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21.暗殺者は、口付けする
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「よぉ、起きたか? もう暗いから、今日はここで野営する。馬車の上で寝た方が良いかな」
クリステルは、目覚めた途端に目の前にジルの顔があり、驚いた。
「ひゃ、ひゃあああ!!」
「ど、どうしました?!」
クリステルの悲鳴に、何事かと冒険者が集まって来る。
「なんでもない。野営の準備を進めててくれ。そうだ、これ使って良いから、美味いメシを頼む」
「うぃっす。あ、これ王都で人気の調味料じゃねぇっすか。肉に使うと美味いんですよね。王都に来たらよく買います。今回は金なくて買えませんでしたけど……」
「そうか、なら使い方は分かるな?」
「任してください。さっきジルさんが狩ったウサギがあるから上手く調理しますよ」
「任せた。出来たら呼んでくれ」
「りょーかいです」
ガウスは、ウキウキしながら去って行った。
「おーい! これ、使って良いってよ!」
「え、マジで! やったあ!」
「これ、美味しいですよね。高くて今回は買えませんでしたから食べられるとは思いませんでした」
「ちょっと野草取って来てよ! その方が美味しいから!」
「よっしゃ、任しとけ」
嬉しそうな冒険者達の声は、クリステルまで届いていた。
「調味料は、成功だったみたいですね」
「瓶だから、急ぐと割れちまうんだ。けど、オレらはゆっくり馬車を動かすから割れにくい。クリスが教えてくれたみたいに箱におがくずを入れるとほぼ割れないな。これなら、儲けも出そうだ」
「良かったわ。以前、本で読んだ事があったの。他にも、おがくずと氷を一緒に入れると、氷が溶けにくいそうよ」
「へえ、クリスは物知りだな。偉い商人は知ってんのかもしれねえけど、行商人はそんな事を知ってる奴も少ないし、知ってても誰にも教えねぇ。荷物は、護衛にも見せないらしいぜ」
「そうなのね。みんなが知っていれば、流通も良くなると思うんだけど」
「それは、上の人間の思考だな。基本的に、人は欲張りなんだ。得する事は、独り占めしたいもんなんだ。オレが、クリスを独り占めしたいみたいにな」
そう言って、ジルはクリスの頬にキスを落とす。
唇ではなかった事と、先程の行為で慣れたのか、クリステルは顔を赤くして固まるだけで気絶はしなかった。
「へぇ、こんくらいなら気絶はしねぇか」
「大丈夫よ! だ、だからそんなに顔を近づけないでっ!」
「そんな真っ赤な顔して言っても説得力ねぇよ。……それとも、こんな事するオレは嫌か?」
(わたくし、ジルが好きなのに……どうしてそんな事言うの……? このままだと、わたくしまた捨てられる……そんなの嫌……)
「クリス、どうした? オレの事、嫌いか?」
「好き! わたくし、ジルが好きなの! ……その、さっきも恥ずかしいけど、嫌じゃなかったわ。……もっと、して欲しい……の……んっ……」
(何これ……あったかくて……気持ち良い……)
「あんまり煽るなよ。結構我慢してんだから。なぁ……クリス、オレもクリスが好きだぜ。愛してる。オレは絶対クリスを手放さない。だから、安心してオレを愛してくれよ。オレはもっとクリスの愛が欲しい」
そう言って、ジルはクリステルの唇を貪った。クリステルが気絶しそうになる度に唇を離し、クリステルの意識を戻す。
次第にクリステルもジルとの行為に慣れてきて、自分からキスをせがむようになった。ジルはニヤリと笑って、わざと自分からキスをせずにクリステルがせがむのを待った。
美味しそうな匂いがした事で、クリステルのお腹が鳴るまで、ジルはクリステルにキスを教え続けた。
クリステルは、目覚めた途端に目の前にジルの顔があり、驚いた。
「ひゃ、ひゃあああ!!」
「ど、どうしました?!」
クリステルの悲鳴に、何事かと冒険者が集まって来る。
「なんでもない。野営の準備を進めててくれ。そうだ、これ使って良いから、美味いメシを頼む」
「うぃっす。あ、これ王都で人気の調味料じゃねぇっすか。肉に使うと美味いんですよね。王都に来たらよく買います。今回は金なくて買えませんでしたけど……」
「そうか、なら使い方は分かるな?」
「任してください。さっきジルさんが狩ったウサギがあるから上手く調理しますよ」
「任せた。出来たら呼んでくれ」
「りょーかいです」
ガウスは、ウキウキしながら去って行った。
「おーい! これ、使って良いってよ!」
「え、マジで! やったあ!」
「これ、美味しいですよね。高くて今回は買えませんでしたから食べられるとは思いませんでした」
「ちょっと野草取って来てよ! その方が美味しいから!」
「よっしゃ、任しとけ」
嬉しそうな冒険者達の声は、クリステルまで届いていた。
「調味料は、成功だったみたいですね」
「瓶だから、急ぐと割れちまうんだ。けど、オレらはゆっくり馬車を動かすから割れにくい。クリスが教えてくれたみたいに箱におがくずを入れるとほぼ割れないな。これなら、儲けも出そうだ」
「良かったわ。以前、本で読んだ事があったの。他にも、おがくずと氷を一緒に入れると、氷が溶けにくいそうよ」
「へえ、クリスは物知りだな。偉い商人は知ってんのかもしれねえけど、行商人はそんな事を知ってる奴も少ないし、知ってても誰にも教えねぇ。荷物は、護衛にも見せないらしいぜ」
「そうなのね。みんなが知っていれば、流通も良くなると思うんだけど」
「それは、上の人間の思考だな。基本的に、人は欲張りなんだ。得する事は、独り占めしたいもんなんだ。オレが、クリスを独り占めしたいみたいにな」
そう言って、ジルはクリスの頬にキスを落とす。
唇ではなかった事と、先程の行為で慣れたのか、クリステルは顔を赤くして固まるだけで気絶はしなかった。
「へぇ、こんくらいなら気絶はしねぇか」
「大丈夫よ! だ、だからそんなに顔を近づけないでっ!」
「そんな真っ赤な顔して言っても説得力ねぇよ。……それとも、こんな事するオレは嫌か?」
(わたくし、ジルが好きなのに……どうしてそんな事言うの……? このままだと、わたくしまた捨てられる……そんなの嫌……)
「クリス、どうした? オレの事、嫌いか?」
「好き! わたくし、ジルが好きなの! ……その、さっきも恥ずかしいけど、嫌じゃなかったわ。……もっと、して欲しい……の……んっ……」
(何これ……あったかくて……気持ち良い……)
「あんまり煽るなよ。結構我慢してんだから。なぁ……クリス、オレもクリスが好きだぜ。愛してる。オレは絶対クリスを手放さない。だから、安心してオレを愛してくれよ。オレはもっとクリスの愛が欲しい」
そう言って、ジルはクリステルの唇を貪った。クリステルが気絶しそうになる度に唇を離し、クリステルの意識を戻す。
次第にクリステルもジルとの行為に慣れてきて、自分からキスをせがむようになった。ジルはニヤリと笑って、わざと自分からキスをせずにクリステルがせがむのを待った。
美味しそうな匂いがした事で、クリステルのお腹が鳴るまで、ジルはクリステルにキスを教え続けた。
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