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番外編
8.夜会の終わり
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結局、密偵は全員騎士団預かりになった。
『ニック、スパイとか大丈夫なの?』
『怪しそうなトコはいくつかあるぜ。だけど、泳がせた方が便利だろ?』
あ、そういうのもあるのね。ニック凄いなぁ。
「では、我々はそろそろ失礼してもよろしいでしょうか? 私も、妻もこの国から離れる気がない事はご理解頂けましたでしょうか?」
「「「もちろんです!」」」
各国の要人の、大合唱が会場中に響き渡った。
……………………
「これで愛梨沙に手を出そうとする国は減るだろ。これだけやって手を出してきたら、もう容赦しねぇよ」
「ま、大丈夫でしょ」
「怖いのぉ」
「イツキ! テメェなんでうちに居るんだよ!」
「国王陛下からの伝言じゃ。今回だけは良い仕事をしたから見逃すそうじゃ。次は他国の問題に首を突っ込む前に報告しろとの事じゃぞ」
「やば! アリサちゃん怒られてないかな?」
「ほぅ、アリサも関係者かのぉ」
「イツキ、お願い! 国王陛下には内緒にして!」
「構わんぞ。そのかわり、宮廷魔術師にならんかの?」
「……イツキ、愛梨沙が望まない事させんじゃねぇよ」
「英雄殿は怖いのぉ。冗談じゃ。アリサは何もしておらぬ。今回の事は、ニックと愛梨沙の暴走じゃ」
「……暴走……たしかにね。でも、後悔はないよ。むしろ、もっと早くやれば良かった」
「オレが国王陛下に説明して来る。イツキも来い。愛梨沙、メシ作っててくれ。チーズリゾットだっけか? オレも食べたいしな」
「わたしも説明に行くよ?」
「いや、愛梨沙もう疲れてるだろ。オレもすぐメシ食べたいからさ。作っててくれたら助かるんだ」
「分かった! いってらっしゃい」
……………………
「ニック・カスティール、お呼びにより参上致しました」
「単刀直入に聞く、スラムの件はお前たちか?」
「はい。報告しなかった事はお詫びします」
「何故あんな事をした」
「愛梨沙がスラムの事を知って、放っておけないと言い出しました。ですがわかりやすく癒してしまえば、愛梨沙に目をつけられます。だから、夜会の最中に抜け出して癒しに行きました。変装もしていましたから、癒したのは老人夫婦だと思われています」
「分かった。今後は連絡してくれ。ニックと愛梨沙の暮らしを邪魔したりしないから」
「愛梨沙を、宮廷魔術師にしようとなさっているでしょう?」
「それは、彼女が希望したらだ。無理強いなど決してしない。それから密偵の件は聞いていたが本当に良いのか?」
「いくつかまだ怪しそうな人物が居ますので、監視して、尻尾を出したところで潰す方が効率が良いでしょう? 国に不利益は出しませんし、情報が漏れる前に対処するのでご安心下さい。できたら、改心してくれれば良いんですけどね」
「そんなに甘くない事は分かっているだろう?」
「ええ、スパイは罪状が確定したら即死刑ですから、しばらくはオレが監視しますよ」
「何人残る?」
「あの家族を助けた男は大丈夫でしょう。もともと嫌々働かされていたようですしね。他は……半分残れば良い方ですかね。証拠が出たらオレが処刑しますよ。拾ったオレの責任ですし」
「ニック……其方こんな話をするから愛梨沙を置いて来たのかの?」
「ああ、愛梨沙に聞かせる話じゃねぇだろ?」
「だがこれでニックや愛梨沙への勧誘は減るだろう」
「勝手をして申し訳ありませんでした。次からは問題がなければ報告致します」
「問題があっても報告しろ!」
「御意」
『ニック、スパイとか大丈夫なの?』
『怪しそうなトコはいくつかあるぜ。だけど、泳がせた方が便利だろ?』
あ、そういうのもあるのね。ニック凄いなぁ。
「では、我々はそろそろ失礼してもよろしいでしょうか? 私も、妻もこの国から離れる気がない事はご理解頂けましたでしょうか?」
「「「もちろんです!」」」
各国の要人の、大合唱が会場中に響き渡った。
……………………
「これで愛梨沙に手を出そうとする国は減るだろ。これだけやって手を出してきたら、もう容赦しねぇよ」
「ま、大丈夫でしょ」
「怖いのぉ」
「イツキ! テメェなんでうちに居るんだよ!」
「国王陛下からの伝言じゃ。今回だけは良い仕事をしたから見逃すそうじゃ。次は他国の問題に首を突っ込む前に報告しろとの事じゃぞ」
「やば! アリサちゃん怒られてないかな?」
「ほぅ、アリサも関係者かのぉ」
「イツキ、お願い! 国王陛下には内緒にして!」
「構わんぞ。そのかわり、宮廷魔術師にならんかの?」
「……イツキ、愛梨沙が望まない事させんじゃねぇよ」
「英雄殿は怖いのぉ。冗談じゃ。アリサは何もしておらぬ。今回の事は、ニックと愛梨沙の暴走じゃ」
「……暴走……たしかにね。でも、後悔はないよ。むしろ、もっと早くやれば良かった」
「オレが国王陛下に説明して来る。イツキも来い。愛梨沙、メシ作っててくれ。チーズリゾットだっけか? オレも食べたいしな」
「わたしも説明に行くよ?」
「いや、愛梨沙もう疲れてるだろ。オレもすぐメシ食べたいからさ。作っててくれたら助かるんだ」
「分かった! いってらっしゃい」
……………………
「ニック・カスティール、お呼びにより参上致しました」
「単刀直入に聞く、スラムの件はお前たちか?」
「はい。報告しなかった事はお詫びします」
「何故あんな事をした」
「愛梨沙がスラムの事を知って、放っておけないと言い出しました。ですがわかりやすく癒してしまえば、愛梨沙に目をつけられます。だから、夜会の最中に抜け出して癒しに行きました。変装もしていましたから、癒したのは老人夫婦だと思われています」
「分かった。今後は連絡してくれ。ニックと愛梨沙の暮らしを邪魔したりしないから」
「愛梨沙を、宮廷魔術師にしようとなさっているでしょう?」
「それは、彼女が希望したらだ。無理強いなど決してしない。それから密偵の件は聞いていたが本当に良いのか?」
「いくつかまだ怪しそうな人物が居ますので、監視して、尻尾を出したところで潰す方が効率が良いでしょう? 国に不利益は出しませんし、情報が漏れる前に対処するのでご安心下さい。できたら、改心してくれれば良いんですけどね」
「そんなに甘くない事は分かっているだろう?」
「ええ、スパイは罪状が確定したら即死刑ですから、しばらくはオレが監視しますよ」
「何人残る?」
「あの家族を助けた男は大丈夫でしょう。もともと嫌々働かされていたようですしね。他は……半分残れば良い方ですかね。証拠が出たらオレが処刑しますよ。拾ったオレの責任ですし」
「ニック……其方こんな話をするから愛梨沙を置いて来たのかの?」
「ああ、愛梨沙に聞かせる話じゃねぇだろ?」
「だがこれでニックや愛梨沙への勧誘は減るだろう」
「勝手をして申し訳ありませんでした。次からは問題がなければ報告致します」
「問題があっても報告しろ!」
「御意」
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