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番外編
7.この国に居る理由
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「わたくしが、この国にいる理由は簡単よ。この国はわたくしに負い目があるの。だから、自由を保証してくれる。何人かだけだけど、信用できる人もいるしね。だけど、他の国は違うでしょ? ただ、便利な道具が欲しいだけ。そんなところに行ったら、またわたくしは人間扱いして貰えないわ。だから、どこに誘われても行くつもりはないわ。この国が、わたくしを人間扱いしてくれる間はね」
「ああ、それから妻を無理に攫おうとした国もいくつかありましたね」
騎士団の人が、何人かの密偵を連れてきた。ざわめきがさらに広がる。
「お返ししますよ? 今回だけは見逃します。今回だけはね」
続き言わないとか怖すぎるわよ。密偵、全員ボコボコだし……。かわいそうだし、癒してやるか。
「癒し」
「おや、私の妻はなんと優しいんだろう。だか私は、妻ほど優しくありませんよ?」
「ニック、あの人達、国に帰ったら殺されちゃうんじゃない?」
「そうだな。間違いなくそうなるだろうなぁ。なあ、オマエら国に帰りたいか?」
密偵全員、必死で首振ってますけど。あ、でも1人困った顔してるなぁ。
「ねぇ、貴方国に家族でも残ってるの?」
「そ……そうです……妻と娘が……」
なるほど。それは困るわよね。チラッとニックを見ると悪そうに笑ってる。
「それは、この2人であってるか? 人質だったんだろ?」
「そうです! そうです! ああ、良かった……」
「なぁ、うちの国は良い国だろ? 国にもどらねぇで此処に仕えねぇか?」
「もちろんです……本当にありがとうございます……」
「ね、ニック。この人の家族の事なんでわかったの?」
「拷問した」
ひとことぉ! ニックさん? その悪いお顔はそう言う理由?!
『そんなひでえ事はしてないぞ。イツキに頼んでちょっと素直になる魔法を使って貰っただけだ。使われた記憶もないなんて便利な魔法だぜ』
念話で種明かししてくれた。なるほどね。表向きは拷問って事にしたわけね。
ところで皆様怯えてますけれども?
「他の人は、家族とか人質いないの?」
「多分居ねえと思うが……居るなら今すぐ言えば助けてやる。どこの国から来たかも言わなくていいし、今までの事は記憶がなくなったと思って何も聞かねぇ。腕があんのは確認済みだから、希望がありゃあ騎士団で雇う用意がある。国捨てる気がある奴は、跪け。今なら見逃してやるから、嫌なら逃げても構わねぇぞ」
密偵、全員あっさり跪きましたけど?!
『狙い通りだな』
ニックがニヤリと笑った。
「ああ、それから妻を無理に攫おうとした国もいくつかありましたね」
騎士団の人が、何人かの密偵を連れてきた。ざわめきがさらに広がる。
「お返ししますよ? 今回だけは見逃します。今回だけはね」
続き言わないとか怖すぎるわよ。密偵、全員ボコボコだし……。かわいそうだし、癒してやるか。
「癒し」
「おや、私の妻はなんと優しいんだろう。だか私は、妻ほど優しくありませんよ?」
「ニック、あの人達、国に帰ったら殺されちゃうんじゃない?」
「そうだな。間違いなくそうなるだろうなぁ。なあ、オマエら国に帰りたいか?」
密偵全員、必死で首振ってますけど。あ、でも1人困った顔してるなぁ。
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「そ……そうです……妻と娘が……」
なるほど。それは困るわよね。チラッとニックを見ると悪そうに笑ってる。
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「そうです! そうです! ああ、良かった……」
「なぁ、うちの国は良い国だろ? 国にもどらねぇで此処に仕えねぇか?」
「もちろんです……本当にありがとうございます……」
「ね、ニック。この人の家族の事なんでわかったの?」
「拷問した」
ひとことぉ! ニックさん? その悪いお顔はそう言う理由?!
『そんなひでえ事はしてないぞ。イツキに頼んでちょっと素直になる魔法を使って貰っただけだ。使われた記憶もないなんて便利な魔法だぜ』
念話で種明かししてくれた。なるほどね。表向きは拷問って事にしたわけね。
ところで皆様怯えてますけれども?
「他の人は、家族とか人質いないの?」
「多分居ねえと思うが……居るなら今すぐ言えば助けてやる。どこの国から来たかも言わなくていいし、今までの事は記憶がなくなったと思って何も聞かねぇ。腕があんのは確認済みだから、希望がありゃあ騎士団で雇う用意がある。国捨てる気がある奴は、跪け。今なら見逃してやるから、嫌なら逃げても構わねぇぞ」
密偵、全員あっさり跪きましたけど?!
『狙い通りだな』
ニックがニヤリと笑った。
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