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電化製品がダメだと気が付いたメアリーは料理チートだと騒ぎ始めました。和食を作ると意気込んでいましたけど、醤油や味噌もないのに和食は無理がありました。ことごとく失敗して、食材を無駄にしていましたので、見兼ねたお母様がメアリーの趣味に伯爵家のお金は出さないように手続きをしました。
次の日、お母様はベットで冷たくなっていたそうです。見つけたのは、お母様を起こしに行ったミリィでした。
わたくしの15歳の誕生日の、1ヶ月前でした。成人すればもっとお母様のお役に立てる。そう思っておりましたのに……。
戦乱の世では、葬儀も簡素に行われます。お母様は棺に入れられ、家族と使用人が見守る中、先祖が眠る霊廟に入りました。棺に釘を打ったのはお父様です。ニヤリと笑ったお父様を見て、ああ、ついにこの男はお母様を……そう思いました。わたくしはその日から、お父様を亡き者にする方法ばかりを考えるようになりました。
すっかり荒んでいたわたくしを救ってくれたのは、ミリィとリチャードでした。特に長年仕えてくれている執事のリチャードは、わたくしが暴走しないように常に寄り添ってくれました。
「お嬢様、今は我慢の時です。お嬢様が成人の日を迎えれば、リリア様の代わりに当主代理を申し立てる事が出来ます。旦那様は既に根回しをしておられますから、問題なく通ります。あの裏切り者はいずれ必ず、私が始末しますから」
そう言ったリチャードの目は、真っ赤に腫れていました。そうだわ、リチャードは元々お母様の侍従だった。わたくしも悲しいけど、リチャードだって相当悲しい筈。だってお母様と過ごした時間は、わたくしよりも長いのだもの。
そう思ってから、少しずつ冷静に過ごせるようになりましたわ。
お父様は、お母様が亡くなっても自由に出来るわけではないと気がついたようです。そうなると、邪魔なのはわたくしです。
わたくしは、成人した瞬間にお父様に無理矢理婚約を決められすぐに結婚して家を出ろと命じられました。
わたくしはなんの権力もない子どもです。こうなったら戦場のお祖父様の元へ避難するしかない。そう思っていました。だけど、ラッキーな事が起きました。妹のメアリーが婚約者のマシュー様に一目惚れしたのです。
困ったお父様は、なんとかメアリーを説得しようとしました。だけど、わがまま放題に育ったメアリーはお父様の言葉を聞きません。わたくしには虐待をするくせにメアリーには甘いお父様は、全てわたくしのせいにしました。
次の日、お母様はベットで冷たくなっていたそうです。見つけたのは、お母様を起こしに行ったミリィでした。
わたくしの15歳の誕生日の、1ヶ月前でした。成人すればもっとお母様のお役に立てる。そう思っておりましたのに……。
戦乱の世では、葬儀も簡素に行われます。お母様は棺に入れられ、家族と使用人が見守る中、先祖が眠る霊廟に入りました。棺に釘を打ったのはお父様です。ニヤリと笑ったお父様を見て、ああ、ついにこの男はお母様を……そう思いました。わたくしはその日から、お父様を亡き者にする方法ばかりを考えるようになりました。
すっかり荒んでいたわたくしを救ってくれたのは、ミリィとリチャードでした。特に長年仕えてくれている執事のリチャードは、わたくしが暴走しないように常に寄り添ってくれました。
「お嬢様、今は我慢の時です。お嬢様が成人の日を迎えれば、リリア様の代わりに当主代理を申し立てる事が出来ます。旦那様は既に根回しをしておられますから、問題なく通ります。あの裏切り者はいずれ必ず、私が始末しますから」
そう言ったリチャードの目は、真っ赤に腫れていました。そうだわ、リチャードは元々お母様の侍従だった。わたくしも悲しいけど、リチャードだって相当悲しい筈。だってお母様と過ごした時間は、わたくしよりも長いのだもの。
そう思ってから、少しずつ冷静に過ごせるようになりましたわ。
お父様は、お母様が亡くなっても自由に出来るわけではないと気がついたようです。そうなると、邪魔なのはわたくしです。
わたくしは、成人した瞬間にお父様に無理矢理婚約を決められすぐに結婚して家を出ろと命じられました。
わたくしはなんの権力もない子どもです。こうなったら戦場のお祖父様の元へ避難するしかない。そう思っていました。だけど、ラッキーな事が起きました。妹のメアリーが婚約者のマシュー様に一目惚れしたのです。
困ったお父様は、なんとかメアリーを説得しようとしました。だけど、わがまま放題に育ったメアリーはお父様の言葉を聞きません。わたくしには虐待をするくせにメアリーには甘いお父様は、全てわたくしのせいにしました。
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