしさ! アンタらなんなの?」
「兵士達は常に訓練を欠かしません。人を操るなんて、そう簡単に出来ませんわ」
「そうみたいだね。ま、もう良い。アンタを連れて来た時点でこの男は用済みだ」
そう言って、動かない王太子殿下を蹴ろうとした。わたくしは王太子殿下の前に立ち、止める。
「おやめください」
「ちっ……。アンタにはまだ利用価値がある。傷なんてつけたらあの化け物が激昂する。それじゃあ、交渉にならない」
なるほど。確かに生きて攫われるのは利用価値があるからね。まさか、2回も攫われるとは思わなかったけど。
「でしたら、おやめいただけますわよね? 僅かでもわたくしが傷つけば、夫が黙っていませんわよ」
「ちっ……。もう話すな。僕を見るな!」
大きな黒い靄がわたくしの周りに広がり、わたくしを包み込もうと迫ってくる。
だけど、黒い靄はわたくしに近寄れない。
「なんで! こんな所に連れて来られたら不安だろ?! なんで操れない!」
「さぁ、何故でしょうね」
このブレスレット、恐ろしいくらい効くわね。バレないように服の中に隠して良かったわ。
「なんで! アンタに不安はないのかよ!」
「ありませんわ」
「……は?」
ハンス王子が、キョトンとしておられる。どうやらハンス王子の魔法は不安がある人しか操れないみたいね。こんな所に攫われれば、わたくしが不安がると思ったのでしょう。
わたくし、そんなに弱くありませんわ。
「わたくし、とっても満たされておりますの。先ほど、少しくらい夫に不満があるだろうと仰いましたけど、フレッドに不満などありません」
「ちょっとくらいあるだろ。父上も母上も、いっつもお互いの悪口を言ってる。兄上も、姉上も……使用人達だって陰口のオンパレードだ!」
「……ハンス王子のご家族はそうなのですね。ですが、そんな人ばかりではありません。世の中には、お互い支え合い、笑顔の絶えない家庭もありますわ」
「そんなもんあるか! 誰だって自分が一番可愛い。良い子ぶるのもいい加減にしてくれ!!!」
ハンス王子が叫んだ瞬間、わたくしを包もうとした黒い靄は方角を変え、ハンス王子を包み込んだ。
どのくらい時間が経っただろうが。
ハンス王子が、呆れたご様子でわたくしの言葉を止めた。
案外早かったわね。困ったわ。他に何を話そうかしら。
わたくしが話そうとすると、ハンス王子の手から見た事のある黒い靄が出てくる。靄はどんどん大きくなりわたくしの周りを取り囲んだ。
「……最初からこうすれば良かった。どいつもこいつも意思が強そうな目をしていた中、あの王太子だけが不安そうにエリザベスを見つめていた。だから選んだ。けど、案外使えない。王太子なら兄上みたいにやりたい放題だと思ったのに」
「権力のある方は責任も伴いますからね。勝手な事は出来ませんわ」
「そうらしいね。お堅い国だよ全く。利用価値ならアンタの方がある。アンタを奪えば、あの熊は何も出来ない。人間、誰でも闇はある。アンタだって、少しくらい夫に不満があるだろう? 僕の操り人形になってよ。もう知られてるから言っちゃうけど、僕の魔法は不安がある人ほど操るのが簡単なんだよね。ただねぇ、あんまり複雑な事は出来ないし、操るヤツが嫌がる命令は難しいんだ。僕があそこでボッーとしてる男にした命令は、アンタをここに連れて来い。だよ。本当は乱暴でもしてやれって思ったんだけどね、無理だったから諦めた」
「……そんな事したら……」
「あの熊は、怒るよねぇ。出来ればそうしたかったんだけど、駄目だったよ。色々命令して、ようやく受け入れてくれたのがここに連れて来い。だったんだよね。魔法には掛かってるのに、意思が強くて嫌になるよ」
「なぜ王太子殿下はわたくしを相談役にしようとしたのですか?」
「命令した事をどうやって達成するかは個人でバラバラ。だから、アンタを連れ出す理由はあの男が勝手に考えるんだ。歪んでるからめちゃくちゃな行動は取るけど、本人の潜在意識にある願望が表に出る事が多いよ。例えば、城に侵入しろって命令しただけなのに出会う人を全員惨殺するヤツも居るし、こっそり侵入するヤツも居る」
「ただ城に侵入しろと命じただけなのに、わざわざ惨殺するような人間は心の内にそのように振る舞いたいという願望があるという事ですか?」
「そゆこと。やっぱりアンタは賢いね。辺境に居るなんて勿体ない。だからアンタがエリザベスの側にいて欲しいって王太子は思ったんだよ。王太子はね、エリザベスとの間に子が生まれない事に悩んでたんだ。お優しい国王や王妃は何も言わなかったけど、結構色々言われてたみたいだよ。妾を取れ、とかね」
「なんて無礼な事を言うのでしょう……! 許せませんわ」
