21 / 28
第二十一話
しおりを挟む
「シルヴィア、次はねぇぞ」
「申し訳ありませんでした!!!」
カルロ、いや、団長のお説教はものすごく怖いのです。叱る時はみんなと少し離れた所で叱られるのですが、他の騎士の方は直立不動で立って待っているんです。二重の意味で、プレッシャーが凄いのですわ。
でも、時間を守らなかったのはわたくしです。本当なら、15分と言われた時30分欲しい等と交渉すれば良かったのです。出来ない約束はするなと、とても叱られました。特に騎士は時間厳守ですらかね。心から反省しました……。
「シルヴィアのお説教が長引いたから助かったよ」
移動中に、こっそりレオンに話しかけられました。どうやら、団長に黙ってわたくしを呼びに来てくれたみたいです。レオンが呼びに来てくれなかったら、もっと叱られていたでしょう。
「レオンが呼びに来てくれて助かりましたわ。ヘレナの様子はどうですか?」
「大丈夫そうだよ。念のため休めって言っておいた」
「ありがとうございます」
「新人! 無駄口叩くな!」
「「はいっ!」」
団長は、やっぱり怖いです。でも、仕事に真剣なカルロはかっこいいですわ。
ああ! いけません! しっかり気持ちを切り替えなくては!
「着いたぞ、娼館の従業員と住み込みの娼婦を中心に話を聞く。聞いてるうちに通いの娼婦が来るから、来た順に話を聞け。シルヴィア、お前は住み込みの娼婦の聞き込みだ。女性同士の方が色々と話してくれる事があるからな。ニコラはオレと従業員の聞き込み。レオンとテオは2人で組んで、出入りの業者の聞き込みをしろ! 困ったらすぐオレの所に来い!」
「「「「はい!」」」」
わたくしの仕事は、捕まった娼婦の方がどんな方だったかを聞く事です。容疑は明らかなのですが、団長は気になる事があるらしく、どんな働きぶりだったか、贔屓の客は居たのかをきっちり聞けと言われています。
「こんにちは、お仕事前に申し訳ありません。シャナさんのお話、聞かせて下さいませんか?」
「嫌よ! 姐さんを早く返して!」
はぁ、さっきからこんな人ばかりでほとんどお話をしてくれません。ヘレナなら上手く話せるのでしょうけど……。
「シルヴィア! 交代!」
「テオ?」
「全然答えてくれないでしょ? 団長も分かってないよ。シルヴィアみたいな、いかにもお嬢様って感じの子は、ここのお姐様と話すには向かないよ。プライド刺激されるもん。僕が話してみるよ。僕、姉が居るから女性の扱いは慣れてるし」
「役に立たなくてごめんなさい……」
「団長には報告してるから、すぐレオンのところ行って」
「分かりました。ありがとう、テオ」
「気にしないで、出入りの業者はシルヴィアみたいな綺麗な女性の方が口が軽くなるから、頼むね」
「頑張りますわ」
その後、レオンと業者の聞き込みをしました。わたくしが来てからよく話してくれるようになったとレオンが言ってくれました。本当なのか分かりませんが、元気が出ましたので頑張りましたわ。
そして、なぜかわたくしとレオンは先に帰るように指示されました。
「大体話を聞けたから終了なのは分かるんだけど、急いで戻る事ってあった?」
「分かりません、なかったと思いますけど」
ずいぶん焦った様子で、早く帰れと言われました。わたくし、なにか仕事を忘れていたでしょうか? そんな事ありませんわよね。わたくは本来非番だったのですから。
「あらぁ、シルヴィアさんじゃないですかぁ!」
レオンと娼館を出る時、ありえない人に会いました。
「サブリナ様?」
「そうよ! 私があまりに美しくなってるから気がつかなかった?」
どうして、サブリナ様がここに居るんですの?! このやたらと肌を出した下品な服は見てられませんわ! レオンも引いてるではありませんか!
驚いているわたくしに、サブリナ様は嬉しそうに声をかけてきます。
「私、アルベルトに毎日愛されてるの! 羨ましいでしょ?!」
「お幸せそうで何よりですわ」
「何よ! その感情のない顔! そんなんだから、アルベルトに捨てられるのよ!」
「……さようでございますか」
この人と話す時は、感情を出してはいけません。疲れますもの。
「ふふっ、もっとお話ししましょう?」
「仕事中です」
「知ってるわ、昨日シャナ姐さんがお客様を刺しちゃったのよねぇ、可哀想。わたくし、シャナ姐さんと仲が良かったの。いっぱい姐さんのお話したいわ」
なんで、サブリナ様が知っているのでしょうか。これは聞かないわけにいきませんわよね。レオンも同じ気持ちのようですし、レオンが居れば変なことはしてこないでしょう。仕事中に色仕掛けをされてもレオンなら動じないでしょうし。
「分かりました。お話を聞きましょう」
「あぁ、わたくしシルヴィア様と2人でないと話さないわよ。そちらのお兄さんは帰って」
……はぁ、絶対何か企んでますわよね。レオンは、絶対離れないって顔してますけど、このままだと貴重な情報源を無くしますし、団長に報告に行って貰いましょう。でも、それをサブリナ様に感づかれたら、喋るものも喋ってくれませんわよね。
「レオン、帰ってすぐに団長に報告して」
「は?! シルヴィアひとりで話聞かせる訳ねぇだろ!」
「もうここに残ってるのはわたくし達だけ、団長もみんなも帰ってしまったわ。だから、急いで団長を連れてきて」
レオンなら、これで察してくれる筈。
「ちっ……分かったよ。ここから騎士団戻って団長を連れて来るまで1時間はかかる。絶対油断すんなよ」
さすがレオンです! ナイスサポートですわ! すぐにカルロが来てくれる。それまで耐えれば良いだけです。油断しなければ何とかなりますわ。
「分かってる」
「あらあら、わたくしなぁんにもしませんわよ?」
そう言って、サブリナ様はニヤリと笑っておられましたわ。
「申し訳ありませんでした!!!」
カルロ、いや、団長のお説教はものすごく怖いのです。叱る時はみんなと少し離れた所で叱られるのですが、他の騎士の方は直立不動で立って待っているんです。二重の意味で、プレッシャーが凄いのですわ。
でも、時間を守らなかったのはわたくしです。本当なら、15分と言われた時30分欲しい等と交渉すれば良かったのです。出来ない約束はするなと、とても叱られました。特に騎士は時間厳守ですらかね。心から反省しました……。
「シルヴィアのお説教が長引いたから助かったよ」
移動中に、こっそりレオンに話しかけられました。どうやら、団長に黙ってわたくしを呼びに来てくれたみたいです。レオンが呼びに来てくれなかったら、もっと叱られていたでしょう。
「レオンが呼びに来てくれて助かりましたわ。ヘレナの様子はどうですか?」
「大丈夫そうだよ。念のため休めって言っておいた」
「ありがとうございます」
「新人! 無駄口叩くな!」
「「はいっ!」」
団長は、やっぱり怖いです。でも、仕事に真剣なカルロはかっこいいですわ。
ああ! いけません! しっかり気持ちを切り替えなくては!
「着いたぞ、娼館の従業員と住み込みの娼婦を中心に話を聞く。聞いてるうちに通いの娼婦が来るから、来た順に話を聞け。シルヴィア、お前は住み込みの娼婦の聞き込みだ。女性同士の方が色々と話してくれる事があるからな。ニコラはオレと従業員の聞き込み。レオンとテオは2人で組んで、出入りの業者の聞き込みをしろ! 困ったらすぐオレの所に来い!」
「「「「はい!」」」」
わたくしの仕事は、捕まった娼婦の方がどんな方だったかを聞く事です。容疑は明らかなのですが、団長は気になる事があるらしく、どんな働きぶりだったか、贔屓の客は居たのかをきっちり聞けと言われています。
「こんにちは、お仕事前に申し訳ありません。シャナさんのお話、聞かせて下さいませんか?」
「嫌よ! 姐さんを早く返して!」
はぁ、さっきからこんな人ばかりでほとんどお話をしてくれません。ヘレナなら上手く話せるのでしょうけど……。
「シルヴィア! 交代!」
「テオ?」
「全然答えてくれないでしょ? 団長も分かってないよ。シルヴィアみたいな、いかにもお嬢様って感じの子は、ここのお姐様と話すには向かないよ。プライド刺激されるもん。僕が話してみるよ。僕、姉が居るから女性の扱いは慣れてるし」
「役に立たなくてごめんなさい……」
「団長には報告してるから、すぐレオンのところ行って」
「分かりました。ありがとう、テオ」
「気にしないで、出入りの業者はシルヴィアみたいな綺麗な女性の方が口が軽くなるから、頼むね」
「頑張りますわ」
その後、レオンと業者の聞き込みをしました。わたくしが来てからよく話してくれるようになったとレオンが言ってくれました。本当なのか分かりませんが、元気が出ましたので頑張りましたわ。
そして、なぜかわたくしとレオンは先に帰るように指示されました。
「大体話を聞けたから終了なのは分かるんだけど、急いで戻る事ってあった?」
「分かりません、なかったと思いますけど」
ずいぶん焦った様子で、早く帰れと言われました。わたくし、なにか仕事を忘れていたでしょうか? そんな事ありませんわよね。わたくは本来非番だったのですから。
「あらぁ、シルヴィアさんじゃないですかぁ!」
レオンと娼館を出る時、ありえない人に会いました。
「サブリナ様?」
「そうよ! 私があまりに美しくなってるから気がつかなかった?」
どうして、サブリナ様がここに居るんですの?! このやたらと肌を出した下品な服は見てられませんわ! レオンも引いてるではありませんか!
驚いているわたくしに、サブリナ様は嬉しそうに声をかけてきます。
「私、アルベルトに毎日愛されてるの! 羨ましいでしょ?!」
「お幸せそうで何よりですわ」
「何よ! その感情のない顔! そんなんだから、アルベルトに捨てられるのよ!」
「……さようでございますか」
この人と話す時は、感情を出してはいけません。疲れますもの。
「ふふっ、もっとお話ししましょう?」
「仕事中です」
「知ってるわ、昨日シャナ姐さんがお客様を刺しちゃったのよねぇ、可哀想。わたくし、シャナ姐さんと仲が良かったの。いっぱい姐さんのお話したいわ」
なんで、サブリナ様が知っているのでしょうか。これは聞かないわけにいきませんわよね。レオンも同じ気持ちのようですし、レオンが居れば変なことはしてこないでしょう。仕事中に色仕掛けをされてもレオンなら動じないでしょうし。
「分かりました。お話を聞きましょう」
「あぁ、わたくしシルヴィア様と2人でないと話さないわよ。そちらのお兄さんは帰って」
……はぁ、絶対何か企んでますわよね。レオンは、絶対離れないって顔してますけど、このままだと貴重な情報源を無くしますし、団長に報告に行って貰いましょう。でも、それをサブリナ様に感づかれたら、喋るものも喋ってくれませんわよね。
「レオン、帰ってすぐに団長に報告して」
「は?! シルヴィアひとりで話聞かせる訳ねぇだろ!」
「もうここに残ってるのはわたくし達だけ、団長もみんなも帰ってしまったわ。だから、急いで団長を連れてきて」
レオンなら、これで察してくれる筈。
「ちっ……分かったよ。ここから騎士団戻って団長を連れて来るまで1時間はかかる。絶対油断すんなよ」
さすがレオンです! ナイスサポートですわ! すぐにカルロが来てくれる。それまで耐えれば良いだけです。油断しなければ何とかなりますわ。
「分かってる」
「あらあら、わたくしなぁんにもしませんわよ?」
そう言って、サブリナ様はニヤリと笑っておられましたわ。
32
お気に入りに追加
5,218
あなたにおすすめの小説
王太子に婚約破棄されたら、王に嫁ぐことになった
七瀬ゆゆ
恋愛
王宮で開催されている今宵の夜会は、この国の王太子であるアンデルセン・ヘリカルムと公爵令嬢であるシュワリナ・ルーデンベルグの結婚式の日取りが発表されるはずだった。
「シュワリナ!貴様との婚約を破棄させてもらう!!!」
「ごきげんよう、アンデルセン様。挨拶もなく、急に何のお話でしょう?」
「言葉通りの意味だ。常に傲慢な態度な貴様にはわからぬか?」
どうやら、挨拶もせずに不躾で教養がなってないようですわね。という嫌味は伝わらなかったようだ。傲慢な態度と婚約破棄の意味を理解できないことに、なんの繋がりがあるのかもわからない。
---
シュワリナが王太子に婚約破棄をされ、王様と結婚することになるまでのおはなし。
小説家になろうにも投稿しています。
完結/クラスメイトの私物を盗んだ疑いをかけられた私は王太子に婚約破棄され国外追放を命ぜられる〜ピンチを救ってくれたのは隣国の皇太子殿下でした
まほりろ
恋愛
【完結】
「リリー・ナウマン! なぜクラスメイトの私物が貴様の鞄から出て来た!」
教室で行われる断罪劇、私は無実を主張したが誰も耳を貸してくれない。
「貴様のような盗人を王太子である俺の婚約者にしておくわけにはいかない! 貴様との婚約を破棄し、国外追放を命ずる! 今すぐ荷物をまとめて教室からいや、この国から出ていけ!!」
クラスメイトたちが「泥棒令嬢」「ろくでなし」「いい気味」と囁く。
誰も私の味方になってくれない、先生でさえも。
「アリバイがないだけで公爵家の令嬢を裁判にもかけず国外追放にするの? この国の法律ってどうなっているのかな?」
クラスメイトの私物を盗んだ疑いをかけられた私を救って下さったのは隣国の皇太子殿下でした。
アホ王太子とあばずれ伯爵令嬢に冤罪を着せられたヒロインが、ショタ美少年の皇太子に助けてられ溺愛される話です。
完結、全10話、約7500文字。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
他サイトにも掲載してます。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
【完結】夫もメイドも嘘ばかり
横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。
サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。
そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。
夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。
【完結】婚約破棄された公爵令嬢、やることもないので趣味に没頭した結果
バレシエ
恋愛
サンカレア公爵令嬢オリビア・サンカレアは、恋愛小説が好きなごく普通の公爵令嬢である。
そんな彼女は学院の卒業パーティーを友人のリリアナと楽しんでいた。
そこに遅れて登場したのが彼女の婚約者で、王国の第一王子レオンハルト・フォン・グランベルである。
彼のそばにはあろうことか、婚約者のオリビアを差し置いて、王子とイチャイチャする少女がいるではないか!
「今日こそはガツンといってやりますわ!」と、心強いお供を引き連れ王子を詰めるオリビア。
やりこまれてしまいそうになりながらも、優秀な援護射撃を受け、王子をたしなめることに成功したかと思ったのもつかの間、王子は起死回生の一手を打つ!
「オリビア、お前との婚約は今日限りだ! 今、この時をもって婚約を破棄させてもらう!」
「なぁッ!! なんですってぇー!!!」
あまりの出来事に昏倒するオリビア!
この事件は王国に大きな波紋を起こすことになるが、徐々に日常が回復するにつれて、オリビアは手持ち無沙汰を感じるようになる。
学園も卒業し、王妃教育も無くなってしまって、やることがなくなってしまったのだ。
そこで唯一の趣味である恋愛小説を読んで時間を潰そうとするが、なにか物足りない。
そして、ふと思いついてしまうのである。
「そうだ! わたくしも小説を書いてみようかしら!」
ここに謎の恋愛小説家オリビア~ンが爆誕した。
彼女の作品は王国全土で人気を博し、次第にオリビアを捨てた王子たちを苦しめていくのであった。
妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放されました。でもそれが、私を虐げていた人たちの破滅の始まりでした
水上
恋愛
「ソフィア、悪いがお前との婚約は破棄させてもらう」
子爵令嬢である私、ソフィア・ベルモントは、婚約者である子爵令息のジェイソン・フロストに婚約破棄を言い渡された。
彼の隣には、私の妹であるシルビアがいる。
彼女はジェイソンの腕に体を寄せ、勝ち誇ったような表情でこちらを見ている。
こんなこと、許されることではない。
そう思ったけれど、すでに両親は了承していた。
完全に、シルビアの味方なのだ。
しかも……。
「お前はもう用済みだ。この屋敷から出て行け」
私はお父様から追放を宣言された。
必死に食い下がるも、お父様のビンタによって、私の言葉はかき消された。
「いつまで床に這いつくばっているのよ、見苦しい」
お母様は冷たい言葉を私にかけてきた。
その目は、娘を見る目ではなかった。
「惨めね、お姉さま……」
シルビアは歪んだ笑みを浮かべて、私の方を見ていた。
そうして私は、妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放された。
途方もなく歩いていたが、そんな私に、ある人物が声を掛けてきた。
一方、私を虐げてきた人たちは、破滅へのカウントダウンがすでに始まっていることに、まだ気づいてはいなかった……。
婚約破棄されて5年。元婚約者が「運命に従って結婚しよう」と連絡してきましたけど意味がわかりません。
ぐーの
恋愛
あれから5年が過ぎたというのに、セリーナは今でも思い出すことがある。
あの日、とんでもない理由で婚約者のバリントンから婚約破棄された日のことを。
しかし、それはもう過去のこと。
セリーナはウィルフレッドと出会い結婚し幸せな日々を過ごしていた。
それなのに、災いは不意にやってくる。
差出人不明の手紙には驚愕すべき内容が書かれていた。
『運命に従って結婚しよう』
そのようなことを書く人物は一人しかいない。
バリントンは運命の女性であるセリーナと結ばれるために立ち上がった。
ウィルフレッドは愛する妻セリーナを守るために立ちふさがる。
婚約者と親友に裏切られたので、大声で叫んでみました
鈴宮(すずみや)
恋愛
公爵令嬢ポラリスはある日、婚約者である王太子シリウスと、親友スピカの浮気現場を目撃してしまう。信じていた二人からの裏切りにショックを受け、その場から逃げ出すポラリス。思いの丈を叫んでいると、その現場をクラスメイトで留学生のバベルに目撃されてしまった。
その後、開き直ったように、人前でイチャイチャするようになったシリウスとスピカ。当然、婚約は破棄されるものと思っていたポラリスだったが、シリウスが口にしたのはあまりにも身勝手な要求だった――――。
幼馴染みに婚約者を奪われ、妹や両親は私の財産を奪うつもりのようです。皆さん、報いを受ける覚悟をしておいてくださいね?
水上
恋愛
「僕は幼馴染みのベラと結婚して、幸せになるつもりだ」
結婚して幸せになる……、結構なことである。
祝福の言葉をかける場面なのだろうけれど、そんなことは不可能だった。
なぜなら、彼は幼馴染み以外の人物と婚約していて、その婚約者というのが、この私だからである。
伯爵令嬢である私、キャサリン・クローフォドは、婚約者であるジャック・ブリガムの言葉を、受け入れられなかった。
しかし、彼は勝手に話を進め、私は婚約破棄を言い渡された。
幼馴染みに婚約者を奪われ、私はショックを受けた。
そして、私の悲劇はそれだけではなかった。
なんと、私の妹であるジーナと両親が、私の財産を奪おうと動き始めたのである。
私の周りには、身勝手な人物が多すぎる。
しかし、私にも一人だけ味方がいた。
彼は、不適な笑みを浮かべる。
私から何もかも奪うなんて、あなたたちは少々やり過ぎました。
私は、やられたままで終わるつもりはないので、皆さん、報いを受ける覚悟をしておいてくださいね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる