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第二十話
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「ここどこよ」
牢屋?! ベッドは上等だし、お風呂やトイレもあるけど鉄格子がはまっていて外には出れない。しかも、わたくしの足に鎖がついている。
あの怪しいおじさんに連れて来られたって事よね。念のため身体も調べたが、何もされてはいない。フレッドのくれたドレスの中でも複雑な作りのものを選んだから、着るのも大変だったし脱がされていればすぐに分かるから貞操は問題なさそうね。
まぁ……今は無事だけど、いつまでも無事な訳ないわよね。不安が襲ってくるけど、落ち着け、もうすぐフレッドが来るはずだった。フレッドは、エリザベスのお家のゲートを使ってる筈だからエリザベスに連絡を取ればいいわ。
先生の教え、その9。常に冷静に状況を判断して、可能な限りの脱出方法を調査しろ。連絡が取れれば取れ。だがすぐに動くな。生きて攫われているのは利用価値があるからだ。
冷静でいれば、ケイリー様への対応ももっとちゃんと出来たのに。フレッドや、場合によってはエリザベス達の名前を出せば迂闊に手は出されたりしなかったかもしれないのに。
本当に、情けないわ。
フレッドに貰った物に手を出されそうになって、冷静さを失っていた。姉に嫌いと言ったのは初めてね。ずいぶんショックを受けていたようだけど、今までの自分の態度でどうして好かれていると思っていたのか知りたいわ。
とにかく、エリザベスに通信をしましょう。わたくしが通信魔法を使える事は姉も知らないから、通信魔法は妨害されてないと良いけど……。
「エリザベス……エリザベス……」
「シャーリー?! どこにいるの?! 結婚は、無しになったって泣きながらフレッド様が帰ってきたところよ!」
「わたくし、攫われたの。場所は分からないわ。変な薬を嗅がされて気がついたらここにいたの。今のところ何もされてないわ。ただ、足に鎖がついていて、逃げられないわ。お願い、フレッドが居るなら伝えて! 結婚を無しなんて言わないで! わたくしフレッドを愛してるわ!」
「シャーリー! シャーリーか?!」
「フレッド?! わたくしフレッドを愛してるわ! お願い! わたくしを捨てないで!!!」
「さっき君の家に行ったら、シャーリーに贈ったドレスを姉君が物色していた。シャーリーは何処かと聞いたら、田舎貴族なんて嫌と言ってもっと幸せになるところに嫁いだと言われたんだ」
「ありえないわ! わたくし攫われたのよ! ケイリー様が知らない男の人を連れて来たの! 結納金だってお金を出してわたくしを連れて行こうとしたから、わたくしはもう結婚してるって言ったわ! そしたら、お姉様があり得ないって言い出したの! 逃げようとしたら、変な薬を嗅がされて気がついたらここに居たの」
「……そうか、少しでも疑った自分が情けない。必ず助け出すから待っていてくれ」
フレッドの声を聞いたら、大丈夫だと思えた。冷静に、状況を判断しないと。わたくしは、どうするのが正解かしら。
「フレッド、わたくしここから無闇に動かない方が良い? それとも、脱出を試みた方が良い?」
「今はそこにいてくれ。身を守る方法はあるか?」
「繭に閉じこもる魔法なら使えるわ。だけど使ったら通信魔法も使えなくなるわ」
「いざとなれば躊躇なく使ってくれ。エリザベス様にご協力頂くから、情報が分かれば通信魔法で伝えてくれ。窓から何か見えるか?」
「えっと、高い位置だから見えないわ。窓に鉄格子が嵌っていて、出入り口も鉄格子があって、足に鎖が付けられているわ」
バキッ……。
ん? 通信の向こうで、何か音がしたわね。何かしら?
「オレの妻に手を出そうとした事を死ぬほど後悔させてやる」
「フレッド?!」
「大丈夫、必ず助けるから。シャーリー、安心して待っていてくれ」
フレッドの声は、優しくて安心するわ。
わたくしも、出来ることをやらないと。
牢屋?! ベッドは上等だし、お風呂やトイレもあるけど鉄格子がはまっていて外には出れない。しかも、わたくしの足に鎖がついている。
あの怪しいおじさんに連れて来られたって事よね。念のため身体も調べたが、何もされてはいない。フレッドのくれたドレスの中でも複雑な作りのものを選んだから、着るのも大変だったし脱がされていればすぐに分かるから貞操は問題なさそうね。
まぁ……今は無事だけど、いつまでも無事な訳ないわよね。不安が襲ってくるけど、落ち着け、もうすぐフレッドが来るはずだった。フレッドは、エリザベスのお家のゲートを使ってる筈だからエリザベスに連絡を取ればいいわ。
先生の教え、その9。常に冷静に状況を判断して、可能な限りの脱出方法を調査しろ。連絡が取れれば取れ。だがすぐに動くな。生きて攫われているのは利用価値があるからだ。
冷静でいれば、ケイリー様への対応ももっとちゃんと出来たのに。フレッドや、場合によってはエリザベス達の名前を出せば迂闊に手は出されたりしなかったかもしれないのに。
本当に、情けないわ。
フレッドに貰った物に手を出されそうになって、冷静さを失っていた。姉に嫌いと言ったのは初めてね。ずいぶんショックを受けていたようだけど、今までの自分の態度でどうして好かれていると思っていたのか知りたいわ。
とにかく、エリザベスに通信をしましょう。わたくしが通信魔法を使える事は姉も知らないから、通信魔法は妨害されてないと良いけど……。
「エリザベス……エリザベス……」
「シャーリー?! どこにいるの?! 結婚は、無しになったって泣きながらフレッド様が帰ってきたところよ!」
「わたくし、攫われたの。場所は分からないわ。変な薬を嗅がされて気がついたらここにいたの。今のところ何もされてないわ。ただ、足に鎖がついていて、逃げられないわ。お願い、フレッドが居るなら伝えて! 結婚を無しなんて言わないで! わたくしフレッドを愛してるわ!」
「シャーリー! シャーリーか?!」
「フレッド?! わたくしフレッドを愛してるわ! お願い! わたくしを捨てないで!!!」
「さっき君の家に行ったら、シャーリーに贈ったドレスを姉君が物色していた。シャーリーは何処かと聞いたら、田舎貴族なんて嫌と言ってもっと幸せになるところに嫁いだと言われたんだ」
「ありえないわ! わたくし攫われたのよ! ケイリー様が知らない男の人を連れて来たの! 結納金だってお金を出してわたくしを連れて行こうとしたから、わたくしはもう結婚してるって言ったわ! そしたら、お姉様があり得ないって言い出したの! 逃げようとしたら、変な薬を嗅がされて気がついたらここに居たの」
「……そうか、少しでも疑った自分が情けない。必ず助け出すから待っていてくれ」
フレッドの声を聞いたら、大丈夫だと思えた。冷静に、状況を判断しないと。わたくしは、どうするのが正解かしら。
「フレッド、わたくしここから無闇に動かない方が良い? それとも、脱出を試みた方が良い?」
「今はそこにいてくれ。身を守る方法はあるか?」
「繭に閉じこもる魔法なら使えるわ。だけど使ったら通信魔法も使えなくなるわ」
「いざとなれば躊躇なく使ってくれ。エリザベス様にご協力頂くから、情報が分かれば通信魔法で伝えてくれ。窓から何か見えるか?」
「えっと、高い位置だから見えないわ。窓に鉄格子が嵌っていて、出入り口も鉄格子があって、足に鎖が付けられているわ」
バキッ……。
ん? 通信の向こうで、何か音がしたわね。何かしら?
「オレの妻に手を出そうとした事を死ぬほど後悔させてやる」
「フレッド?!」
「大丈夫、必ず助けるから。シャーリー、安心して待っていてくれ」
フレッドの声は、優しくて安心するわ。
わたくしも、出来ることをやらないと。
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