25 / 57
第二十五話
しおりを挟む
「シャーリー、すまなかった」
男爵は連行され、わたくしはフレッドと帰る事になった。だけど、フレッドがわたくしに土下座してるのよ。騎士姿のフレッドが、土下座。わたくしどうしたらいいか分からないわ。
「フレッドはすぐ助けてくれたし、わたくし何もされなかったわ。だから起きて! 頭を上げて! もちろん貞操も無事よ!」
「なっ……そうではない! オレはシャーリーが結婚を辞めたいと聞いて、それを信じてしまったんだ。危うく離婚の手続きをするところだった」
なんですって?! フレッドと離婚なんて絶対イヤよ!
「……フレッドは、わたくしが嫌い?」
「シャーリーを嫌うなどありえない! 大好きだ」
「嬉しいわ! わたくしもフレッドが大好きよ! 愛してるわ!」
もう夫婦だし、抱きつくくらい良いわよね。フレッドも抱きしめてくれたわ。
「その……シャーリーはなぜオレを好きになってくれたんだ?」
「一目惚れよ!」
「いちばんあり得ない答えが返って来たんだが?!」
「なんでよ! フレッドはかっこいいわ!」
「どこがだ?! 何度見合いで泣かれたと思っている?!」
「お見合い、何回したの?」
「50回からは数えていないな」
「なんだか嫉妬するけど、お見合いした令嬢達がフレッドの魅力に気がつかなくて良かったわ。フレッドはかっこいいわよ。背も高いし、鍛えているから逞しいし、なによりその整えられたお髭が素敵だわ!」
「……髭か?」
「ええ、そのお髭、丁寧に手入れされてて素敵だわ!」
「そ、そうか」
「フレッド? どうしてお顔が赤いの?」
「いや、その……髭はこだわりだったが、これを素敵と言われたのは初めてだからな」
「まあ! 皆様見る目がないわね! でも誰も気がつかなかったからわたくしフレッドと結婚出来たんですもの。感謝しなくてはね。わたくしフレッドと結婚できて幸せよ」
「そうだな。オレもシャーリーと結婚できて幸せだ。このまま辺境に連れて帰って良いか?」
「フレッドから貰ったドレスや宝石が、まだ家にあるの」
「アレはもう不要だ。シャーリーには、また別の物を用意する」
「でも……」
「シャーリーには、全て新しい物をあげたいんだ。君の姉が、オレの贈ったドレスを着ていた」
なんですって! あり得ない! いや、あの姉ならいつもの事か……。でも、フレッドから貰った物は特別だったのに。
「フレッドから貰った物なのに……」
「あれは、手切金と思おう。確認したいのだが、シャーリーは、あの家に帰りたいか?」
「絶対イヤ! 全員顔も見たくないわ!」
「なら、合法的に実家と縁を切る方法がある。2度と会わなくていいし、縁が切れた事は公表されるから後からいちゃもんつけられる事もない。シャーリーが望むなら、すぐ手続きをする。今なら、向こうも負い目があるから受け入れるだろう。だが、シャーリーが望まなければ、オレは何もしない」
実家と、縁が切れる?
結婚しても、たまにはやいのやいの言われると思っていたけど、それもないなんて、なんて嬉しいのかしら。あの家に、未練なんてあるわけないでしょ。
「フレッド、わたくしあの家と縁を切りたいわ」
「そうか、ならすぐ手続きをしよう。一度だけ家族と会わないといけないが、オレが守るから安心してくれ」
「分かったわ! フレッドが居るなら安心ね」
男爵は連行され、わたくしはフレッドと帰る事になった。だけど、フレッドがわたくしに土下座してるのよ。騎士姿のフレッドが、土下座。わたくしどうしたらいいか分からないわ。
「フレッドはすぐ助けてくれたし、わたくし何もされなかったわ。だから起きて! 頭を上げて! もちろん貞操も無事よ!」
「なっ……そうではない! オレはシャーリーが結婚を辞めたいと聞いて、それを信じてしまったんだ。危うく離婚の手続きをするところだった」
なんですって?! フレッドと離婚なんて絶対イヤよ!
「……フレッドは、わたくしが嫌い?」
「シャーリーを嫌うなどありえない! 大好きだ」
「嬉しいわ! わたくしもフレッドが大好きよ! 愛してるわ!」
もう夫婦だし、抱きつくくらい良いわよね。フレッドも抱きしめてくれたわ。
「その……シャーリーはなぜオレを好きになってくれたんだ?」
「一目惚れよ!」
「いちばんあり得ない答えが返って来たんだが?!」
「なんでよ! フレッドはかっこいいわ!」
「どこがだ?! 何度見合いで泣かれたと思っている?!」
「お見合い、何回したの?」
「50回からは数えていないな」
「なんだか嫉妬するけど、お見合いした令嬢達がフレッドの魅力に気がつかなくて良かったわ。フレッドはかっこいいわよ。背も高いし、鍛えているから逞しいし、なによりその整えられたお髭が素敵だわ!」
「……髭か?」
「ええ、そのお髭、丁寧に手入れされてて素敵だわ!」
「そ、そうか」
「フレッド? どうしてお顔が赤いの?」
「いや、その……髭はこだわりだったが、これを素敵と言われたのは初めてだからな」
「まあ! 皆様見る目がないわね! でも誰も気がつかなかったからわたくしフレッドと結婚出来たんですもの。感謝しなくてはね。わたくしフレッドと結婚できて幸せよ」
「そうだな。オレもシャーリーと結婚できて幸せだ。このまま辺境に連れて帰って良いか?」
「フレッドから貰ったドレスや宝石が、まだ家にあるの」
「アレはもう不要だ。シャーリーには、また別の物を用意する」
「でも……」
「シャーリーには、全て新しい物をあげたいんだ。君の姉が、オレの贈ったドレスを着ていた」
なんですって! あり得ない! いや、あの姉ならいつもの事か……。でも、フレッドから貰った物は特別だったのに。
「フレッドから貰った物なのに……」
「あれは、手切金と思おう。確認したいのだが、シャーリーは、あの家に帰りたいか?」
「絶対イヤ! 全員顔も見たくないわ!」
「なら、合法的に実家と縁を切る方法がある。2度と会わなくていいし、縁が切れた事は公表されるから後からいちゃもんつけられる事もない。シャーリーが望むなら、すぐ手続きをする。今なら、向こうも負い目があるから受け入れるだろう。だが、シャーリーが望まなければ、オレは何もしない」
実家と、縁が切れる?
結婚しても、たまにはやいのやいの言われると思っていたけど、それもないなんて、なんて嬉しいのかしら。あの家に、未練なんてあるわけないでしょ。
「フレッド、わたくしあの家と縁を切りたいわ」
「そうか、ならすぐ手続きをしよう。一度だけ家族と会わないといけないが、オレが守るから安心してくれ」
「分かったわ! フレッドが居るなら安心ね」
13
お気に入りに追加
1,899
あなたにおすすめの小説
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。
【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない
春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。
願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。
そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。
※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。
お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。
少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。
22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる