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番外編
番外編7
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「先生! ごきげんよう」
「ごきげんよう。ご招待頂いてありがとうエリザベス、シャーリーもお元気そうね」
「ふふっ、久しぶりに先生に生徒として扱われて嬉しいですわ」
「招待状の宛名に、先生と書かれていましたからね。エリザベスはもうすぐ王太子妃でしょう。夜会ではこんな風に話せないわ」
「だから、3人だけのお茶会を主催しましたの。わたくしもシャーリーも、たまにはあの頃のように先生と生徒に戻りたいのですわ」
「まぁ、嬉しい事を仰るわね」
「わたくし、先生のおかげで変われましたもの」
「シャーリーは、人生変わったわよね」
「ええ、先生と、エリザベスと会えたのはとても幸運だったわ」
フレッドに会えたのもエリザベスのおかげだもの。
「懐かしいわね。シャーリーと出会った時は泣いていてびっくりしたわ」
………………
「シャーリー様、アイリーン様はどちらですか?」
「……その、お姉様は体調が悪く来れないとの事です。申し訳ありません」
「そうですか、ではシャーリー様だけでも授業を受けませんか?」
「え……、姉が居ないのによろしいのですか?」
「シャーリー様もわたくしの生徒ですから、当然ですわ」
この時初めて、わたくしは先生にひとりの生徒として扱われていると知ったわ。嬉しかったわ。気がついたら泣いていた。そこに、エリザベスが来たの。
「先生、お待たせして申し訳ありませんわ。あら? こちらがアイリーン様ですの? どうして泣かれていますの? 大丈夫ですか? こちら、お使い下さいませ」
エリザベスは、初対面のわたくしにハンカチを貸してくれたわ。
「アイリーン様は体調不良で、来られないそうですわ。こちらは、一つ下の妹のシャーリー様です」
「そうなのですね。失礼しましたわ。わたくし、エリザベス・ドゥ・デミックと申しますわ。よろしくお願い致します」
挨拶をするエリザベスは、とっても優雅で美しかった。
「失礼致しました。わたくしは、シャーリー・デル・グラールと申しますわ。こちらこそよろしくお願い致します」
エリザベスをお手本にして、可能な限り優雅な所作で挨拶をする。満足そうに笑っている先生を見て、学んだ事が身についている事を実感したわ。
……この時、先生の生徒として恥ずかしくないように頑張ろうと決心して、更に必死で授業を受けた。
エリザベスとは、数回の課外授業ですっかり仲良くなった。ある程度心が通じ合わないと使えない通信魔法も、魔道具なしでできるようになって、よくおしゃべりをするようになったわ。先生が防音魔法も教えて下さったから、家族にもバレずに部屋でお話し出来た。
「家で嫌なことがあっても、エリザベスと話すと元気が出たわ。わたくしが強くなれたのも、先生とエリザベスのおかげよ」
「ふふっ、わたくしもあの頃は、妃教育があって参っていたの。シャーリーとのおしゃべりはとっても楽しみだったのよ」
「エリザベスは元気がなかったし、シャーリーもいつも思いつめた顔をしていたわ。あの後からね、シャーリーがわたくしを先生と嬉しそうに慕ってくれるようになったのは」
「先生からシャーリーと呼ばれた時は嬉しかったですわ」
「あの授業の時ね。授業だけじゃなくて、ずっと呼び捨てが良いって言って貰えて嬉しかったわ」
「あの授業があったから、フレッドともすぐ仲良くなれましたわ」
「仲良くどころか、即日結婚したわよね」
「あれは、クリストファー様のおかげね。賛成してくれた両親にも感謝してるわ」
「よく言うわよ。アイリーン様の為って連呼してたじゃない」
「だってフレッドを離したくなかったんだもの」
「仲が良さそうで良かったわ。わたくしの生徒はみんな幸せになって欲しいもの」
「先生は、今も家庭教師をなさってるんですか?」
「ええ、少し手のかかる生徒だったんですけどね、最近は居眠りもせず真面目に授業を受けてくれるの。間違いを正すんだと、必死な様子は以前のシャーリーのようだわ」
「そうなんですね」
「ええ、ふたりはもう卒業してしまったけど、いつまでもわたくしのかわいい生徒よ」
