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第二十四話

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結局、アルベルト様はサブリナ様と離婚しました。まぁ、予想通りですね。サブリナ様は、2年の刑期でした。だいぶ軽いですが、出てからが大変でしょうね。事件を起こしましたから、二度と娼婦のお仕事は出来ませんもの。

アルベルト様がどうなったかは、興味ないので知りませんわ。サブリナ様も、なんであんな男に執着してたか分からないと仰っていました。

先程、刑期を終えたサブリナ様が釈放され、わたくしと、団長が立ち合いをしました。謝罪と、感謝を述べて下さいましたわ。

「サブリナ様は、ずいぶん変わりましたね。今の彼女なら、なんとか生きていけるでしょう。それとも、やっぱり仕事が見つからないでしょうか?」

「今まで彼女は、割の良い仕事ばかり選んでたと思うぜ。だから、貴族が怖くてどこも雇って貰えなかった。けど、一般市民の生活費を稼ぐ仕事なら邪魔される事もねぇよ。一応、犯罪者校正プログラムは受けるから、すぐ路頭に迷う事もねぇ。生粋のお嬢様ならともかく、元々は平民だったんだ、生きていく事は出来るさ。アルベルトと離婚しちまえば、面倒な夫もいねぇしな」

「アルベルト様は釣った魚に餌はあげないタイプですし、廃嫡されたのも全部サブリナ様が悪い事にしてサブリナ様を責めたのでしょうね。それでも彼女は、アルベルト様の為に働いていたんですね。わたくしには到底出来ませんわ」

「シルヴィアなら、どうする?」

「わたくしなら、アルベルト様と結婚しませんわ。だから、あんな事したのではありませんか。それに……わたくしもうカルロ以外と結婚するなど考えられません」

「そうだな。シルヴィアはオレの婚約者だ」

そう言って、カルロはわたくしの手にキスをしてくださいました。ここ2年間、ずっとこの程度の触れ合いです。しても頬にキスまで。よく我慢できるなと周りには揶揄われます。

……本音を言えば、だいぶ我慢してますわ。

「もうすぐ、婚約者ではなくなりますわ」

わたくしとカルロは、ようやく来月結婚します。騎士を辞めるか訊かれましたが、わたくしは騎士を続けます。さすがに子どもが出来たらおやすみが必要でしょうが、女性騎士の産休や育休は充実しておりますから仕事を続ける気マンマンです。

カルロも、カルロのご両親も、もちろん父上も賛成して下さいました。

「シルヴィア! 団長! 相変わらず仲良しですね!」

「ヘレナ! 体調はいかがですか?」

大きなお腹を抱えたヘレナが、お弁当を持ってきました。ヘレナは、レオンと結婚して、現在産休中です。

ヘレナが真っ青になってわたくしと仕事を交代した日に、わたくしを呼びに来てくれたレオンから、秘密なんてどれだけ抱えてても良いから、倒れる前に自分を頼れと真剣な顔で言われたそうです。それからレオンを頼ってるうちに、恋が芽生えたそうですわ!

レオンはとっても紳士だったらしくて、ヘレナの頑なな心は溶かされたそうですわ! なんて素敵なのかしら。しばらく女子寮でレオンはヒーローでした。

みんなには、絶対団長に言うなと言われましたのでこれは女騎士だけの秘密なのです。

「順調だよ~。多分もうすぐ産まれるかな。動けるなら動いた方が良いって言われてるから、お散歩がてらお弁当届けに来た。騎士団までなら、万が一どっかで産気づいてもすぐ誰か気がついてくれるから、安心だしね」

「そうなのですね! わたくしも結婚したら騎士団の家族寮に住もうかしら?」

「シルヴィア……希望を叶えてあげられないのは申し訳ないが、オレ達は貴族だから家族寮には住めない」

「……そうでした。残念ですわ」

家族寮は基本的に、平民か下位貴族など金銭的に余裕のない者しか住めません。わたくしでギリギリ、カルロはぶっちぎりでアウトです。

「団長が家族寮に居るなんて、気が休まらないから勘弁して下さいよ」

「ヘレナ、お前生意気言うようになったなぁ?」

「えへへ……。母は図太いもんですよ! 子ども産まれていっぱいいっぱいなのに、団長まで居たら気が休まりません。あ、シルヴィアなら大歓迎ですけどね」

「本当ですか?! ヘレナが許してくれるなら産まれたら赤ちゃんを見に行きたいですわ!」

「無事産まれたら、是非来てね! シルヴィアなら予告なしでも平気! でも、団長が来るなら予告して下さいよ!」

「……おい、オメェの妻はどうなってんだ、レオン」

「はぁ……はぁ……ヘレナが来たって言うから、休憩入ってすぐダッシュで来たら、なんで女性陣はキャピキャピしてて、団長は機嫌が悪い訳?」

「大丈夫! レオン、ごはん食べよ?」

「う、うん……。団長、シルヴィア失礼しますね」

「ちっ……ヘレナの奴、上手く逃げたな」

カルロは怒ったフリをしていますが、本当は怒っておりません。でも……これは……。

「団長、今は休憩中ですわよね?」

「ん? ああ、今は休憩中だ。それに、ここは騎士団の敷地じゃねぇし、人目もねぇなぁ」

そう言ってカルロはニヤリと笑います。

「カルロ……愛してますわ」

カルロの頬に、そっとキスをしました。恐らくわたくしの顔は真っ赤です。

「未だに頬にキスするだけでそんなに赤くなってちゃあ、結婚式でキスさせたくねぇなぁ。赤くなるシルヴィア可愛すぎるだろ。なぁ、なんなら慣れる為にここでファーストキスするか?」

「だ、ダメですわ!」

「分かってる、冗談だよ。来月の式が楽しみだな」

最近、こうやってカルロに翻弄されているのです。
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