「アンタはさ、あれだけ熊に溺愛されてんのに子どもが居ないでしょ? だから、エリザベスは焦ってなかった。2年も先に結婚したアンタ達に子どもが居ないんだからね。アンタ達は跡取り候補がもう居る気楽な立場だから良いけど、王族はそうはいかない」
確かに、カールの子が辺境伯を継ぐ事は可能だ。カールに子どもが居るからか、わたくしは一度も子を産めと言われた事はない。
「国王の子は王太子だけだからね。えっぐい貴族達に妾を取って子ども作るのが正しいって言われてたよ。僕が来訪した時に、こっそりぶらぶらしてたらたまたま聞いちゃったんだ。あの様子は、何度も何度も言われてるなって分かった。アンタが慌てて城に来るちょっと前だよ。最初はアンタを狙ったけど、熊にベタ惚れで無理だったから……あの男を操る事にしたんだ」
「そんな事を言うなんて……単に自分の娘を妾にしたいだけでしょうに。側妃は法律で認められておりませんし、妾に地位も権力もありません。たとえ子が生まれても継承権はありませんわ。そんな事も知らないなんて、貴族失格です。それに、王太子殿下は妾を欲しがるような方ではありませんわ」
「そ、真面目ないい子ちゃん。エリザベスだけを愛してる王族としては無能な男。けどね、アンタ達みたいに子が生まれなきゃそれはそれで仕方ないって割り切れてる訳じゃない。不安なんだよ。エリザベスを裏切りたくない、でも、王族の務めもあるってね。だから茶会の後に2人になった時に言ってあげたんだ。あんなに仲が良ければ、辺境伯にお子が生まれるのもすぐでしょうね。そうなれば、エリザベス様もお喜びになられるでしょうね……いや、焦られますかねって。アンタとエリザベス、親友なんだって? 親友に子どもが生まれたら、きっとエリザベスも焦る。女って周りが変わると引き摺られるように変わるからね。生涯独身が良いって言ってたのに、友達が結婚しただけで焦って結婚を迫ってくるようになる。だからさ、ちょっと傷を抉ってやったの。そしたらようやく魔法にかかってくれた。エリザベスやアンタは、何度操ろうとしても夫を信じきっていて操れなかったけど、王太子は思ったより簡単だったよ。ちなみに、アンタの夫に僕の魔法は効かない。てか、辺境伯の兵士達全員無理。戦場で操れれば簡単だからって兄上に無理矢理前線に立たされたけど、誰も魔法が効かないんだよ。おかしくない?! 普通戦争なんて不安になるもんだろ?! 新人兵士まで真っ直ぐな眼をしちゃって! 異常に強いしさ! アンタらなんなの?」
「兵士達は常に訓練を欠かしません。人を操るなんて、そう簡単に出来ませんわ」
「そうみたいだね。ま、もう良い。アンタを連れて来た時点でこの男は用済みだ」
そう言って、動かない王太子殿下を蹴ろうとした。わたくしは王太子殿下の前に立ち、止める。
「おやめください」
「ちっ……。アンタにはまだ利用価値がある。傷なんてつけたらあの化け物が激昂する。それじゃあ、交渉にならない」
なるほど。確かに生きて攫われるのは利用価値があるからね。まさか、2回も攫われるとは思わなかったけど。
「でしたら、おやめいただけますわよね? 僅かでもわたくしが傷つけば、夫が黙っていませんわよ」
「ちっ……。もう話すな。僕を見るな!」
大きな黒い靄がわたくしの周りに広がり、わたくしを包み込もうと迫ってくる。
だけど、黒い靄はわたくしに近寄れない。
「なんで! こんな所に連れて来られたら不安だろ?! なんで操れない!」
「さぁ、何故でしょうね」
このブレスレット、恐ろしいくらい効くわね。バレないように服の中に隠して良かったわ。
「なんで! アンタに不安はないのかよ!」
「ありませんわ」
「……は?」
ハンス王子が、キョトンとしておられる。どうやらハンス王子の魔法は不安がある人しか操れないみたいね。こんな所に攫われれば、わたくしが不安がると思ったのでしょう。
わたくし、そんなに弱くありませんわ。
「わたくし、とっても満たされておりますの。先ほど、少しくらい夫に不満があるだろうと仰いましたけど、フレッドに不満などありません」
「ちょっとくらいあるだろ。父上も母上も、いっつもお互いの悪口を言ってる。兄上も、姉上も……使用人達だって陰口のオンパレードだ!」
「……ハンス王子のご家族はそうなのですね。ですが、そんな人ばかりではありません。世の中には、お互い支え合い、笑顔の絶えない家庭もありますわ」
「そんなもんあるか! 誰だって自分が一番可愛い。良い子ぶるのもいい加減にしてくれ!!!」
ハンス王子が叫んだ瞬間、わたくしを包もうとした黒い靄は方角を変え、ハンス王子を包み込んだ。
2
お気に入りに追加
1,895
あなたにおすすめの小説
つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?
蓮
恋愛
少しネガティブな天然鈍感辺境伯令嬢と目つきが悪く恋愛に関してはポンコツコミュ障公爵令息のコミュニケーションエラー必至の爆笑(?)すれ違いラブコメ!
ランツベルク辺境伯令嬢ローザリンデは優秀な兄弟姉妹に囲まれて少し自信を持てずにいた。そんなローザリンデを夜会でエスコートしたいと申し出たのはオルデンブルク公爵令息ルートヴィヒ。そして複数回のエスコートを経て、ルートヴィヒとの結婚が決まるローザリンデ。しかし、ルートヴィヒには身分違いだが恋仲の女性がいる噂をローザリンデは知っていた。
エーベルシュタイン女男爵であるハイデマリー。彼女こそ、ルートヴィヒの恋人である。しかし上級貴族と下級貴族の結婚は許されていない上、ハイデマリーは既婚者である。
ローザリンデは自分がお飾りの妻だと理解した。その上でルートヴィヒとの結婚を受け入れる。ランツベルク家としても、筆頭公爵家であるオルデンブルク家と繋がりを持てることは有益なのだ。
しかし結婚後、ルートヴィヒの様子が明らかにおかしい。ローザリンデはルートヴィヒからお菓子、花、アクセサリー、更にはドレスまでことあるごとにプレゼントされる。プレゼントの量はどんどん増える。流石にこれはおかしいと思ったローザリンデはある日の夜会で聞いてみる。
「つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?」
するとルートヴィヒからは予想外の返事があった。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
政略結婚だけど溺愛されてます
紗夏
恋愛
隣国との同盟の証として、その国の王太子の元に嫁ぐことになったソフィア。
結婚して1年経っても未だ形ばかりの妻だ。
ソフィアは彼を愛しているのに…。
夫のセオドアはソフィアを大事にはしても、愛してはくれない。
だがこの結婚にはソフィアも知らない事情があって…?!
不器用夫婦のすれ違いストーリーです。
王太子殿下が私を諦めない
風見ゆうみ
恋愛
公爵令嬢であるミア様の侍女である私、ルルア・ウィンスレットは伯爵家の次女として生まれた。父は姉だけをバカみたいに可愛がるし、姉は姉で私に婚約者が決まったと思ったら、婚約者に近付き、私から奪う事を繰り返していた。
今年でもう21歳。こうなったら、一生、ミア様の侍女として生きる、と決めたのに、幼なじみであり俺様系の王太子殿下、アーク・ミドラッドから結婚を申し込まれる。
きっぱりとお断りしたのに、アーク殿下はなぜか諦めてくれない。
どうせ、姉にとられるのだから、最初から姉に渡そうとしても、なぜか、アーク殿下は私以外に興味を示さない? 逆に自分に興味を示さない彼に姉が恋におちてしまい…。
※史実とは関係ない、異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
【完結】いくら溺愛されても、顔がいいから結婚したいと言う男は信用できません!
大森 樹
恋愛
天使の生まれ変わりと言われるほど可愛い子爵令嬢のアイラは、ある日突然騎士のオスカーに求婚される。
なぜアイラに求婚してくれたのか尋ねると「それはもちろん、君の顔がいいからだ!」と言われてしまった。
顔で女を選ぶ男が一番嫌いなアイラは、こっ酷くオスカーを振るがそれでもオスカーは諦める様子はなく毎日アイラに熱烈なラブコールを送るのだった。
それに加えて、美形で紳士な公爵令息ファビアンもアイラが好きなようで!?
しかし、アイラには結婚よりも叶えたい夢があった。
アイラはどちらと恋をする? もしくは恋は諦めて、夢を選ぶのか……最後までお楽しみください。
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
【完】ええ!?わたし当て馬じゃ無いんですか!?
112
恋愛
ショーデ侯爵家の令嬢ルイーズは、王太子殿下の婚約者候補として、王宮に上がった。
目的は王太子の婚約者となること──でなく、父からの命で、リンドゲール侯爵家のシャルロット嬢を婚約者となるように手助けする。
助けが功を奏してか、最終候補にシャルロットが選ばれるが、特に何もしていないルイーズも何故か選ばれる。
王宮で虐げられた令嬢は追放され、真実の愛を知る~あなた方はもう家族ではありません~
葵 すみれ
恋愛
「お姉さま、ずるい! どうしてお姉さまばっかり!」
男爵家の庶子であるセシールは、王女付きの侍女として選ばれる。
ところが、実際には王女や他の侍女たちに虐げられ、庭園の片隅で泣く毎日。
それでも家族のためだと耐えていたのに、何故か太り出して醜くなり、豚と罵られるように。
とうとう侍女の座を妹に奪われ、嘲笑われながら城を追い出されてしまう。
あんなに尽くした家族からも捨てられ、セシールは街をさまよう。
力尽きそうになったセシールの前に現れたのは、かつて一度だけ会った生意気な少年の成長した姿だった。
そして健康と美しさを取り戻したセシールのもとに、かつての家族の変わり果てた姿が……
※小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる