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45.デュークの苦悩
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「伯爵家の若造如きが私と話そうなど100年早い! 早くこの縄を解け! 私を解放しろ!!!」
椅子に縛り付けられたハント公爵は、フィリップとデュークに罵声を浴びせていた。今にも殴りかかりそうなフィリップを、デュークは小声で制する。
「もうすぐ王子達が来るからそれまで抑えろ。ジーナは、平民の少女なんだから」
「……分かってる……」
「その顔、分かってねぇよな?」
「うっせえな! 分かってるよ!」
大声を出したフィリップに、ハント公爵は怯える。
「ななな……なんだ! 大声を出して!」
「……本当、嫌になるぜ。なんでいっつも、ジーナなんだよ……なぁ、ケネス殿下の侍女は、何処に行ったか知ってるか?」
「ジーナ? あの女か! そうか! 貴様はあの女に惚れていたのか。なんだ、ならお前を焚き付ければ良かった。あんな出来損ないより、有望株であるお前に靡いただろうに! 残念だが、もう此処にはおるまい。好きにして良いと言ったからな。どこに居るかは私も知らんぞ!」
「ふっざけんな!!! 好きにして良いってなんだよ! なんで、ジーナを狙った!! ジーナはそんなに簡単に攫われたりしねぇ! 何をした! 説明しろっ!」
「あー……俺もう無理。ライアン、頼むから早く来てくれよ……」
「入るよ。もう、ちゃんと場所伝えといてよ。散々迷ったじゃない」
「ケネス殿下?! あ、あの、王太子殿下や、ライアン殿下は……?」
「サユリ様に付いててくれてる。ねぇ、ハント公爵は居る?」
『バーサーカーが増えた! マジかよ……。ライアン、頼むから早く来てくれよ……』
「は、はい。ここで捕縛してます。今、フィリップが話を聞いています」
「……そう。僕も入って良い?」
「も、もちろんです……」
『もう、どうにでもなれ! ライアンは公爵を殺すなって言ってたよな。それだけ守れれば良いだろ。フィリップやケネス殿下の怒りも、分かるしな。なんでよりによって、ジーナ様を狙おうとしたんだろうな。ケネス殿下がジーナ様に惚れてるのはバレバレだったし、そのせいか? それとも、ライアンの気持ちまでバレちまったのかな? あーいや、王太子殿下すら気が付いてないんだから、それはねぇか。くっそ、全くわかんねぇ。あの狸親父は素直に教えてはくれねぇだろうしな……黙秘されたら、ケネス殿下はともかく、フィリップがやべえ。あ、いや、どっちもやべえ。あんなにキレてるケネス殿下を見たのは初めてだ。頼むから素直に吐いてくれよ。でないと、切り刻まれるぞ』
「そうだ! お前が邪魔だったんだ! なんで聖女様に選ばれるんだ! どうせ、拒否されて恥をかくと思っていたのに!」
フィリップとケネスに問い詰められて、スラスラと喋るハント公爵の様子は、どこかおかしい。彼は自らの計画を当たり前のように話していた。
兄2人を失脚させて、ライアンと娘を結婚させようとしていたと知ったデュークは腹が立つ前に、呆れた。あまりにも叶わない夢物語だったからだ。
『王太子殿下とケネス殿下に手を出そうとするなんて、馬鹿じゃねぇの? 王太子殿下の怖さを知らねぇのかよ。ケネス殿下だって、見た目で判断してたらエライ目に合うぜ。ライアンだって、必要に迫られたら王でもなんでもするだろうけどよ、ジェシカ様を伴侶に選ぶ事は絶対ねぇぞ。すげぇ嫌われてんの、分かってねぇのか? ってか、めっちゃ喋ってる。素直過ぎねぇ? そんだけ2人が怖えのか? いや、怖えけど、確かに怖えし、逃げ出したいけど、なーんかおかしいな……。まさか……嘘を言って混乱させようとしてんのか? でも、嘘にしちゃ変だ。あーくそ! ライアンならすぐ嘘かどうか見破れるのに! 女を見る目はねぇけど、男の嘘は散々見破ってんのに! ライアンの側にいつも居たのになんで俺は出来ねぇんだよ!』
不甲斐なく思っていたデュークの元に、待望の主人が現れた。
「なにこの状況、デューク、説明」
「バーサーカーが……あ、いや、フィリップがまずキレまして」
「まぁ、仕方ないよね。よく我慢したと思うよ」
ビクターが苦笑いをしたが、ハント公爵と目が合った瞬間、冷たい顔になる。
『だから怖えんだよ!』
「デューク、続き。この男の目的は?」
ライアンに促され、デュークは説明を続ける。
「は、はい。ハント公爵は、王太子殿下とケネス殿下を排除して、ライアン殿下を王にしようとしていたそうです」
「は?! なんで?! 僕にそんなつもりないし、ハント公爵とそんなに話した事もないのに!」
「どうやら、ジェシカ様を利用しようとなさったようでして。ライアン殿下が、自分の娘に骨抜きになると本気で信じておられるようです」
「……あり得ない。僕、あの人嫌いだもん」
不審に思った王子達が、公爵を問い詰める。すぐに、デュークの発言が正しい事が証明された。
「嘘をつくにしては、おかしな嘘だよな?」
「ですね、もっとマシな嘘、いっぱいあるでしょ」
「私のせいかも!」
「聖女様?!」
「さっき、ハント公爵、ぜーんぶ正直に、隠し事なんてせず、全て話して! って魔法をかけてみた」
「え……そんな個人を指定した魔法、使えるんですか?」
「分かんない。試しにやってみただけだから。私だってこっちに誘か……呼び出されたばかりなんだから、詳しく知らないわよ」
「……申し訳ありません。けど、理由が分かりました。ライアン殿下、念のためハント公爵が嘘をついてないか、見極めて下さい。私には無理でした。聖女様のおかげで素直に話してくれていますから、今のところ一滴も血は流れておりません。ただ、聖女様のお世話係であるケネス殿下が、ずいぶんお怒りでして」
「そんなの気にしないよ。怒って当然だし。早いとこジーナを見つけなきゃね。私もなんか使えそうな魔法、探すよ。そうだ! 聖女が使った魔法、なんか記録残ってない? イメージ次第で色々な魔法を使えそうって本には書いてあったから、色々試してはみてるんだけど……過去に使えた魔法なら、私も出来る可能性が高いよね?」
「兄様なら詳しいんですけど、僕はあまり分からなくて。申し訳ありません」
小百合は、公爵を質問漬けにしているケネスの首根っこを引っ張り、問うた。
「ケネス、ジーナの居場所、分かった?!」
「この男、知らないって言うんです。ジーナを城から出せれば後はどうでも良かったって……殺そうが、売ろうが、好きにしろって言ったって……許さない。僕のせいで……ジーナが……」
「ケネスのせいじゃない。このオッサンのせいよ。ねぇ、過去の聖女が使った魔法、分かる? その中で、ジーナを探せそうな魔法、ない?」
椅子に縛り付けられたハント公爵は、フィリップとデュークに罵声を浴びせていた。今にも殴りかかりそうなフィリップを、デュークは小声で制する。
「もうすぐ王子達が来るからそれまで抑えろ。ジーナは、平民の少女なんだから」
「……分かってる……」
「その顔、分かってねぇよな?」
「うっせえな! 分かってるよ!」
大声を出したフィリップに、ハント公爵は怯える。
「ななな……なんだ! 大声を出して!」
「……本当、嫌になるぜ。なんでいっつも、ジーナなんだよ……なぁ、ケネス殿下の侍女は、何処に行ったか知ってるか?」
「ジーナ? あの女か! そうか! 貴様はあの女に惚れていたのか。なんだ、ならお前を焚き付ければ良かった。あんな出来損ないより、有望株であるお前に靡いただろうに! 残念だが、もう此処にはおるまい。好きにして良いと言ったからな。どこに居るかは私も知らんぞ!」
「ふっざけんな!!! 好きにして良いってなんだよ! なんで、ジーナを狙った!! ジーナはそんなに簡単に攫われたりしねぇ! 何をした! 説明しろっ!」
「あー……俺もう無理。ライアン、頼むから早く来てくれよ……」
「入るよ。もう、ちゃんと場所伝えといてよ。散々迷ったじゃない」
「ケネス殿下?! あ、あの、王太子殿下や、ライアン殿下は……?」
「サユリ様に付いててくれてる。ねぇ、ハント公爵は居る?」
『バーサーカーが増えた! マジかよ……。ライアン、頼むから早く来てくれよ……』
「は、はい。ここで捕縛してます。今、フィリップが話を聞いています」
「……そう。僕も入って良い?」
「も、もちろんです……」
『もう、どうにでもなれ! ライアンは公爵を殺すなって言ってたよな。それだけ守れれば良いだろ。フィリップやケネス殿下の怒りも、分かるしな。なんでよりによって、ジーナ様を狙おうとしたんだろうな。ケネス殿下がジーナ様に惚れてるのはバレバレだったし、そのせいか? それとも、ライアンの気持ちまでバレちまったのかな? あーいや、王太子殿下すら気が付いてないんだから、それはねぇか。くっそ、全くわかんねぇ。あの狸親父は素直に教えてはくれねぇだろうしな……黙秘されたら、ケネス殿下はともかく、フィリップがやべえ。あ、いや、どっちもやべえ。あんなにキレてるケネス殿下を見たのは初めてだ。頼むから素直に吐いてくれよ。でないと、切り刻まれるぞ』
「そうだ! お前が邪魔だったんだ! なんで聖女様に選ばれるんだ! どうせ、拒否されて恥をかくと思っていたのに!」
フィリップとケネスに問い詰められて、スラスラと喋るハント公爵の様子は、どこかおかしい。彼は自らの計画を当たり前のように話していた。
兄2人を失脚させて、ライアンと娘を結婚させようとしていたと知ったデュークは腹が立つ前に、呆れた。あまりにも叶わない夢物語だったからだ。
『王太子殿下とケネス殿下に手を出そうとするなんて、馬鹿じゃねぇの? 王太子殿下の怖さを知らねぇのかよ。ケネス殿下だって、見た目で判断してたらエライ目に合うぜ。ライアンだって、必要に迫られたら王でもなんでもするだろうけどよ、ジェシカ様を伴侶に選ぶ事は絶対ねぇぞ。すげぇ嫌われてんの、分かってねぇのか? ってか、めっちゃ喋ってる。素直過ぎねぇ? そんだけ2人が怖えのか? いや、怖えけど、確かに怖えし、逃げ出したいけど、なーんかおかしいな……。まさか……嘘を言って混乱させようとしてんのか? でも、嘘にしちゃ変だ。あーくそ! ライアンならすぐ嘘かどうか見破れるのに! 女を見る目はねぇけど、男の嘘は散々見破ってんのに! ライアンの側にいつも居たのになんで俺は出来ねぇんだよ!』
不甲斐なく思っていたデュークの元に、待望の主人が現れた。
「なにこの状況、デューク、説明」
「バーサーカーが……あ、いや、フィリップがまずキレまして」
「まぁ、仕方ないよね。よく我慢したと思うよ」
ビクターが苦笑いをしたが、ハント公爵と目が合った瞬間、冷たい顔になる。
『だから怖えんだよ!』
「デューク、続き。この男の目的は?」
ライアンに促され、デュークは説明を続ける。
「は、はい。ハント公爵は、王太子殿下とケネス殿下を排除して、ライアン殿下を王にしようとしていたそうです」
「は?! なんで?! 僕にそんなつもりないし、ハント公爵とそんなに話した事もないのに!」
「どうやら、ジェシカ様を利用しようとなさったようでして。ライアン殿下が、自分の娘に骨抜きになると本気で信じておられるようです」
「……あり得ない。僕、あの人嫌いだもん」
不審に思った王子達が、公爵を問い詰める。すぐに、デュークの発言が正しい事が証明された。
「嘘をつくにしては、おかしな嘘だよな?」
「ですね、もっとマシな嘘、いっぱいあるでしょ」
「私のせいかも!」
「聖女様?!」
「さっき、ハント公爵、ぜーんぶ正直に、隠し事なんてせず、全て話して! って魔法をかけてみた」
「え……そんな個人を指定した魔法、使えるんですか?」
「分かんない。試しにやってみただけだから。私だってこっちに誘か……呼び出されたばかりなんだから、詳しく知らないわよ」
「……申し訳ありません。けど、理由が分かりました。ライアン殿下、念のためハント公爵が嘘をついてないか、見極めて下さい。私には無理でした。聖女様のおかげで素直に話してくれていますから、今のところ一滴も血は流れておりません。ただ、聖女様のお世話係であるケネス殿下が、ずいぶんお怒りでして」
「そんなの気にしないよ。怒って当然だし。早いとこジーナを見つけなきゃね。私もなんか使えそうな魔法、探すよ。そうだ! 聖女が使った魔法、なんか記録残ってない? イメージ次第で色々な魔法を使えそうって本には書いてあったから、色々試してはみてるんだけど……過去に使えた魔法なら、私も出来る可能性が高いよね?」
「兄様なら詳しいんですけど、僕はあまり分からなくて。申し訳ありません」
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「ケネス、ジーナの居場所、分かった?!」
「この男、知らないって言うんです。ジーナを城から出せれば後はどうでも良かったって……殺そうが、売ろうが、好きにしろって言ったって……許さない。僕のせいで……ジーナが……」
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