「「先生、大好きですわ」」
楽しいお茶会は、時間ギリギリまで続いたわ。
「ごきげんよう。ご招待頂いてありがとうエリザベス、シャーリーもお元気そうね」
「ふふっ、久しぶりに先生に生徒として扱われて嬉しいですわ」
「招待状の宛名に、先生と書かれていましたからね。エリザベスはもうすぐ王太子妃でしょう。夜会ではこんな風に話せないわ」
「だから、3人だけのお茶会を主催しましたの。わたくしもシャーリーも、たまにはあの頃のように先生と生徒に戻りたいのですわ」
「まぁ、嬉しい事を仰るわね」
「わたくし、先生のおかげで変われましたもの」
「シャーリーは、人生変わったわよね」
「ええ、先生と、エリザベスと会えたのはとても幸運だったわ」
フレッドに会えたのもエリザベスのおかげだもの。
「懐かしいわね。シャーリーと出会った時は泣いていてびっくりしたわ」
………………
「シャーリー様、アイリーン様はどちらですか?」
「……その、お姉様は体調が悪く来れないとの事です。申し訳ありません」
「そうですか、ではシャーリー様だけでも授業を受けませんか?」
「え……、姉が居ないのによろしいのですか?」
「シャーリー様もわたくしの生徒ですから、当然ですわ」
この時初めて、わたくしは先生にひとりの生徒として扱われていると知ったわ。嬉しかったわ。気がついたら泣いていた。そこに、エリザベスが来たの。
「先生、お待たせして申し訳ありませんわ。あら? こちらがアイリーン様ですの? どうして泣かれていますの? 大丈夫ですか? こちら、お使い下さいませ」
エリザベスは、初対面のわたくしにハンカチを貸してくれたわ。
「アイリーン様は体調不良で、来られないそうですわ。こちらは、一つ下の妹のシャーリー様です」
「そうなのですね。失礼しましたわ。わたくし、エリザベス・ドゥ・デミックと申しますわ。よろしくお願い致します」
挨拶をするエリザベスは、とっても優雅で美しかった。
「失礼致しました。わたくしは、シャーリー・デル・グラールと申しますわ。こちらこそよろしくお願い致します」
エリザベスをお手本にして、可能な限り優雅な所作で挨拶をする。満足そうに笑っている先生を見て、学んだ事が身についている事を実感したわ。
……この時、先生の生徒として恥ずかしくないように頑張ろうと決心して、更に必死で授業を受けた。
エリザベスとは、数回の課外授業ですっかり仲良くなった。ある程度心が通じ合わないと使えない通信魔法も、魔道具なしでできるようになって、よくおしゃべりをするようになったわ。先生が防音魔法も教えて下さったから、家族にもバレずに部屋でお話し出来た。
「家で嫌なことがあっても、エリザベスと話すと元気が出たわ。わたくしが強くなれたのも、先生とエリザベスのおかげよ」
「ふふっ、わたくしもあの頃は、妃教育があって参っていたの。シャーリーとのおしゃべりはとっても楽しみだったのよ」
「エリザベスは元気がなかったし、シャーリーもいつも思いつめた顔をしていたわ。あの後からね、シャーリーがわたくしを先生と嬉しそうに慕ってくれるようになったのは」
「先生からシャーリーと呼ばれた時は嬉しかったですわ」
「あの授業の時ね。授業だけじゃなくて、ずっと呼び捨てが良いって言って貰えて嬉しかったわ」
「あの授業があったから、フレッドともすぐ仲良くなれましたわ」
「仲良くどころか、即日結婚したわよね」
「あれは、クリストファー様のおかげね。賛成してくれた両親にも感謝してるわ」
「よく言うわよ。アイリーン様の為って連呼してたじゃない」
「だってフレッドを離したくなかったんだもの」
「仲が良さそうで良かったわ。わたくしの生徒はみんな幸せになって欲しいもの」
「先生は、今も家庭教師をなさってるんですか?」
「ええ、少し手のかかる生徒だったんですけどね、最近は居眠りもせず真面目に授業を受けてくれるの。間違いを正すんだと、必死な様子は以前のシャーリーのようだわ」
「そうなんですね」
「ええ、ふたりはもう卒業してしまったけど、いつまでもわたくしのかわいい生徒よ」
「「先生、大好きですわ」」
楽しいお茶会は、時間ギリギリまで続いたわ。
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